数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

免疫(9)白血球の種類、血液細胞の起源はマクロファージ?

2023-09-02 10:48:59 | 免疫
1.白血球の種類 
 白血球とは、外部から侵入した異物(細菌・ウイルスなど)や自己の細胞が変異(腫瘍細胞や老化細胞など)したものを排除・分解する免疫細胞で、ヒトでは造血幹細胞から作られます。
 種類としては以下のようなものがあります。
(1)単球
 単球は、最も大きなタイプの白血球であり、マクロファージ(食細胞、抗原提示も行う)や樹状細胞(抗原提示細胞)に分化します。単球の外観はアメーバのようであり、細胞の中には大量の抗菌物質などの顆粒が入っています。ヒトでの単球の白血球に占める割合は2%から10%で、免疫機能において複数の役割を果たします。
 単球は骨髄の単芽球と呼ばれる造血幹細胞の前駆細胞から作られ、血流中を約1-3日間循環した後、通常は体内の組織に移動して、マクロファージ又は樹状細胞に分化します。また単球の半数は、脾臓に予備として貯蔵されているようです。
 免疫系において、単球(マクロファージ、樹状細胞)は以下のような機能を果します。
●食作用
 単球はパターン認識受容体からの情報や病原体に結合した抗体や補体を目印として、病原体を取り込み消化・破壊します。
●抗原提示
 単球は食作用によって分解された病原体の断片をMHC分子を介して細胞表面に提示して、それを認識したTリンパ球を活性化させ、獲得免疫(液性免疫(抗体)・細胞性免疫(キラーT細胞))を始動させます。
 単球は警戒情報のサイトカイン(情報伝達物質)を産出して放出します。
 
(2)好中球
 顆粒球(抗菌物質などを含む)と呼ばれるものの一つで、侵入した細菌や真菌類を貪食(取り込み)して殺菌します。白血球全体の60~65%を占め、最も多く存在する食細胞です。
 細菌などが侵入するとまずマクロファージや肥満細胞が対応して、警戒情報のサイトカインを放出して、感染細胞を炎症化させます。好中球はその警戒情報をキャッチして、血管を遊走し、炎症化した細胞に行って食作用を行います。細菌類を食作用した好中球はやがて死んで、その死体が膿になります。膿はマクロファージなどが処理します。
 
 (3)好塩基球
 好塩基球は白血球の中で占める割合が0.5%にすぎず、少し前まではその役割が良く分かっていなかったようです。
 好塩基球も顆粒球の一つで、顆粒の中にはヒスタミンセロトニンヘパリン(血液凝固阻害)が含まれています。 好塩基球はいろいろな炎症性反応に関係しているようで、アレルギー反応を引き起こします。

「好塩基球は慢性アレルギー炎症を誘導する細胞だった!!
 …好塩基球がIgE依存的慢性アレルギー炎症をひきこす主役であることをつきとめました(Immunity, 2005)
 好塩基球はアナフィラキシー・ショックにも関係していた!!
 …私たちの最近の研究により、IgEが関与する全身性アナフィラキシーにおいてはマスト細胞が、IgGが関与する全身性アナフィラキシーにおいては好塩基球が重要であり、即時型アレルギー反応である全身性アナフィラキシーにおいて、好塩基球はマスト細胞とは明らかに異なる役割を果たしていることが判明しました(Immunity, 2008)
 外部寄生虫であるマダニに対する免疫に好塩基球が重要だった!!
                  (引用終わり)」
(4)好酸球
 好酸球は顆粒球の1つであり、I型アレルギーや寄生虫の感染などで増殖します。好酸球は好中球と同じように走行し、抗菌物質(顆粒球)を放出したりします。なお好酸球はサイトカイン(IL-10など)を放出して免疫反応を調節しているとも見られいます。 
 なおI型アレルギーとは、IgEというタイプの免疫ブログリン(抗体)が肥満細胞や好塩基球に結合し、そこに抗原が結合すると、好塩基球などからヒスタミンやセロトニンが放出されることによって、血管拡張・血管透過性亢進などが引き起こされ、浮腫や掻痒などの即時反応型のアレルギー症状が出るものです。
 
