Global Vaccine Action Plan(GVAP)では、0歳児だけではなく、生涯を通じた予防接種を受ける機会及びその計画の確立が記載されている。
現在の問題点
- 1974年にジフテリア、百日咳、破傷風、麻疹、ポリオ、結核の6つのワクチンが、WHOの推奨ワクチンの対象になり、それらは全て0歳で接種するものだった。
- その後、徐々に、B型肝炎、Hib、PCV、ロタ、風疹、髄膜炎菌A型等の推奨ワクチンを追加されるも、やはり1歳未満での接種ワクチンがほとんどで、接種に来なければ1歳以降の接種の必要性も伝えられていない。
- 1歳以上での接種を実施できるようにしても、実際の接種形式まではなかなか変わらない。
- また、医療機関の受診の機会は予防接種以外の介入に利用されてこなかった。
1歳児での予防接種を強化することの利点
- DPTなどの定期接種の追加接種を実施できる
- 多くの国で1歳児に推奨されている麻疹含有ワクチンの2回目の接種を受ける機会となる。
- 新たに追加されたPCVなどのワクチンをキャッチアップできる。
- 髄膜炎菌A型のワクチンは生後12-15月で接種が行われる
- 開発段階にあるマラリアやデング熱等のワクチンも1歳以降の子供に接種が推奨される可能性が高い。
- 0歳児に接種しなかったワクチンをキャッチアップして接種率を上げられる。
- 麻疹含有ワクチンの1回目の接種を受けられる機会が生後9-12月に限定されない。
- 健康な小児が受診する機会となり、その他のビタミンA補給、栄養調査、成長モニタリング、駆虫薬の投与など(適応があればHIV/AIDSの早期診断の評価、発熱者等に対する医療介入)の医療介入が受けられる。
- 1歳児に必要な医療介入を統合することで、医療資源を有効に利用できる。
今後の計画
- 実際に国レベルでの実施(評価の終了したザンビア、評価を開始したセネガル)
その他、CDCによるガーナで5年間のFlagship計画(2014年のPenta3の接種率が88%、MCV1の接種率が89%と高いが、2013年に導入したMCV2は54%と改善の余地がある、またGaviの支援によりMenAを最初に導入した国でもあり、1歳でビタミンA・栄養・家族計画・マラリア対策等の多数の母子健康介入が実施されている)
十分な計画・医療従事者のトレーニング・需要の創出、接種歴を確認するツール、正確な対象者の数・接種数を確認の必要性
これらの実施によって、キャッチアップを改善する効果、MCV2及び1歳での予防接種を改善するための戦略と方法、ワクチンの使用と破棄の影響を調べる - 文献検索と全体の解析
- 包括的実施のためのガイダンスの作成
その他の問題点
- 定義の確立
評価指標について(MCV2 or DPT4, MCV1-MMCV2 drop out接種数、MCV1, DTP3のキャッチアップ接種率、ワクチン供給の指標等)
新しいワクチンのデータ収集の困難さ(迅速性、正確性) - 記録と報告の問題
- 予防接種歴の計算方法
2回目の麻疹含有ワクチン接種(Measles second dose: MSD)での課題
- 計画が早期に作られていない
- 医療従事者のトレーニング(既にMCV1が導入されていることから十分ではない、multi-dose vialの取り扱い・MSDの適応・接種対象者を理解していない、ガイドラインがない等)
- 1歳を超えて予防接種に受診する機会が新たな試みであることから生後18月に受診する必要性につちえ保護者に説明し需要の創出する必要がある
- MCV1, MCV2の接種を受けていない対象者を見つけて対応する必要がある
- 生後9月以上の小児に医療機関で積極的にスクリーニングを実施する必要がある
- 地域ごとに接種を受けにくい対象者に焦点を絞った計画を立てる必要性がある
- MSDを利用して生後12月以上でワクチンやヘルスサービスを受ける地域での需要を高める必要がある
- ワクチンを受ける機会が多くないのでワクチンが無駄になる可能性
- 一方で、1人でも接種者がいればバイアルを開けることが重要でもある
- 実際に生後12月になっている小児の正確な把握が必要
- 予防接種率を奉告するシステムの必要性
- 予防接種歴を記録するツールの改定と詳細の取り決め(生後12月以上でMCV1を接種した場合の記録方法、接種歴がない場合の対応等)
予防接種を受ける機会を逃す(MoV: Missed Opportunities for Vaccination)の原因調査
チャドとマラウィでの経験
予防接種を受ける機会を逃す要因
保護者の問題が27%(予防接種が怖い、いつ受けたら良いか分からない、母子手帳がない等)、医療サービスの問題が10%(対応時間が短い、ワクチンがない、記録が整理されていない等)、医療従事者側の問題が63%(接種歴を確認していない、接種禁忌を誤解している、ワクチンを無駄に廃棄してしまう、接種が遅れた小児やスケジュールに対応できない)
- ワクチンがない、予防接種に必要な器具がない、医療従事者が受診目的外の予防接種について説明しない。
- 予防接種を受ける場所が閉まっている
- 予防接種を受ける目的で受診していない
- 医療従事者が、ちょっとした病気でも接種を受けさせてはいけないと判断する
今後の対応
- 予防接種に関わっていない医療従事者を含めて教育する
- 支援と監視と確認を強化する
- 医療受けるときに必ず接種記録を持参するようにする
- 予防接種歴を確認するための基準を作る
- 予防接種の重要性を保護者に理解させる
- 医療従事者間で話し合いをする機会を持つ
PAHO(アメリカ大陸)での経験
予防接種を受ける機会を逃す要因
- 保護者の問題(時間がない、ワクチン・同時接種が怖い、母子手帳がない等)
- 医療サービスの問題(ワクチンがない、説明がない、フォローアップの機会がない)
- 医療従事者側の問題(接種歴を確認していない、接種禁忌を誤解している、予防接種を受ける助言をしていない)
対応策
- 完遂された評価の総合的な分析を行う
- 良いマニュアルを配布する(MoVを減らすための戦略が総合的に評価、MoVを調査する仕組み、政府や専門家のお墨付き)
- 評価が実施されていない国での評価を行う
今後のMoVに対する対策
- MoVを評価して対応するための計画を作成する
- MoVの評価を実施するためのプロトコールを改正する
- MoVを減らすために各医療機関の対応を支援する介入ハンドブックを作成する
- 関係機関の協力
Reference: SAGE meeting of April 2016
Session: Missed opportunities for vaccination
Session: Second year of life platform