モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

青い目をしたホシシャクは…(妻女山通信)

2009-07-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 北信濃にしては珍しく鬱陶しい梅雨の雨模様の日が続きました。山仕事で腰を痛めて安静にしなければならなかったので調度いい雨でした。それにしても電気が走るような激痛には参りました。湿布とお灸でなんとか動けるようになった週末、久しぶりに山に出かけるとクズ、アレチウリ、ヨウシュヤマゴボウが繁茂して酷い状態でした。

 植物は、動物のように動けない分、再生能力が極めて高いのです。人はなんでも擬人化して、木を伐採するとその木が死んだと思います。切り株から新芽が出ると、新しい命が生まれたなどと表現しますが、これは間違いです。木は切ったくらいでは死にません。切っても切ってもしぶとく何度も再生するのです。iPS細胞が再生医療への道を切り開くとかでメディアを賑わせていますが、植物の再生能力は驚異的なものです。特に広葉樹は、旺盛に株立ちします。昔の人は、それを利用して薪に利用したのです。そうやって何度も切られて再生したコナラやクヌギは、面妖な形になります。時に人の顔のような形にもなるので、山親父と呼ばれました。

 そんな一見不毛に近い、賽の河原に石を積むような山仕事を一段落させて、久しぶりに陣場平へと登りました。途中、エノキの虫コブを観察しようと葉に近づくと、いきなり後ろの樹下からオオスズメバチが飛び出てきて威嚇されました。スッと姿勢を低くして素早く静かに立ち去りました。こんな時に絶対にしてはいけないのが手で振り払うこと。ついやりがちですが、攻撃してきたと勘違いして襲われます。悲鳴をあげるのもよろしくない。黒い服や帽子、髪の毛は御法度です。目も黒いので狙われます。メガネを必ず。

 東風越えから斎場山への分岐を分けて陣場平への平坦な道を歩くと、目の前にヒラヒラと真っ白な蝶が舞い始めました。モンシロチョウに比べると羽ばたきに力がありません。どこか儚い感じ。一生懸命舞っている割には余り進まず、シジミチョウよりも大きいので優雅な感じもします。撮影したいと思いましたが留まってくれません。

 そして、かなり待ったのですが留まってくれず、諦めかけて道の脇にあったヨウシュヤマゴボウを駆除しようと、持っていた杖代わりの太い木の枝で払うと、調度舞いかかったその蝶に当たってしまいました。

 可哀想な蝶は、フラフラと舞いながら近くの草に留まりました。これ幸いと撮影したのが掲載の写真です。少し怒っているかもしれません。青い目をしたこの美しい蝶は蛾で、シャクガ科(Geometridae) ホシシャク亜科(Orthostixinae)のホシシャクでした。別にアメリカ生まれではないです。日本から中国、朝鮮、シベリアまでいる蛾です。

 幼虫は、春にヤチダモやイボタの葉を食べるシャクトリムシです。幼虫は葉の間に糸を張って集団で暮らします。まあ、ホシシャクの幼稚園みたいなものです。その糸の中で越冬し蛹化します。そして6月から7月に駆けて羽化して飛び始めるわけです。少し透けた白いはねと名前のようにあちこちにある星のような黒い斑点。なによりややスモーキーな青い目が特徴的です。

 写真で見るかぎり、大きな怪我もないようなので、しばらくするとまた舞い始めるだろうと、その場を後にしました。日本でも雨の少ない旧埴科郡地域ですが、ここの長雨でやっと粘菌やキノコも出てきました。次回はそれらをアップします。

★旧埴科郡のゼフィルスの饗宴をトレッキング・フォトルポ【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にアップしました。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、夏の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。上のトレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。
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雨の中、倉科の三滝へ。思ひくらせし瀧の水かな(妻女山里山通信)

2009-07-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 鬱陶しい梅雨の雨の中、千曲市の倉科の奥にある三滝へ行ってきました。この冬に何度か登った谷がどうなっているかを見るためです。古代科野の国の大王の墓といわれる東日本最大の前方後円墳、森将軍塚古墳を正面に見ながら雨宮田圃の農道を南下し、倉科方面へ左折。鷲尾城跡と倉科将軍塚古墳を左手に見て倉科の集落を登っていきます。Y字路を標識に従ってつめれば、三滝への林道に入ります。ジグザグに登ると再びY字路。標識に従って8000m走ると三滝園地の入口です。車は5、6台駐車可。

