数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

腐敗撲滅へ不退転の習近平、改革か革命か、中国の数理論理革命の行方

2015-03-15 20:00:35 | 中国関連
様々なマイナス情報により、中国は崩壊寸前ではないかとも思っていましたが、どうやら起死回生の大改革を始めているようです。新たな利権闘争とも見られることもあるかもしれませんが、どうも習近平主席ら中国エリート集団は「本気」のようです。改革なければ革命必定、改革すれば自由が解き放たれて崩壊必定、どう転んでも駄目なら、強力に統制しながら、腐敗撲滅戦争に勝利し、合理的で公平な政治経済システムを作り上げ、最終的に一気に改革を完遂しようということかもしれません。
 あの中国の巨大な腐敗・利権システムを一掃するなどということは、利権まみれの日本人ではちょっと考えられませんが、中国人はやるとなったらやる、4000年培ってきた「政治哲学」というイデオロギーで一指乱れぬ集団行動も可能なのかもしれません。
 そして、もしこの改革が完遂したら、これを梃子に、中国の数理論理革命は物凄いスピード加速し、もはや誰も止めることはできないでしょう。もしかすると、米国も敵わなくなるかもしれません。(日本は腐敗まみれ・不合理の極め、原発震災やインフレなどにより地に落ちるかもしれません。)
 矛盾だらけ(環境問題、格差拡大、腐敗蔓延)の中国ですが、どうにか経済は高度成長(たった20年間で達)し、斑模様ですが豊かになりつつあります。どうやら2段ロケットのブースターのスイッチが入ったのかもしれません。

習近平Wikipediaより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%92%E8%BF%91%E5%B9%B3
「父・習仲勲が批判された文化大革命において反動学生とされ、1969年から7年間、陝西省延安市延川県に下放された。1974年に中国共産党に入党、下放された同地で生産大隊の党支部書記を務めている。1975年に国家重点大学の清華大学化学工程部に入学。1979年に卒業した後、国務院弁公庁で副総理の耿飈の秘書を務めた。」

 文化大革命で7年間下放されています。習近平主席の不屈の闘志は尋常ではないようです。

「…文化大革命の時に社会の底辺で青春時代を過ごし、毛沢東路線の限界を分かっているはずの習近平は、最高指導者に就任してから、なぜ毛沢東時代の再来をほうふつするような政策を続々と打ち出してきたのか。また、腐敗撲滅キャンペーンを大方の予想を超えて深く広く推し進め、腐敗問題の解決に強い決意を示している一方、なぜ言論統制を大きく強化し、公務員の所得公開を求める人まで取り締まってしまったのか…」
「アレクシス・トクヴィルが1856年に著した『旧体制と大革命』という本から、その答えにつながるようなヒントを見つけてみよう。
 もともと歴史学者や政治学者のような専門家しか関心を持っていなかった『旧体制と大革命』が、習近平体制発足の2012年前後に突如、中国の政・財界やインテリ層で大きく脚光を浴びるようになった。
 習近平の両腕役の李克強首相と王岐山・中央規律検査委員会書記が、ともに周辺に強く薦めたのがその契機であり、習近平自身もこの本を熟読したと言われる。本で描かれた革命前夜のフランスの状況が、ほぼそのまま中国の現状に置き換えることができるために、習近平体制の下での中国の針路をめぐって「革命か改革か」という二者択一的な議論が一時期大きく盛り上がった。
 最高指導者に就任した12年末から13年初にかけて、習近平が「憲法に基づいて国を治めよう」と訴えたり、「権力を制度の籠に取り込めよう」と主張したりしていたために、政治改革に向けての機運が高まった。しかしその後、憲政批判キャンペーンや異見者弾圧、言論統制の強化など、政治運営が改革でない方向に切られた。
 そのため、習近平指導部は「悪い政府にとって最も危険なのは、国を良くしようと改革した時だ」という、トクヴィルがフランス革命の勃発要因として取り上げた論断をそのまま受け入れ、改革をせずに現体制を最後まで維持しようと決意したのではないか、との見方が広がった。」

