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5歳以下の小児死亡率推移に関する評価

2010-08-04 | Public Health 母子保健
Neonatal, postneonatal, childhood, and under-5 mortality for 187 countries, 1970―2010: a systematic analysis of progress towards Millennium Development Goal 4
[The Lancet 2010; 375(9730):1988-2007]

研究グループは、1970~2010年における187ヵ国の5歳未満の子どもの死亡数について検討
健康状態登録システム、国勢調査の略式出産記録、完全出産記録などの情報源のデータをすべて用いて死亡に関する1万6,174の測定値のデータベースを構築

方法:
ガウス過程回帰モデルを用いて出生から5歳までの死亡の推定値を算出
健康状態登録システムと、新生児(生後1ヵ月未満)および0歳児(生後1ヵ月~1歳の誕生日の前日まで)の死亡に関する情報を含む完全出産記録に基づく1,760の測定値を使用して得た5歳未満の子どもの死亡数から、新生児、0歳児、1~4歳児の死亡数を推定した

結果:
世界の5歳未満の子どもの死亡数は、1990年の1,190万人から2010年には770万人にまで低下した
2010年の内訳は、新生児の死亡数が310万人、0歳児は230万人、1~4歳児が230万人であった
5歳未満の子どもの死亡の33.0%が南アジアで発生し、49.6%がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で発生していたが、高所得国は合わせても1%に満たなかった
世界21地域で新生児、0歳児、1~4歳児の死亡率が低下していた
1990~2010年までの新生児死亡率の年次低下率は2.1%であり、0歳児死亡率の年次低下率は2.3%、1~4歳児の場合は2.2%であった

結論:
サハラ砂漠以南のアフリカ諸国を含む世界13地域では、1990~2000年の10年間に比べて2000~2010年の方が死亡率の低下速度が加速化しているとのエビデンスが得られた
サハラ砂漠以南のアフリカ諸国のうち死亡率の低下率が1%以上であったのは13ヵ国(アンゴラ、ボツワナ、カメルーン、コンゴ、コンゴ民主共和国、ケニア、レソト、リベリア、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、スワジランド、ガンビア)であった
MDG4達成の軌道上にある国は4分の1以下

解釈:
死亡率の改善が加速化している国のほとんどがMDG4を達成できないであろうが、国際的な共同体は医療資源や技術供与によってこれらの動向の助成に重要な役割を担いうると考えられる

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