 梅雨の雨空、しかも夕方近くですからもちろん誰もいません。蝉の声も鳥の声もなく、ただ雨音だけが静かに時を刻みます。看板の文章には下段から一の滝、二の滝、三の滝と書かれていますが、どういうわけか遊歩道の地図には上からになっています。見る順番をとるか、流れる順番をとるかの違いなんですが。二の滝だけは同じです。

 熊の出没地帯ですので、熊鈴をつけた方がいいのですが、この雨では熊も出歩くことはないでしょう。よほどの急用がないかぎり…。遊歩道は850mほどの周回コースで、ファミリー向きと書いてあり木道が整備されていますが、手すりなどはなく、また、二の滝から三の滝へは短いですが岩のガレバを歩くなど、それなりに山歩きの支度は必要です。幼児や老人は注意した方がいいでしょう。

 雨で滑る木の階段を登り、二の滝の上を横切ってガレバを越え、鉄の階段を登って上の周遊コースの道へ。左に行くとブナの大木を見ながら入口に戻ります。右へ行くと上段の滝の真上へ。柵などないので転落に注意です。白い絹布を流したような優しい女性的な滝ですが、岩肌が黒光りしているのでシャープな感じも受けます。そこからわずかに歩くと治助橋。ここからは、かなり山慣れた人の領域になります。沢は切り捨て間伐の木材や倒木だらけで、上部はひどい藪になります。途中堰堤も三箇所越えなければなりません。

 写真一番上の標識の写真。右が木橋を渡って「縄文の名水」へ。普通に考えると右の道(林道)を行きたくなりますが、この道は50mも行かずに廃小屋で行き止まりです。そこから左の尾根にとりついてもいいのですがザレていてかなり厳しい。この標識だと右の谷に名水が湧き出ているようにも思えますが、そうではなく、ずっと上の林道芝平樽滝線にあります。

 名水へのルートは、写真の木の左からトラロープに従って尾根によじ乗るのです。あとはひたすら急なヤセ尾根を登るのみ。約1時間から1時間半で林道芝平樽滝線に出ます。相当急ですから初心者向けではありません。林道に出て右へ15~20分ほど歩くと鏡台山登山道の登り口です。標識には、「 鏡台山登山口北峯1267m 3.3km 120分」「南峯1269m 3.8km(頂上)135分」「下り 頂上からの標高差385m 110分」「みんなの山です、マナーを守りましょう。」と書いてあります。

 この三滝については、明治の倉科村村誌に「水源は三瀧山、舟ケ入に発し、村の辰の方、瀧ノ平に落つ、会して三瀧川となる。」とあります。三滝山は、鏡台山北の1185mの頂ですが、どこが山頂か分からないようなところです。
 また、村誌には、「三瀧山岩の苔間に住ながら思ひくらせし瀧の水かな」(西行) 此歌里俗の口碑にして、確乎たらず。とも記されています。
 さらに、「二の滝、高四丈三尺、幅一丈七尺、是に龍の劍摺石と唱うる石ありて、自然の穴七ツあり、俗に摺鉢と称す」とあるのですが、どこにあるのでしょうか。探しましたがそれらしきものは見あたりませんでした。なにせ100年も前の話ですから。

★三滝から鏡台山や大峯山へのトレッキング・フォトルポは、【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】をご覧ください。三滝から鏡台山、妻女山まで歩いたルポもあります。
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オオムラサキとの儚い遭遇(妻女山里山通信)

2009-07-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 ゼフィルスに想いをはせる人がいるように、アサギマダラやギフチョウに想いをはせる人がいます。そんな中でも国蝶オオムラサキは特別の蝶かもしれません。北海道から九州まで日本各地に分布し、保護活動をしてる地域や会はたくさんあります。高山や深山ではなく、比較的人の生活環境に近い雑木林や里山が棲息地というのも身近な存在として親しめる要因かと思います。といっても、東京都市部ではほぼ絶滅状態。雑木林の減少や食樹のエノキの減少、あっても公園などでは落ち葉を全て除去してしまうため、幼虫が越冬できないなどの理由があるのでしょう。エノキの落ち葉の裏にいる幼虫も除去されてしまうからです。

