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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

続 夏キノコの饗宴:茶臼山(妻女山里山通信)

2009-07-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 三連休のある日、これだけ雨が続けばキノコも出るだろうと俯いて山道を歩きました。第四次川中島合戦の時に、武田信玄が猿ケ馬場峠を越えて最初に陣を構えたのが有旅茶臼山といわれています。これは江戸時代の物語ですが、その事を裏付けるかのように崩れて今はない山頂付近には、信玄布陣の石碑と旗塚と称するものが9基並んでいます。実際は古墳時代の塚で、このことからも江戸時代の人が想像力を働かせて物語を創作したことがうかがえます。

 駐車場から旗塚に向かって緩い山道を登っていくと、工事のトラックが道を塞いでいて通り抜けできません。仕方なく左手の尾根へとよじ登りました。反対側は山布施に落ちる急峻な崖です。尾根を進むと足元にはキノコがたくさん出ています。ほとんど食べられないキノコか毒キノコでしたが、中にはオニイグチモドキもありました。更に登っていくとテングタケの老菌を発見。毒キノコですが、いい被写体なので撮影。そしてすぐ上の赤松の根元に大きな赤茶色のキノコを発見。すぐにアカヤマドリと分かりました。

 大小ふたつを採取。しかし、大きな方はかなり虫が入っていそうです。それでもその部分を取れば大丈夫かとふたつ持って歩くと工事の仮設小屋があって作業員が休憩中でした。そのなかのひとりがキノコに気付いて大きなキノコだね、といいました。アカヤマドリですと応えると、美味しいキノコだよねと。知っているようです。なんでも携帯電話のアンテナを設置しているのだとか。

 更に登って山頂近くに行くとまん丸い幼菌がふたつ並んでいました。これは虫もついておらず食べ頃です。採取して赤松林を下ると斜面一面が大きなキノコであふれています。数十本、いや百本以上あるかもしれません。それも尋常な大きさではなく、開いたものは傘の直径が20~30センチぐらいあります。銅鑼焼きのようなスポンジ状の傘は裏面が灰桃色でなんだか美味しそう。しかし、これはニガイグチモドキといって強烈に苦いキノコなのです。とても食べられたものではありません。昔、何種類かのキノコを煮た時に間違えてニガイグチが入っていて全てが苦くなってしまい捨てたことがありますが、生でちょっと舐めてもその強烈な苦さは分かります。

 それでも注意深く見ていくと、ヤマドリタケモドキがありました。フランスではセップといってお馴染みの高級キノコです。これは美味しいので採取。重量感のあるアカヤマドリのために袋はけっこう重くなりました。

 アカヤマドリですが、和風もいいのですが、洋風料理にも向いていると思います。特にバターやベーコン、卵との相性がよく、バターソテーやオムレツは定番料理です。シチューやカレーにも合います。ベーコンや生ハムと合わせてパスタも絶品です。コンソメにするとタマゴタケと同じくスープが黄金色になります。

 大きくなると25センチ以上になりますが虫が入りやすいので、食べ頃は直径10センチぐらいまでの傘が開く前の幼菌です。図鑑によっては傘が脳味噌状のヒダで覆われなんて書いてあるので、見た目で敬遠されるひとも少なくないかもしれませんが、実に美味しいキノコなんです。

★ここに登場したキノコは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】のキノコ6にアップしてあります。

★また、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】には、茶臼山トレッキングのルポがあります。

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