(5)リンパ球
 リンパ球には、獲得免疫を担うT細胞(司令塔のヘルパーT細胞・細胞性免疫のキラーT細胞)やB細胞液性免疫の抗体を産出)、また自然免疫であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)があります。
 獲得免疫は脊椎動物が持つ高度特異的(病原体の個別具体的な特徴を認識できる)な免疫システムです。一度、病原体(抗原)が侵入すると、その病原体の標識に合致した細胞(T細胞・B細胞)がコピー保存(記憶)され、再度の侵入のときは即時に免疫システムを発動できます。
 NK細胞は、大型の顆粒性(抗菌物質を内蔵する)リンパ球であり、独自に細胞の異常(腫瘍細胞、癌細胞など)を認識する複数の受容体を持ち、それらの情報から異常細胞を攻撃します。NK細胞は自己細胞を傷害するため、誤って正常な自己細胞を攻撃しないように厳密に制御されているようです。NK細胞はサイトカイン(インターフェロンなど)の放出などにより活性化されるようです。 

2.白血球など血液細胞の起源はマクロファージ?
 この複雑な白血球はどのようにできたのでしょうか?それについて、すべての動物が持つマクロファージが起源なのではないかとの研究もあるようです。
 全ての動物ではCEBPαという転写因子(DNAに結合するタンパク質で遺伝子の転写を調整する)が唯一共通してあり、それが発現するとマクロファージになってしまうので、高等動物では様々な血液細胞を作るためにCEBPαが抑制されているとのことです。
「赤血球や血小板、好中球、マクロファージ(食細胞)、リンパ球など、体内には様々な血液の細胞が存在しますが、その進化的起源については不明な部分が多く、マクロファージはほぼ全ての動物にも存在することから、「マクロファージが起源であろう」と漠然と推測されてきただけでした。本研究では、マウスから単細胞生物にまで渡る広範な生物種の遺伝子発現状態を包括的に比較し、血液細胞の起源がマクロファージであること、その遺伝学的特徴が単細胞生物から保存されていることを突き止めました。 


…脊椎動物において、赤血球や T 細胞などの多様な血液細胞がいかにして出現したのかの解明に挑み ました。赤血球や、巨核球、T 細胞、B 細胞では、CEBPαが発現すると、もとの状態を失ってマクロファージ へと転換してしまいます。したがって、これらの血液細胞では、CEBPαは抑制され続けなければなりません。 どうやって CEBPαが抑制されているのかをマウスを用いて調べたところ、赤血球や、巨核球、T 細胞、B 細胞 に共通して、ポリコーム複合体 が抑制していることが明らかとなりました。マウスの血液細胞で、ポリコ ーム複合体の構成蛋白である Ring1A と Ring1B を欠失させてポリコーム複合体の機能を失わせると、赤血球、 巨核球、T 細胞、B 細胞において CEBPαの発現が上昇し、マクロファージへと転換してしまうことがわかり ました。
(引用終わり)」
「造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう; hematopoietic stem cell - HSC)とは血球系細胞に分化可能な幹細胞である。ヒト成体では主に骨髄に存在し、白血球(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、マクロファージ)、赤血球、巨核球、血小板、肥満細胞、樹状細胞を生み出す。血球芽細胞、骨髄幹細胞ともいう。幹細胞の定義として、一個の細胞が分裂の結果2種類以上の細胞系統に分化 (differentiation) 可能であると同時に幹細胞自体にも分裂可能であり(self renewal: 自己複製)結果として幹細胞が絶える事なく生体内の状況に応じて分化、自己複製を調整し必要な細胞を供給している事になる。この過程を造血という。 
 血球系の細胞には寿命があり、造血組織より供給されなくなると徐々に減って行く。この寿命は血球の種類によって異なり、ヒトでは赤血球(約120日)、リンパ球(数日から数十年)、好中球(約1日)、血小板(3~4日)などである。ヒトの造血組織は骨髄内に存在するが、全ての骨の骨髄で造血が行われる訳ではなく、胸骨、肋骨、脊椎、骨盤など体幹の中心部分にある、扁平骨や短骨で主に行われる。その他の長管骨の骨髄では出生後しばらくは造血機能を持つが、青年期以降は造血機能を失い、加齢とともに徐々に辺縁部位が脂肪組織に置き換わって行く。最長の大腿骨でも25歳前後で造血機能を失う。なお、発生直後から骨髄で造血されているわけではなく、骨髄造血が始まるのは胎生4ヶ月頃からである。それ以前は初期は卵黄嚢で、中期は肝臓と脾臓で造血される。なお、肝臓と脾臓は造血機能を完全に失うわけではなく、血液疾患時には造血が見られることもある。骨髄には造血細胞だけでなく、脂肪細胞、マクロファージ、間葉幹細胞などが存在し、造血細胞の中にも、分化した上記血球系細胞およびそれらの前駆細胞が存在している。多分化能を保った造血幹細胞はこれらの中のごく一部であり、最新の学説においては、骨組織と骨髄の境界領域に高頻度に存在し、骨組織内の骨芽細胞(osteoblast)との接触がその維持に重要と考えられている。(造血幹細胞ニッチ) 」