 ゼフィルスを追いかけているある日、目の前の樹にバッサバッサと大きな羽音を立てて一頭の蝶が留まりました。羽音が聞こえるほどの蝶というのは、日本では他にはいません。ゼフィルスばかり見ていた目には、猫と象ぐらいの違いに見えるほど大きく逞しく映りました。しかし、微妙に届かないほどの樹上のため寄れません。なんとか腕をめいっぱい伸ばして撮影したのが、このカットです。後翅のコーラルピンクの粗ポットがオオムラサキの証明です。

 幼虫がエノキの葉を食べるのは知られていますが、成虫は花の蜜は吸わずに、クヌギやコナラといった広葉樹の樹液を吸います。そのため、樹液の周りでカブトムシヤやオオスズメバチなどを大きな翅で追い払っている姿も見かけます。しかし、同じ場所にオオスズメバチがいると、生態写真としては大変面白いのですが、撮影には厄介です。

 縄張り飛翔は、主に午後行われますが、その時の縄張り争いの激しさは見応えがあります。一度などは、勢い余ってツバメを追いかけている姿さえ見たことがあります。なかなか気性の激しい蝶です。ある蝶マニアの方は、指で翅をつまもうとしたら、払いのけるようにして飛び去ったと言っていました。驚くほど力強かったそうです。

 国蝶といってもベトナム北部から中国東北地方にまで及ぶ東アジアの広域分布種であって、日本の固有種ではないのですが、里山の環境が保全されているかの指標になる蝶のひとつとして、これからも注目されるべき蝶でしょう。

 ところで、このオオムラサキですが、翅の表を見せてくれることもなく大空へと飛び去ってしまいました。樹液を吸いにくる樹はいくつか分かっているので、気長にチャンスを待ちたいと思います。

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幻のキノコ、天然ハナビラタケ!(妻女山里山通信)

2009-07-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 ある日、深山の秘密のシロへと夏キノコを探しに出かけました。ヒラタケ、ハタケシメジ、シイタケ以来ごぶさたなので心配でしたが、雨後ともあってなにか出ているだとうと思ったのです。すぐに見つかったのは、ザラエノハラタケ。たくさんありました。一応食菌です。しかし、人によっては腹痛を起こすとか。マッシュルームの親戚なんですが、これはパス。

 次に見つけたのが、モリノカレバタケ。これも食菌です。味はエノキダケに近い。でもパス。今日はもうひとつかなと思って探すと、シイタケがひとつ。これはゲット。やや老菌に近いので干して出汁用に。さらに昨夜の雨で湿度100パーセント近い森の奥へ藪こぎして向かいます。羽虫やアブ、ヤブ蚊が五月蠅いこと。タオルで追い払いながら藪の中へ。

 すると足元の切り株に大きなキノコが。長い方の直径が25センチはあります。巨大な木耳(キクラゲ)のような風貌は、ハナビラタケに間違い有りません。ベータグルカンがあのアガリスクの3倍とか。癌やアトピーに効くとかで栽培もされている高価なキノコです。ほとんどが高原で採れるという極めて希少なキノコです。栽培ものも高価ですが、天然ものは幻のキノコといっていいでしょう。

 早速サイズを測ると25センチはあります。撮影後、壊さないようにゆっくりと採りました。ずっしりと重みもあります。香りは針葉樹の香りです。これは楽しみです。

 早速、茹でて大根おろし醤油でいただきました。旨味が濃いキノコではありませんが、歯触りがよく癖がないので色々な料理に合います。次は、豚肉と中華炒めにしてみようと思います。なにより、その強力な免疫力アップの力に期待です。梅雨ばてにも効くでしょうか。

 そして、道の真ん中に生えていた直径1センチぐらいの透明なキノコ。その小さな美しさに惹かれて撮影しました。キシメジ科のシロコナカブリだと思います。

 キノコは秋と思っている人がほとんどだと思いますが、実は真冬以外は(天然エノキタケは冬出ることもあります)、キノコはあるのです。そのため、特に夏キノコは採取者も限られるので幻のキノコとなるわけです。しかも、ハナビラタケのように、主に標高1000m以上で採れるキノコとなるとなおさらです。

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害獣・害虫対策にペットボトル風車(かざぐるま)(妻女山里山通信)

2009-07-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 梅雨の蒸し暑さに害獣と害虫がぞろぞろと出現し始めました。まずは、害獣。ネズミです。食欲旺盛な彼らは、ありとあらゆる根菜類を食べ尽くします。それもひとつを食べきるのではなく、同じ深さを横に掘りながら次々と食い荒らしていくのです。たまったものではありません。殺鼠剤もありますが、まずは寄せ付けないことが肝要。