「…現時点では、この本と政治運営をするに当たっての習近平指導部のアプローチの間に、どのような因果関係があったかは確かではない。しかし、中国社会の実態に照らして改めて読み直すと、習近平がこの本から執政のヒントを得ようとするなら、少なくとも当面の間、民主化に向けての改革に踏み切ることをちゅうちょすることになろう。2000年以上に及んだ専制統治によって、トクヴィルがリストアップした革命を引き起こしかねない要件(中央集権の下での行政の専制化や腐敗・特権に対する民衆の不満の急上昇など)が、現在の中国には
ほぼ出そろっているからである。
 中国ではかねて、共産党にとって「改革找死、不改革等死」、つまり改革をすれば自ら体制の崩壊を招き、改革をしなければ体制の崩壊を待つことになる、という言葉がはやっている。習近平指導部は少なくとも現時点において「改革找死」という道を歩まないと決意したのは確かであろう。
 もっとも、トクヴィルが本で述べたように、革命と専制体制の悪循環を断つため、いずれ専制体制に対して抜本的な改革を進めるほかなく、また「不改革等死」という言葉に示される通り、改革をしないことによって短期的に革命を避けることができるものの、中長期的視点から中国社会の安定を図るに当たっては、現体制に対する改革はいずれ避けて通れない。
 習近平は果たして、フランス革命から中国社会の中長期的安定を達成するに当たってのヒントを得ることができるのか。毛沢東的政治手法の取り入れを含む強い政治統制によって腐敗の蔓まんえん延に歯止めをかけ、共産党に対する国民の信頼をある程度取り戻した時、政治家としての習近平にとっての本格的な挑戦が訪れてくるのであろう。(引用終わり)」

『「中国共産党2.0」を目指す習近平の闘い』津上俊哉 現代中国研究家より 
「中国で習近平政権が誕生してから、四つの大きな変化が起きた。大胆な「三中全会改革」、習近平への権力集中、厳しい反腐敗闘争、そして、より厳しい言論・思想統制だ。すべての変化は一つの原因に起因している。胡錦濤政権の10年間に起きた統治の劣化が経済、政治、社会に深刻な問題を生みつつあり、中国共産党を脅かしている、ということだ。
 いま中国では、これらの「問題を引き起こした」胡錦濤・前主席、とくに温家宝・前首相を罵倒する声が絶えないが、誰が指導者をやっても大差ない結果だっただろう。この10年間に起きた深刻な退行の根底には、中国の経済・社会の10年単位の大きな蛇行があったからだ。

■ 1990年代後半~2000年代前半:捨て身の改革

 この時期、市場経済体制への移行を進めるさなかに財政窮乏と成長鈍化に直面した中国共産党は、捨て身の改革を実行した。マルクス主義と国粋主義に固執する保守派の抵抗を抑えこんで世界貿易機関(WTO)加盟を果たし、「民進国退」改革(経済民営化)を進めたのである。その叡智(えいち)と勇気は称賛に値したし、その後の飛躍的な経済成長という配当で報いられた。
 しかし、この改革は、中国共産党の伝統的な政治重心から大きく「右」に外れていた。2000年代半ば、飛躍的な成長で体制が危機を脱し、政府と国有経済の懐に富が流れ込むと、元の重心に戻ろうとする左旋回が始まり、耐乏を強いられてきた体制内の既得権益層も膨張を始めた。
 また、ほんとうは、経済が成長し、社会が新しい発展段階に移行したこの時期に、統治体制もアップデートする必要があった。巨大化、高度化、複雑化した経済社会は、分権しなければ統治できないし、分散された権限は、その場その場で監督を受けなければならない。「西側流の三権分立」でないにしても、立法機関や司法機関による各級政府の監督を強化し、ようやく育ってきた公民による社会的監督も強化されるべきだった。しかし、天安門事件(1989年)で政治体制改革を封印した結果、中国共産党が全ての権力を掌握し、「上から下へ」の単線的な監督の仕組みしかない時代遅れな統治体制がアップデートされることはなかった。

