モーツァルトが弱冠14歳でイタリア旅行中にミラノで作曲した『ミトリダーテ』は彼の初のオペラ・セリア(神話や古代の英雄伝などから題材をとったオペラ)であり、イタリアでオペラを作曲上演するという夢をかなえた記念すべき作品である。
1770年12月26日ミラノの王立劇場初演で大成功をおさめ、続演されて年を越したという。
この作品では男役の声にメゾソプラノの声域が当てられており、モーツァルトの時代にはカストラート(現代のカウンターテナー)が使われていた。
モーツァルトの四大オペラは人気がありいつもどこかで上演されているが、初期のオペラはほとんど上演されていない。このオペラはモーツァルトの新鮮な魅力に溢れており、日本でもっともっと上演の機会があって欲しい作品である。
ミラノのドォーモ
あらすじは、
「ポント王国は黒海の北にあってミトリダーテ6世はローマ帝国の強力な敵であった。物語は戦場のミトリダーテが本国の長男ファルナーチェと次男シーファレの誠意を試そうと自分の死亡説を流すところから始まる。長男はローマの総督と通じ、次男は父に誠実だが、王の若い婚約者アスパジアと愛し合っている。王は3人を厳しく罰しようとするが、戦いに傷つき死の間際に彼らを許す。」という筋である。
上演時間は約2時間30分。
<私の好きなアリア>
第2幕 第13曲 シーファレのアリア「遠く離れて、いとしい人よ」
ホルンが歌と絡み合う、ソプラノの美しいコロラトゥーラ旋律である。
第2幕 第14曲 アスパージアのアリア「重い苦しみに」
木管を豊かに響かせ、心の葛藤を劇的に歌い上げる。
第2幕 第18曲 シーファレとアスパージアの二重唱「私が生きることがかなわなくても」
幕切れを飾る二重唱。ホルンが4本も伴奏に加わっている。
第3幕 第21曲 アスパージアのカヴァティーナ「予感は当った」
表現豊かで全曲中最も精細を放つ音楽である。
モーツァルト14歳にして男女の機微を歌い分けてるのは、驚きだ。
天才といってしまえば簡単だが、天才という表現でも未だ足りないようだ。
アリアの伴奏に管楽器を微妙に絡ませるところなどは、
14歳にして晩年の特徴を既に覗かせているのである。
<この演奏を聴く> DVD
私が入手したこの曲の全曲版DVDは、BS放送を録画したこの1枚だけだ。
指揮:マルク・ミンコフスキ、管弦楽:ルーブル音楽隊 レジデンツホーフ(ザルツブルク)2006年8月
演出ギュンター・クレーマー
ミトリダーテ(リチャード・クロフト)
長男ファルナーチェ(ベジュン・メータ)
次男シーファレ(ミア・パーション)
王の若い婚約者アスパジア(ネッタ・オル)
2006年のモーツァルト・イヤーにザルツブルク音楽祭で上演された作品の中でも「最も充実した上演」と評価の高かった歌劇。モダンな演出で、レジデンツホーフの舞台の後ろに大きな鏡が立体感を生み出し、非常に興味深い効果をあげ観る者を惹きつける。
序曲の間、15名の目を円くした赤い衣装のモーツァルトが鏡を使った背景に登場するのが、どぎもを抜くような鮮烈さで舞台に惹き付けていくようだ。
次男シーファレ役のメゾソプラノのミア・パーションが特に印象的だった。
1770年12月26日ミラノの王立劇場初演で大成功をおさめ、続演されて年を越したという。
この作品では男役の声にメゾソプラノの声域が当てられており、モーツァルトの時代にはカストラート(現代のカウンターテナー)が使われていた。
モーツァルトの四大オペラは人気がありいつもどこかで上演されているが、初期のオペラはほとんど上演されていない。このオペラはモーツァルトの新鮮な魅力に溢れており、日本でもっともっと上演の機会があって欲しい作品である。
ミラノのドォーモ
あらすじは、
「ポント王国は黒海の北にあってミトリダーテ6世はローマ帝国の強力な敵であった。物語は戦場のミトリダーテが本国の長男ファルナーチェと次男シーファレの誠意を試そうと自分の死亡説を流すところから始まる。長男はローマの総督と通じ、次男は父に誠実だが、王の若い婚約者アスパジアと愛し合っている。王は3人を厳しく罰しようとするが、戦いに傷つき死の間際に彼らを許す。」という筋である。
上演時間は約2時間30分。
<私の好きなアリア>
第2幕 第13曲 シーファレのアリア「遠く離れて、いとしい人よ」
ホルンが歌と絡み合う、ソプラノの美しいコロラトゥーラ旋律である。
第2幕 第14曲 アスパージアのアリア「重い苦しみに」
木管を豊かに響かせ、心の葛藤を劇的に歌い上げる。
第2幕 第18曲 シーファレとアスパージアの二重唱「私が生きることがかなわなくても」
幕切れを飾る二重唱。ホルンが4本も伴奏に加わっている。
第3幕 第21曲 アスパージアのカヴァティーナ「予感は当った」
表現豊かで全曲中最も精細を放つ音楽である。
モーツァルト14歳にして男女の機微を歌い分けてるのは、驚きだ。
天才といってしまえば簡単だが、天才という表現でも未だ足りないようだ。
アリアの伴奏に管楽器を微妙に絡ませるところなどは、
14歳にして晩年の特徴を既に覗かせているのである。
<この演奏を聴く> DVD
私が入手したこの曲の全曲版DVDは、BS放送を録画したこの1枚だけだ。
指揮:マルク・ミンコフスキ、管弦楽:ルーブル音楽隊 レジデンツホーフ(ザルツブルク)2006年8月
演出ギュンター・クレーマー
ミトリダーテ(リチャード・クロフト)
長男ファルナーチェ(ベジュン・メータ)
次男シーファレ(ミア・パーション)
王の若い婚約者アスパジア(ネッタ・オル)
2006年のモーツァルト・イヤーにザルツブルク音楽祭で上演された作品の中でも「最も充実した上演」と評価の高かった歌劇。モダンな演出で、レジデンツホーフの舞台の後ろに大きな鏡が立体感を生み出し、非常に興味深い効果をあげ観る者を惹きつける。
序曲の間、15名の目を円くした赤い衣装のモーツァルトが鏡を使った背景に登場するのが、どぎもを抜くような鮮烈さで舞台に惹き付けていくようだ。
次男シーファレ役のメゾソプラノのミア・パーションが特に印象的だった。