「白血球(はっけっきゅう、英: white blood cellあるいは英: leukocyte)とは、生体防御に際した免疫を担当する細胞である単球(マクロファージ)、リンパ球、好中球、好塩基球、好酸球の5種類を含んだ総称的物質を指す。
この細胞成分は、外部から体内に侵入した細菌・ウイルスなどの異物の排除や、腫瘍細胞・役目を終えた細胞の排除及び分解殺失などを役割とする造血幹細胞由来の細胞である。
 血液検査などではWBCと表されることが多い。
 大きさは6から30µm(マクロファージはそれ以上)。数は、男女差はなく、正常血液3,500~9,500/μL(1 µLあたり、3,500から9,500個)程度である。
…末梢血内には顆粒球・リンパ球・単球があり、顆粒球はギムザ染色による染色のされ方の違いによって好中球、好酸球、好塩基球の3つに分類される[1]。
したがって末梢血内の白血球は通常、好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球の5種類とされる。
 顆粒球は骨髄で産出され、末梢血内の白血球の半分から3/4程度を占める[。細胞質には殺菌作用を持つ顆粒が存在する。リンパ球は末梢血内の20から40%を占め、単球は3から6%ほどを占める。
 組織内には単球の分化が進み組織ごとに適応し、異物の呑食・不要になった体細胞の処理、体液性免疫細胞への抗原提示、サイトカインの放出などさまざまな役割を果たすマクロファージが存在する。」

「単球は、アメーバのような外観で、顆粒を細胞質にもつ。アズール顆粒(azurophil granules)をもつ単核の白血球の1つである。単球の核の典型的な形状は楕円形であり、豆あるいは、腎臓のような形をしている。この特徴で顆粒球と見分けられる。単球は、人体の全ての白血球の2%から10%を占め、免疫機能において複数の役割を果たす。単球の役割には
  1. 通常の条件下で常在マクロファージを補充すること
  2. 組織内の感染部位からの炎症に応答して約8-12時間以内に移動していくこと
  3. マクロファージまたは樹状細胞への分化
が含まれる。成人では、単球の半数は脾臓に備蓄されている[2]。 単球は、一般に、大きな腎臓のような核が染色されることで同定される。これらは適切な組織に入った後にマクロファージに変化する。その後、血管の内皮で泡沫細胞(foam cells)となる場合ある。
 単球は、骨髄の単芽球と呼ばれる前駆細胞から生産される。単芽球は、造血幹細胞から分化する。単球は血流中で約1-3日間循環し、次いで通常は体内の組織に移動する。単球は、血液中の白血球の3-8%を占める。単球の半数は、脾臓の中の「red pulp's Cords of Billroth(脾臓の中の一部の名称)」でかたまって、予備として貯蔵されている[2]。単球はいろいろな組織で、異なるタイプのマクロファージに成熟する。単球は、血液に含まれる最大の細胞である。
血流から他の組織に移動する単球は、組織に常在するマクロファージまたは樹状細胞に分化する。マクロファージは組織を異物から保護する役割を担っているが、心臓や脳などの重要な器官の形成にも重要であると考えられている。マクロファージは、大きな平滑な核をもち、細胞質が広い領域を占め、異物を処理するために多くの小胞を細胞内部にもっている。
 単球およびマクロファージ、樹状細胞は、免疫系において3つの主要な機能を果たす。 食作用、抗原提示、およびサイトカイン産生である。 食作用では、微生物および粒子を取り込み、その物質の消化および破壊をする。 単球は、病原体を認識するパターン認識受容体を介して直接微生物に結合することに加えて、病原体に結合する抗体または補体などの中間タンパク質を目印に食作用ができる。 そのように標識されることをオプソニン化という。単球は、抗体依存性細胞障害の細胞毒性を使って感染宿主細胞を死滅させることもできる。Vacuolization(異物が入っている小胞)は、異物を食作用で取り込んで間もない細胞に存在する。
 …食作用での消化の後に残っている微生物断片は、抗原として役立ち得る。断片はMHC分子に取り込まれ、単球(およびマクロファージおよび樹状細胞)の細胞表面に輸送される。この過程は抗原提示と呼ばれ、Tリンパ球の活性化をもたらし、Tリンパ球が抗原に対する特異的免疫応答を行う。他の病原体の成分は、単球を直接活性化することができ、まずは炎症性サイトカインの、そして後に抗炎症性サイトカインの生成をもたらす。 単球によって産生される典型的なサイトカインは、TNF、IL-1、およびIL-12である。
 