■ 2000年代後半~2010年代前半:「大国の復活」

 2000年代前半、改革の退行が始まったことに対して、改革派は警鐘を鳴らしたが、2008年に襲ったリーマンショックがその声をかき消してしまった。「4兆元投資」に始まった投資拡大と野放図な金融緩和は、中国の負債と資産(投資)を急激に膨張させた。この投資バブルにより、いっときの間、成長率は大きく嵩(かさ)上げされ、世界で独り中国経済だけが劇的に回復し、低迷を続ける西側経済と明暗が分かれた。
 その対照が中国と中国人を「西側の没落・大国中国の復活」という陶酔感に陥れ、傲慢(ごうまん)にした。中国の対外姿勢は一挙に攻撃的になった。また、その過程で、信じられない規模の汚職が行われ、その前の10年に産み出された配当を浪費し、私物化してしまった。時代遅れな統治体制は、その滔々(とうとう)たる流れを防ぐことができなかった。引退した二人の元指導者は、この大きなうねりに翻弄(ほんろう)される木の葉のような存在だった。

■ 2010年代後半~:放縦のツケ

 いま、壮大な浪費パーティーは終わり、過去10年間の放縦のツケが中国を襲っている。中国経済の潜在成長率はいまでも5%前後あるだろうが、それは今後も5%前後の成長を続けられることを意味しない。中国経済のバランスシートは、過去5年間に2倍以上に膨れ上がった。しかし、積み上がった資産(投資)は低収益で、負債を償還できそうもないものが多い。その結果、バランスシートに毀損(きそん)が広がっている。
 このような時期には、投資と負債借り入れが自然に低下する――市場経済にはそういう安定装置が組み込まれている。反動により有効需要不足に陥り、成長はいっとき大幅に低下してしまうが、バランスシートが破綻してしまわないためには必要な過程なのである。しかし、中国共産党は「成長低下が統治を揺るがせる」ことを恐れて、バランスシートの毀損に歯止めをかけられずに苦しんでいる。
 中国経済が直面する問題は、投資バブルの後遺症に留まらない。少子化に直面している中国が今後も成長を持続する鍵は生産性の向上だ。しかし、前の10年に進行した「国進民退」(公有セクターの膨張)が要素生産性の向上を阻んでいる。10年後には、いまの日本同様、生産性を向上させても労働投入の減少で相殺されて、実質成長が阻まれる未来が待っているのに、である。
 政治的には、統治体制改革の遅れ(権力に対する有効な監督の欠如)が招いた腐敗、人権侵害、環境破壊、社会不安――山のような問題を改善しなければならない。

■ 存亡をかけた危機感

 2年前、習近平が中国共産党総書記の地位を相続したとき、待ち受ける状況の深刻さをどこまで認識していたかは分からないが、2013年初めには習近平だけでなく体制内の多くの人が「このままでは中国共産党の統治は崩壊してしまう」という深刻な危機感に襲われたと思われる。
 昨年11月の三中全会は、経済のみならず国政全般にわたって大胆な改革案を打ち出した。その内容の多くは、過去10年改革派が必要性を叫び続けてきたが、主流派は一貫して取り合ってこなかったものだ。10年間無視され続けてきた改革案が、なぜ去年急に採用されたのか――答は体制の危機感の高まりに求めるしかない。
 従来、中国共産党は、国家指導者層では「集団指導」を行う方針だった。しかし、習近平の就任後に起きたことは、過去20年以上見かけなかった権力の集中である。「難局を乗り切るには強いリーダーが必要だ」からである。いわば、体制の危機感が習近平を強くて怖い「シングル・トップ」の地位に押し上げたのである。
 反腐敗運動は、範囲も厳しさも期間の長さも、人々の予想を上回って続いている。贅沢(ぜいたく)に明け暮れてきた党の役人にも、頭から冷や水をぶっかけるような綱紀粛正の命令が下された。そうしなければ、共産党は国民に申し開きができない。
 就任当初、人々は習近平に民主化を期待したが、実際に起きたことは、言論弾圧と思想統制の大幅強化だった。習近平は、この先経済も社会も、状況はもっと悪化していくことを見通している。いわば遭難しかけた船の船長よろしく、乗客に勝手な行動を許さない覚悟を固めているのだろう。言葉を換えれば、ひそかに戒厳令を下したようなものである。
 過去2年の間に起きたこれらの大きな変化は、すべて中国が2009年以降の投資バブルを経て、未曽有の難局に直面する新しい10年に入ったこと、そして習近平をトップとする中国共産党の体制が、存亡をかけた危機感をもってこの難局に臨んでいると仮定することで、整合的に説明できる。

