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Gaviによる麻疹ワクチンの支援

2016-05-26 | Gavi Alliance

Gavi Support (Measles vaccine)

Gaviによる麻疹ワクチンの支援
• 14カ国で麻疹ワクチンの2回目の接種を導入
• キャッチアップキャンペーンを通じて6700万人の小児に麻疹ワクチンを接種
• 麻疹風疹混合ワクチンを1億4000万にの小児に接種

麻疹ワクチンの2回目の接種
2007年以降、Gaviは14カ国で麻疹ワクチンの2回目の接種を支援し、2015年に更に7カ国への支援を拡大することで、2200万人の小児を支援する。

2015年ガイドラインにおいて、
支援申請の条件は、1人当たりの国民総所得(GNI per capita)が過去3年間で1580米ドル以下であって、過去3年間の1回目の麻疹含有ワクチンの接種率が80%以上であること
導入後5年間のワクチンの費用は全てGaviが負担するが、その後の費用は国が全ての費用を負担しなければならない。
申請時には5年間の計画(Comprehensive Multi-Year Plan)、評価報告書(Effective Vaccine Management assessment report)、ワクチン導入費用(Vaccine Introduction Grant)・キャンペーン実施支援(Operational support for campaigns)のための詳細な予算計画の提出が必要。
使用可能な麻疹ワクチンはSerum Institute of India Ltd社の10人用バイアルで生後15-18月の小児が対象。
1人当たりの費用は0.25米ドル、使用期限は24月、バイアル開封後6時間以内に使用。 

麻疹ワクチンの補助的接種
Gaviは、麻疹風疹混合ワクチンを導入できておらず、麻疹の流行のリスクが高いと考えられる6つの大きな国で麻疹の予防接種キャンペーンを支援している。2013年以降、6700万人の小児がGaviの支援する予防接種キャンペーンで麻疹ワクチンを接種した。
2015年ガイドラインにおける使用ワクチンはP.T.Bio Farma(Persero)社の10人用バイアルで生後9月~5歳の小児が対象。
1人当たりの費用は0.25米ドル 、使用期限は36月、バイアル開封後6時間以内に使用

麻疹風疹対策
2014年末までに、生後9月から14歳の小児1億4000万人が、Gaviの支援でMRワクチンを接種した。MRワクチンによる継続的な介入が麻疹の流行と死亡を著しく減少させる。
2015年ガイドラインにおける使用可能なMRワクチンはSerum Institute of India Ltd社の10人用バイアルで1回目の定期接種は生後9月の小児が、キャンペーンで使用する場合は生後9月~5歳の小児が対象。
1人当たりの費用は0.61米ドル、使用期限は24月、バイアル開封後6時間以内に使用  
MRワクチン申請の条件は、1人当たりの国民総所得(GNI per capita)が過去3年間で1580米ドル以下であって、最新の1回目の麻疹含有ワクチンの接種率が80%以上であること、または最新の麻疹ワクチンキャンペーンの接種率が80-90%以上であること

背景
予防接種で完全に予防できる麻疹によって、年間15万人の命が奪われている
2001年以前、年間75万人の小児が、非常に感染力が高く発熱と皮疹を伴う症状を呈する麻疹によって命を失っていた。
WHOによれば、世界の麻疹による死亡は2000年から2013年にかけて75%減少した。
このように著しい改善が見られているものの、2013年においても、推定14万5000人の主に5歳以下の小児が麻疹で死亡している。
また麻疹による死亡の95%は、医療制度の脆弱な低所得国で起きている。
住むところがなく、栄養状態が悪く、医療サービスを受けることができない多くの人々では、麻疹による致死率が10%まで高まる。
免疫機能の低下によって、麻疹により肺炎、下痢、脳炎などの合併症をきたすことがある。
近年の経験では、十分な数の小児に予防接種を実施し、高い集団免疫レベル(93-95%)を維持できないと、麻疹の流行が生じることが分かっている。
WHOによれば、医療制度の脆弱性、紛争、難民などが予防接種の取り組みの妨げとなり、WHO中東地域では、麻疹に対する改善が滞ってきている。
また、欧州地域では、グルジア、トルコ、ウクライナといった多くの国々で麻疹の再流行を認めた。
米国CDCによれば、米国は2014-2015年に麻疹患者が増加した。

予防接種による予防の可能性
麻疹は予防接種で完全に予防可能であり、ワクチンは安全で、有効性が高く、比較的安価で、半世紀以上の使用実績がある。
WHOによれば、麻疹の予防接種により2000年から2013年にかけて1560万人の命が救われており、公衆衛生施策で最も重視すべきはワクチンである。
全ての小児は麻疹の予防接種を2回受けなければならない。
2回目の接種は定期接種として実施されることやキャッチアップキャンペーンで実施されることもある。
アフリカでの麻疹の再流行によって、強固な定期接種と流行に応じた麻疹の予防接種キャンペーンの重要性が再度高まっている。

Gaviの対応
4つの支援によって麻疹の予防を助けている
1. 麻疹の2回目の接種
支援対象国は、決まった方法による2回目の麻疹の予防接種の提供に関する支援を申請することができる。
2回目の接種を行うことは、初回接種を逃した小児やうまく免疫を獲得できなかった小児に免疫を付与する重要な機会となる。
また、1歳の小児における健康管理の体制を強化する機会にもなる。
2. 麻疹の補足的予防接種(キャッチアップキャンペーン)
2012年に、例外的な支援として、6つの麻疹の流行のリスクが高い国である、アフガニスタン、チャド、エチオピア、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、パキスタンに対して、麻疹のキャッチアップキャンペーンを実施することが承認された。
3. 麻疹風疹混合ワクチン
Gaviは風疹ワクチンの定期接種への導入(麻疹ワクチンの1回目の接種をMRワクチンへ変更)を促進するため、生後9月から14歳の広い年齢に対して、MR混合ワクチンによるキャッチアップキャンペーンを支援している。キャンペーンが完遂した時点で、支援国は独自に定期接種の予算を組み、MRワクチンを導入する。
4. 麻疹の流行対応
Gaviは支援国での麻疹の流行時の対策のため、Measles & Rubella Initiativeに2013年から2017年にかけて5500万米ドルを支援している。
M&RIは麻疹での死亡と先天性風疹症候群の発生をなくすために形成された世界的な協力活動であり、米国赤十字、国際連盟、米国CDC、UNICEF、WHOによって運営されている。
またM&RIはGlobal Vaccine Action Planの目標でもある麻疹と風疹の排除を達成することを目的としている。

過去のGaviによる麻疹対策の投資
2004年から2008年に、GaviはMeasles Initiativeのキャンペーンに1億7600万米ドルを提供した。
この支援によって86万人の命が守られた。

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