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新たなマラリアワクチンの知見

2013-08-14 | Vaccine トピックス

米国立衛生研究所(NIH)などの研究チームによるマラリアワクチンの臨床試験成果

Science. 2013 Aug 8: Protection Against Malaria by Intravenous Immunization with a Nonreplicating Sporozoite Vaccine.

有効性の高いマラリアワクチンは熱帯熱マラリアのスポロゾイトの感染に対してのみ開発されている。新たに報告する不活化、無菌性、精製、低温保存の熱帯熱マラリアのスポロゾイトに対するワクチンは、2011年10月から2012年10月にかけて、米国NIH、米陸軍、海軍などの研究機関が、40人の被検者に対して4-6回経静脈的に接種を行う研究を実施し、安全性と有効性を示した。
免疫を高めるためにマラリア原虫の表面のタンパク質などを使う従来のワクチンとは異なり、米国製薬会社の佐成あが開発した新規のワクチンは、熱帯熱マラリア原虫に放射線を照射して不活化したマラリア原虫を凍結させて製造した新しい手法のワクチン。

予防接種を受けなかったコントロール群の6人では5人にマラリアの発症を認めたのに対して、5回接種を受けた6人ではマラリアの発症を認めず(P=0.015)、4回接種を受けた9人では3人の発症を認めた(P=0.028)。熱帯熱マラリアのスポロゾイトに対する特異抗体とT細胞免疫反応は接種したワクチンの用量に依存する。

静脈注射による安全で標準的なワクチンの接種方法により、マラリア発症に予防効果がある用量依存性の免疫閾値があると考えられる。

3~4年以内にワクチンの効果を科学的に実証し、認可を得て流通準備が整うとの見通し。一方で、今回の治験にかかわっていない別の専門家は、流通までには8~10年はかかるとの予想もある(CNN 2013.8.9)。


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