■ 体制改革を阻む抵抗

「政府は後ろに退いて、代わりに市場が決定的な作用を果たす経済成長の仕組みを作り上げる」――これは従来の「改革開放」政策をアップデートするものといえるが、三中全会決定の内容は経済だけではなかった。「決定」は、司法や立法が行政権力を監督する仕組みも提唱した。これを本格的に導入すれば、政権交代の仕組みのない中国で、政権交代以上の体制変革になる。それは「中国の特色ある社会主義統治体制」と説明されるのかもしれないが、小平が定めた「四つの基本原則」(注)を大幅に改訂して「中国共産党2.0」を目指すのに等しい。
 しかし、三中全会から既に半年が経つのに、改革の歩みは緩慢だ。党の役人は、反腐敗や綱紀粛正の暴風の前に身を縮めて動こうとせず、あるいは、習近平が小平を超えて「毛沢東級」の指導者になれるかどうか、様子見していると聞く。
 小平も強い指導者だったが、党の長老の抵抗には手を焼いた。これに対して、毛沢東はオール・マイティだった。様子見をする役人たちは、習近平の改革は(解任することができない)長老の抵抗に遭うと見ているのだ。
 その懸念は現実になるかもしれない。しかし、その場合、習近平は強い指導者になったのも束の間、今度は急速にレームダックに追い込まれ、中国はハード・ランディングに追い込まれるだろう――経済だけでなく政治も。
 体制変革を阻む巨大な抵抗を向こうに回して、習近平は、利害も価値観も異なる党内諸勢力による統一戦線を結成して対抗しているのかもしれない。恐ろしく頑迷固陋(ころう)な保守派が言論や思想の統制の仕事に当たっていることはその証しである。彼らは「党とその王朝を救え」という危機感は共有していても、「中共2.0」の理念は共有していないのではないか。

「市場が決定的な作用を果たす」新しい経済成長の仕組みを作りあげるためにも、「中国の特色ある」新しい権力監督システムを導入するためにも、いまは毛沢東ばりの権威を手にしなければならない――何という皮肉だろうか。我々西側の人間は、そういう矛盾を孕(はら)んだやり方に懐疑的になるし、いま行われている言論弾圧にも嫌悪感を覚える。 しかし、「独裁体制という雑草を刈り取れば、民主体制という作物が自然に生えてくる」訳ではない。イラク、アフガニスタンや中東の春がそのことを教えてくれたいま、我々は、これまでどおりの自信を持って、中国人に「西側の流儀を学べ」と説教できるだろうか。

 ひっきょう中国の行方は、中国人しか決められない。だが、習近平のこの闘いの結末は、外の我々にも巨大な影響を及ぼすだろう。

注:「四つの基本原則」:1979年に小平が提唱し、中共が今日まで堅持している政治原則の一つ。「社会主義の道」「プロレタリアート独裁」「中国共産党の指導」「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想」の四つを堅持しなければならない、とする。