ヒトの血液中には、少なくとも3つのタイプの単球が存在する
  1.  古典的単球は、CD14細胞表面受容体の高レベル発現によって特徴付けられる(CD14++ CD16-単球)。
  2. 非古典的単球は、CD14の低レベルの発現、およびCD16受容体の発現を示す(CD14+ CD16++単球)。[4]
  3. CD14の高レベル発現およびCD16の低レベル発現を伴う中間単球(CD14++ CD16+単球)。」
「顆粒球は多形核白血球とも呼び、好中球・好酸球・好塩基球が含まれる。顆粒球の特徴は、微生物を殺したり組織を消化する成分を含む顆粒を持つことである。
 顆粒球のもつ顆粒には、アズール顆粒(一次顆粒)と特異顆粒(英語版)(二次顆粒。好中球の場合は三次顆粒もある)がある。特異顆粒は顆粒球のみにみられるもので、特異顆粒の染色上の挙動により、顆粒球は、好中球(微細な赤褐色の顆粒)、好酸球(粗大な橙赤色の顆粒)、好塩基球(粗大な青黒色の顆粒)の三種に分けられている。
 全ての顆粒球に、一次顆粒とよばれるアズール顆粒が存在する。 
 一次顆粒は、各種の抗菌物質を大量に含有しており、食胞と融合して貪食された微生物を殺すのに重要な役割を果たしている。例をあげる:
  • ミエロペルオキシダーゼ:過酸化水素と塩素イオンから次亜塩素酸イオンを生成して殺菌作用を発揮する。好中球の乾燥重量の5%程度存在を占め、膿が緑色に見える原因。
  • ディフェンシン:陽イオン性の蛋白で各種の細菌、真菌、ウイルスを殺す作用があり、好中球の蛋白のほぼ5%程度を占める。
  • リゾチーム:細菌細胞壁のペプチドグリカンを分解する(リゾチームは特異顆粒にも含まれている)。
  • アズロシジン:抗菌・抗真菌活性を持つ。
 一次顆粒は、その他、好中球エラスターゼ、カテプシンG、などのプロテアーゼ(蛋白分解酵素)も含んでおり、細胞外に放出されて、病原体の除去や局所の炎症過程の制御に関与する。」