 そこで最近はお馴染みのペットボトルでつくる風車を作りました。風車と書いて、「ふうしゃ」と「かざぐるま」と読みますが、今回はかざぐるまの方。英語ではwindmillとpinwheel。かざぐるまといえば、一青 窈の『かざぐるま』が思い浮かびます。夏祭りの郷愁とともに賽の河原で回っているような物悲しいイメージもあります。

 といっても今回のものは、そんなウェットなものではなくドライに害獣対策用。ペットボトルでの風車の作り方は、ネットにたくさん出ているので割愛しますが、写真のものは長さを短くして二つつけたダブル回転の強力仕様。きれいに作りすぎるとよく回るのですが振動が少ない。この振動が肝要なので、中心をずらしたり穴を楕円にしたりと工夫がいるわけです。そんなこんなでシングルタイプ、ダブルタイプ、ビッグサイズと色々作りました。引っ越ししてくれるといいのですが。

 もうひとつは、バジルとケールの畑に突然大量に出現して食い荒らし始めた甲虫。甲虫目カブトムシ亜目ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科のクロウリハムシです。カラスウリの類が好きらしいのですが、野菜ではシソ、キュウリ、カボチャ、大豆、バジル、ケールと、まあなんでも食べる害虫です。近くにキキョウやブルーベリーがあるのですが、それも食べます。MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery昆虫3の一番下に写真があります。写真をクリックすると大きな写真と詳細な説明があります。

 突然来襲したのは、どうも草だらけにしていた隣の畑が除草したために、行き場を失って大挙押し寄せたらしいのです。近所迷惑というやつです。一応無農薬で育てているので農薬は使いたくありません。そこで、行ったのは手での駆除です。バジルを素早くでも折れないように叩きます。するとクロウリハムシがパラパラと落ちてきます。そこを手で叩き潰すのです。可哀想ですが、農薬で苦しんで昇天するよりもいいでしょう。というわけで、夕方必死に駆除したお陰で翌日は姿を消したようです。

 無農薬無化学肥料とひと口にいいますが、害獣、害虫に雑草、菌との静かな戦いは、梅雨明けまでまだまだ続きます。

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MORI MORI KIDSでゼフィルスの饗宴アップ!(妻女山里山通信)

2009-07-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 ここ数週間に何度かゼフィルスの饗宴を追い求めて森を歩きました。それをトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にアップしました。

 シジミチョウは、湿度が高いと樹の高いところを飛び、なかなか下におりてきません。雨上がりも地上近くは湿度が高くおりてきません。日が昇り乾燥してくると活性も上がって地上近くで舞い始めますが、今度はなかなか留まってくれず撮影できません。留まれば留まったでニジニジと回転してそっぽを向いたり、葉の裏に隠れたりと、なかなか撮影させてくれません。

 それでも、陽が上がると活性は下がって葉の上や裏に留まって休むようになります。それを辛抱強く待って撮影にこぎつけるのです。小さくてメタリックに光る羽は、限りなく美しいのですが、留まるとめったに開いてはくれません。カメラマン泣かせの小悪魔なのです。

 彼らも樹冠では鳥に襲われたり、樹上ではツリアブ、樹下ではトカゲなどに狙われたりと大変なのです。今回もはねが欠損した個体を見ました。オスだと縄張り争いもあります。

 今回は、その集大成をフォトルポにまとめました。もちろんゼフィルス以外の蝶や昆虫に花や樹木の写真も満載です。北信濃の梅雨の季節の豊かな自然を、ぜひ堪能してください。

 いつものトレッキングでも、撮影には時間をかけますが、歩くのは速くなります。しかし、蝶の撮影では急ぐとどこにいるかも分からない蝶を驚かせてしまうため、かなりゆっくりと周囲に気を配りながら観察しつつ歩くことになります。それは、きのこ狩りや山菜採りの歩みともまた違うものです。やはり、たまにはこうしてゆっくりと自然の中を歩くことも必要だと感じた次第です。

 街中の管理されつくした偽自然ではなく。人の手が入りつつも自然の営みが脈々と続く自然というのは、人間の手では尽くせないほど複雑なメカニズムとバランスの上に成り立っているのだと、改めて認識させてくれるからです。「虫の速度で歩く」、「虫の目線で見る」こともたまには必要です。

★ここに登場した昆虫や花、樹木は、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】にもアップしました。
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