AJWフォーラム英語版論文

(2014年8月4日AJWフォーラムより転載)(引用終わり)」


「中国で1949年の建国以来と言われる大がかりな汚職・腐敗撲滅運動が展開されている。習近平氏が2012年11月に中国共産党の総書記に就任して以来、「虎もハエも叩く」の掛け声のもと、これまでに6万人以上の党員が処分された。14年12月5日には胡錦濤政権時代に最高指導部の党政治局常務委員を務めた周永康氏が「重大な規律違反」容疑で逮捕された。
 周氏は公安・司法分野の責任者を務めたほか、有力国有企業の中国石油天然気集団(CNPC)のトップの経歴もあり、長らく石油産業の中心人物でもあった。従来、党政治局常任委員経験者は逮捕されないとの不文律を破ってまでも断行された背景には、いくつかの要因がある。まず中国国内の格差拡大と腐敗のまん延を放置できなくなったことだ。共産党統治の正統性が問われていることに危機感を抱き、司法が及ばないとみられた周氏のような大物をサプライズ的に失脚させることで、汚職一掃に真剣に取り組んでいるという強いメッセージを国民に送ることができると考えたようだ。

◆国民大衆は喝采送る

 中国国内のインターネット空間には、習国家主席による汚職追放キャンペーンを肯定するメッセージが溢れている。14年11月18日、中国の動画投稿サイトにアップされた習氏を礼賛する歌と動画は1週間で再生回数が4000万回を超えた。
 今後、かつての薄煕来(元重慶市総書記)裁判のように、収賄、横領、権力乱用の訴求に対し、反論の機会を与えながら、腐敗撲滅に賭ける強い決意をアピールしていくとみられる。公判報道は国民大衆への格好の教宣材料となるのだ。
「周失脚事件」は中国の党や政府の幹部に衝撃を与えている。中国社会では収賄や利益誘導がまん延しており、次は自分のところに司直の手が及ぶかもしれないと懸念する幹部は多い。党員は高級レストランで食事をしているところを目撃されたり、高価な時計を腕にはめていることをさとられたりすることも恐れている。世界最大6億人のネット民がブログや中国版ツイッター(微博)などで目を光らせているのだ。共産党や政府の役人が国家国民の利益より自己の利益を優先しているとの疑念を抱いている国民は多い。
 

◆「虎退治」、派閥に関係なく叩く

 周氏逮捕の2週間後の12月22日、今度は胡錦濤前国家主席を輩出した共産主義青年団(共青団)出身の令計画・党統一戦線部長が取り調べを受けた。江沢民元国家主席ら保守長老を牽制し権力基盤を強化することも狙っているようだ。事情通によると、江、胡両氏は党の中核だった元幹部や有力者の家族に対する摘発を抑制すべきだと進言したものの習氏はこれを一蹴したといわれている。国家主席や政治局常務委員経験者であっても摘発の例外としないことを示すことによって、政務や人事への介入を慎むよう警告する意味合いもあろう。この腐敗撲滅運動は、党幹部の綱紀粛正、格差拡大の温床になっている国有企業改革、政敵打倒による権力基盤強化の「一石三鳥」を狙ったものといえる。
 14年4月には江沢民氏に近い華潤グループ(電力会社)の宋林・董事長が巨額の汚職の疑いで捕まったが、宋林氏は、電力界の大物、李小鵬氏と緊密な間柄。父親の李鵬・元首相や妹の李小琳とともに、中国の電力界をリードしている。また同年9月には袁純清・山西省党書記が解任されている。ともに共青団の有力メンバーである。電力閥は、江沢民派でも共青団も差別なしに、「虎退治」のターゲットになっているのだ。
 中国共産党幹部の腐敗は、救いようがないほど蔓延し、習氏は、このままでは中国が滅びてしまうとの危機感を抱いているとされる。石油閥の後は電力閥が次の退治のターゲットになっているのは、ともに巨大な独占的利益集団である国有企業だからだ。国有企業を抜本的に改革しなければ、中国の経済発展が行き詰まると考えているという。
 習近平国家主席への圧倒的な権力集中を背景に、規制緩和、権限委譲、国有企業改革、経済改革、司法改革、戸籍改革、地方財政改革を断行する構え。習主席は「2020年までに改革達成」へ背水の陣を敷いており、これらの大胆な改革が実現するかが中国の命運を握るカギとなる。