第7話_自然免疫系の仕組み
「自然免疫系の仕組み
 免疫は、大きく自然免疫系と獲得免疫系に分けられ る。自然免疫とは、体に最初から備わって いる仕組みのことで、病原体が侵入して来 たらすぐに働けるのが特徴である。自然免疫系では、細菌に共通の成分だとか、ウイルスに共通する成分などと結合できる分子が用いられている。
…自然免疫系の仕組みは、 脊椎動物、無脊椎動物を問わず動物界に広くみられるものである。最前線で働いているのは、抗菌ペプチドやリゾチームなどの ような、異物の認識能力と攻撃能力を兼ね備えた分子である。主に上皮系の細胞によって産生され、血液中や粘液中 に存在している。次は自然免疫系の主役、 食細胞である。食作用においては、食べる べきものかどうかを見分けるためのレセ プターや、病原体側にくっついて「味付け役」をする分子が働いている(図2-2、 図2-3)。他に、ナチュラルキラー(NK)細胞という、他の細胞を殺す事ができる細胞も働いている(図2-4)。この細胞は、 感染などで傷害を受けた細胞を見分ける レセプターを出している。
自然免疫系と獲得免疫系をつなぐ仕組み
 自然免疫系の仕組みの中には、病原体のセンサーとして働いて、「病原体来襲」の 警報を出す事に貢献する分子がある。1990 年代後半に発見されたトル様受容体 (TLR)という分子群は、主に食細胞が出している。10 種類くらいあり、 バクテリアやウイルスの成分を分業して 感知している。一方、食細胞を含む体の多くの細胞は、細胞内に病原体の存在を感知するレセプターを持っている(図2-6)。 NLR や、RLR と呼ばれる分子群である。
 これらの センサー系は自然免疫系の反応の中で働 くだけでなく、獲得免疫反応の始動役としても働く。

自然免疫系と獲得免疫系の連携  
…ある病原体が感染し たとき、まず抗菌物質が作用し、さらに食細胞が貪食する。感染細胞は NK 細胞が殺傷する。抗原を取り込んだ樹状細胞は TLR などのセンサー分子 で活性化され、活性化さ れた樹状細胞は、その病原体に特異的に反応できるキラーT 細胞 とヘルパーT 細胞を活性化する。キラーT 細胞は抗原特異的に感染細胞を殺す。 ヘルパーT 細胞は、食細胞と B 細胞を「抗 原特異的に」活性化する。これは第5回で 述べたとおり、抗原を取り込んだ食細胞や B 細胞だけを活性化するからである。ヘル パーT細胞はNK細胞やキラーT細胞も活性 化するが、こちらは必ずしも抗原特異的で はない。これらのうち食細胞や NK 細胞に 働きかける部分は、自然免疫系の反応を増 強する作用であるといえる。 活性化された B 細胞は、抗体を産生する。 抗体は病原体に結合して感染能力を無くしてしまえるので、それは獲得免疫系だけ で完結した反応といえよう。一方、抗体は 病原体と結合することで食細胞に食べて もらうための味付け役をしたり、補体とい う分子を呼び込んで細菌を殺傷したりも する。この時は、最終的には自然免疫系の 仕組みが使われている事になる。 」

免疫学入門 | Rebirthel
第16話_いろいろな生物の免疫の仕組み
「まず動物のおおまかな分類を解説する。 構造的に、口がないもの(海綿動物)、口が肛門を兼ねるもの(腔腸動物)、口と肛門があるものに分けられ、口と肛門のある ものの中では発生過程で口が先にできる のが前口動物で、後にできるのが後口動物 である(図 1)。 全ての動物は自然免疫系を有するが、獲得免疫系を有するのは脊椎動物だけで、種の数としては動物界全体の数%にすぎな い。ほとんどの無脊椎動物は自然免疫系だ けで生きているのである。
…軟骨魚類以上の脊椎動物は、すべて同じ タイプの獲得免疫系を有している。種による違いをみていこう。全ての種において T 細胞は胸腺でつくられており、T 細胞系は 大枠ではほぼ同じである。
…一方 B 細胞のつくられ方は、種による違いが大きい。…マウス やヒトでは遺伝子断片がランダムに組み 換えられる様式で多様性がつくられる。しかしニワトリでは多様性は組み換えでは 生じず、遺伝子変換と体細胞超変異でつく られる。前者は一度できた抗体遺伝子の一 部分を後で入れ替えるという様式で、後者は点突然変異を誘導するという様式である。哺乳類でもウサギ、ウシのように主に 遺伝子変換と体細胞超変異で多様性を得 る種もいる。つくられる場所も、マウスや ヒトでは骨髄だが、ニワトリではファブリ キウス嚢という肛門の近くの器官、ウサギ では虫垂、ヒツジでは腸管のパイエル板と、 大きく異なっている。」





















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