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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

センニンソウ、ミズヒキ、ヌスビトハギ、シラヤマギク、オニノゲシ。幻のマンネンタケ。晩夏の妻女山山系(妻女山里山通信)

2021-08-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 8月上旬の猛暑の後、約2週間の長雨が続いたため妻女山山系の山歩きがまったくできませんでした。やっと晴れたらまた猛暑。加えて突然の豪雨でなかなか登れませんでした。週末の午前中にやっと登れましたが、クロメマトイが大量にまとわりついて厄介なこと。

 今回の最大の目的はセンニンソウ。センニンソウ(仙人草)は、キンポウゲ科センニンソウ属に分類されるつる性の半低木(木質の多年草)の1種です。別名をウマクワズという様に毒草です。茎や葉の汁は皮膚炎を引き起こすことがあります。ただその香りは非常によく、たくさん咲くとブライダルブーケの様に華やかです。

(左)登山口から見る妻女山駐車場。(右)登山口に登山ノートがあります。読むと倒木があって処理したことが書かれていました。

(左)長坂峠へ向かう6つ目の最後のカーブの先に倒木がありました。木屑がないのでチェーンソーではなくノコギリですね。Sさんです。高齢の方なのに綺麗に処理してあります。有り難いです。真っ直ぐ立っている木は上で掛り木になっていて引っ張っても抜けませんでした。車が通れる様に道の端に移しました。(右)20分ぐらいかかってやっと長坂峠へ。今回の出で立ち。本当はマスクも付いているのですが、息苦しいのでウレタンマスクを。ポリカーボネートのゴーグルも必須。虫除けスプレーもしてますが、クロメマトイには全く効きません。

(左)折れた赤松の根本にツガサルノコシカケ(栂猿の腰掛け)。まだ幼菌です。心材腐朽菌で、成長すると黒くなります。(右)玉切りされた赤松にヒメカバイロタケ。不食です。

 ヌスビトハギ(盗人萩)。マメ科ヌスビトハギ属の多年草。ひっつき虫のひとつです。

(左)ミズヒキ(水引)。タデ科イヌタデ属の多年草。あまりに花が小さくてかなりアップにしないと分かりません。まだつぼみですが、開くと紅白の4つの花びら(萼)に。(右)ゲンノショウコ(現の証拠)。フウロソウ科フウロソウ属の多年草。ドクダミとともに代表的な薬草で、便秘や下痢に効きます。

(左)ツユクサ(露草、鴨跖草、鴨跖)。ツユクサ科ツユクサ属の一年草。朝咲いて午後にはしぼんでしまう半日花です。おひたしなどで食べられます。水で色落ちするので友禅の下絵に使われます。
 万葉集には9首詠まれています。儚い命や移ろいやすい心の例えに使われた様です。
「月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言も告げ来ぬ」大伴坂上大嬢
「月草に  衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ」詠人知らず

(右)ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)。幼虫の食草は、イネ科のチヂミザサ、ススキ、カヤツリグサなど。他に見かけたのは、ルリタテハ、オナガアゲハかクロアゲハ、コミスジ、ヒョウモンチョウの仲間、シオカラトンボなど。

 久しぶりにバイモ(貝母)の群生地がある陣場平へ。ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシの鳴き声がもの凄い。バイモの群生地にはミズヒキが咲いています。

 乱れ咲くミズヒキの花。水引は、信州飯田の伝統工芸で、全国の70%を生産しています。秋を知らせる代表的な花ですが、なぜか万葉集や和歌には詠われていません。

(左)セリバオウレンも葉がつやつやです。花期は3月中旬から下旬です。(右)シナノガキ(信濃柿)。今年もたくさん実りました。渋柿ですが、木になったまま甘い干し柿になります。

 シラヤマギク(白山菊)。キク科シオン属の多年草。花びらが少ないのが特徴。ヨメナ(嫁菜)に対して若葉が食用になることからムコナ(婿菜)という別名もあります。

(左)ヒヨドリバナ(鵯花)。アサギマダラが吸蜜する姿も見られます。(右)イチモンジチョウ。

 暑さで歩き疲れたので堂平大塚古墳の横のKさんのログハウスで休憩。オオムラサキは姿を消しました。

 Kさんが植えたサルスベリ(百日紅、猿滑、紫薇)が満開でした。

(左)スベリヒユ。当地ではスベリンショといって畑の雑草ですが、世界的には野菜です。地中海ではサラダに、中国では馬歯莧(ばしけん)という消炎解毒作用のある薬草として用いられます。と書きましたがまだ食べたことがありません。食べてみましょう。(右)葉はアザミ、花はタンポポみたい。なんだったかなと思いながら帰宅。オニノゲシ(鬼野芥子)でした。明治中期にヨーロッパから入った帰化植物です。若葉は茹でたり炒めたりして食べられます。これもまだ食べたことがないので試してみたい。

(左)ログハウスからの眺め。今日は北アルプスは見えません。(右)戻る途中に見つけた幻のマンネンタケ(万年茸)。霊芝(レイシ)と呼ばれる貴重なキノコ。βグルカンとトリテルペンが豊富で、免疫力の調整作用があります。漢方薬やサプリメントで売られていますが、高価です。私はこれにコフキサルノコシカケ、カワラタケ、マタタビ、アマドコロの根(黄精)、イカリソウの根(淫羊霍)、キハダの樹皮、ドクダミを入れて自家製の薬酒を作って飲んでいます。

(左)戻って陣場平の入り口。セミの大合唱。(右)マムシグサ(蝮草)の実。誤って食べると口内が酷く荒れます。毒草ですが、「天南星」という、去痰、鎮痛に効く薬草でもあります。

(左)サンショウ(山椒)の実が赤く色づいてきました。(右)大きさからするとヒグラシの抜け殻かな。

 妻女山展望台の下のクマノミズキ(熊野水木)。実がついている小枝が赤くなってきました。晩秋には珊瑚のように真っ赤になります。

 妻女山展望台から茶臼山、虫倉山、陣場平山方面の眺め。眼下の濃い緑は長芋畑。まだまだ真夏の風景です。思ったほど汗はかきませんでしたが、ルイボスティーが1リットルなくなりました。いつもの温泉へ。産直売り場でゴーヤ2本60円、信州丸茄子6個100円、大きなピーマン9個100円を買いました。プランターで丸オクラとゴーヤは作っています。ゴーヤは花が咲いたところ。ゴーヤチャンプルはもちろん、アンチョビーとオイルサーディンかツナとのパスタも美味。ひき肉詰めて塩麹虫、いや蒸しもとんでもなく美味しい。ひき肉に豆腐と卵を混ぜて塩麹をのせて蒸して、食べるときに花鰹を散らします。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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