 中国政治研究者によると、習近平政権の特徴は(1)権力の集中と党内派閥(太子党、共産主義青年団)の解消(2)空前絶後の腐敗撲滅(3)大胆な改革(4)厳しい言論統制(5)改革派だけでなく保守派とも協調―など。広範な階層から支持されており、「中興の祖」となる可能性もあるという。「皇帝が進める市場化改革」と言えるが、民主化、言論の自由なしに進展するかどうか。改革が進展しなければ、急速にレームダック化する可能性もある。

◆習主席、人民解放軍を掌握―江沢民派の影響排除

 人民解放軍は元来江沢民氏の影響下にあったが、習主席は制服組トップだった徐才厚氏(江沢民派)を昨年、「反腐敗」の象徴として党籍はく奪処分にした。ところが江沢民の影響を受けた者すべての粛清は非現実的だ と判断して、不問に付した。象徴的な人物を見せしめ的に叩くことによって他の者たちに忠誠を誓わせ、この結果、習主席は人民解放軍を掌握した。この点、江沢民の影響排除に失敗した胡錦濤前主席と異なる。
 習近平国家主席は、14年12月22日、令計画氏の取り調べを公表した際、「党内では絶対に封建時代の結託を再現してはならない。仲間を呼び寄せて徒党を組み、特定の仲間だけしか入れない入場券を出すような、あの封建時代を再現してはならない。全ての党員が平等に取り扱われ、平等に権利を持っていなければならない」と警告した。既得権益者=独占国有企業グループの腐敗にメスを入れなければ、これまでの歴代王朝時代と同じように、65年続いた中国共産党「王朝」が崩壊する崖っぷちに追い込まれていることを自覚しているのだろう。
 習氏が見据えるのは、党最高指導部の政治局常務委員7人のうち、習氏と李氏以外の5人が入れ替わる17年の次期党大会だ。22年から始まる「ポスト習」時代の最高指導部の陣容もこのとき見えてくる。江沢民、胡錦濤両氏は次期党総書記を選べなかった。習氏が自ら指名できれば、毛沢東、トウ小平両氏以来となり、この2人のカリスマに続く「大物指導者の仲間入りする」との説まで取りざたされている。(八牧浩行) (引用終わり)」

 中国の共産党(人民解放軍含む)の幹部の腐敗振りはあまりにも度が過ぎて、本当にこのまま自壊してしまうと思いました。しかし、習近平の不退転の腐敗撲滅運動により、メスが入りつつあるようです。
 中国では、このまま党幹部の腐敗が続けば、フランス革命のような市民革命により自壊してしまうと考えているようです(そうなれば共産党幹部はさらし首になるのは免れないと思います)。しかし、民主的な改革を進めれば、市民の自由への渇望のタガが外れて、共産党は崩壊してしまうとも考えているようです(共産党幹部への断罪が行われるでしょう)。
 つまり「市民革命」に至っても、「民主改革」によっても、中国共産党は崩壊してしまう(中国という統一した国も分裂してしまう)。
 そのため、習近平やそのグループは、まず「腐敗撲滅」を徹底的(仮借なく)に行い(虎も蝿も叩く)、党や人民解放軍の癌細胞を全摘出する方針のようです。その「腐敗撲滅戦争」の間は、利権派が徹底抗戦の上、現体制を崩壊させるような揺さぶりをかけるため、市民・党・軍に対するタガを締め付け(自由は当分お預け)、包囲殲滅する作戦のようです。
 もし、中国がこの腐敗撲滅戦争を勝ち抜けば、相当合理的で民主的な社会主義体制に変身することができると思います。そしてこれは数理論理革命を達成するための前提条件になり、起爆剤ともなると思います。




参考:『香港大富豪をケイマンに脱出させた習近平改革の威力』DIAMOND onlineより


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