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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

初秋の茶臼山自然植物園。ツマグロヒョウモン、キンケハラナガツチバチ、キムネハラボソツリアブ、ハンミョウ(妻女山里山通信)

2021-09-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 8月上旬の猛暑からからずっと長雨で日照時間も極端に少ないので、信州の里山も例年とは全く様相が違います。やっと晴れた7日火曜日。茶臼山自然植物園へ向かいました。妻女山山系へ行っても何もいないのは前回の山行で分かっていますから。植物園は園芸種含めたくさんの植物が植えられています。期待して向かいました。

 動物園南口の横から向かう道路は、来年3月まで大規模な動物園の改修工事で通行止めです。植物園の上の林道から下りました。まず見つけたのはツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)のオス。南方系の蝶ですが、普通に我が家の庭にもやって来ます。

(左)弘化4年(1847)の善光寺地震に端を発したといわれる茶臼山の地滑り。昔、南峰があった場所です。(右)天候不順でしたが栗は豊作なんでしょうか。我が家の栗の木も大きな実をたくさん付けています。

(左)ミドリヒョウモン(緑豹紋)。オスでしょうか。とにかくたくさん舞っていました。(右)ベニシジミ(紅小灰蝶)夏型は色が黒いのが特徴です。

(左)アカハナカミキリ。白い花が好きな様です。(右)セスジハリバエ(ヤドリバエ科)。成虫は花の蜜などを吸い、幼虫はチョウやガの幼虫に寄生します。

(左)ツマグロヒョウモンのオス。(右)尾状突起が欠損していますが、ツバメシジミ(燕小灰蝶)でしょうか。ミヤギノハギで盛んに吸蜜していました。

 ツマグロヒョウモンのオス。オス同士で盛んに縄張り争いをしていました。撮影している横をオニヤンマがたくさん舞っています。しかし、赤トンボみたいに止まらないのです。止まるのは獲物を食べる時だけ。

(左)ツマグロヒョウモンのオス。近くにはたくさんフジバカマも咲いているのですが、そちらには行きません。(右)吸蜜中のジャノメチョウ(蛇目蝶)。たくさん舞っていました。人の気配に敏感です。

 こういうハチに擬態した昆虫というのはたくさんいて同定が難しいのです。ハナアブの仲間だったり、アブの仲間だったり。これも苦労しました。ツチバチの一種で、キンケハラナガツチバチ(金毛腹長土蜂)の様です。ツチバチという様に土の中に巣を作り幼虫はコガネムシの幼虫を食べます。成虫は花粉や蜜を。触覚が長いのでオスでしょう。

 展望台の下から東方の眺め。右奥には菅平高原の上にそびえる四阿山と根子岳。その手前の大きな里山は奇妙山。いずれも拙書で紹介しています。その下の大きな白い建物は、ロイヤルホテル長野。麓は26度ぐらいですが、ここは21度。しかし直射日光は強く暑いです。

(左)ガマズミの赤い実。抗酸化作用が強く、これでルビー色の綺麗なお酒が作れます。(右)キキョウ(桔梗)の花。根っこは生薬として用いられます。「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌(あさがお)の花」山上憶良。朝貌の花が桔梗のことといわれています。

(左)オミナエシ(女郎花)にナナホシテントウ(七星瓢虫)。アブラムシを食べに来たのでしょう。(右)吸蜜中のイチモンジセセリ(一文字挵)。

 オミナエシで交尾する昆虫。ハバチの仲間の日本に800種以上いるというヒメバチ科と思いましたが、よく見ると翅が2枚しかありません。ということで、これはガガンボ科だろうと思います。ガガンボモドキ科ならヒメバチ科と同様に翅が4枚ですから。とはいえガガンボ科は、学名がついている種類だけでも日本で約700種が記録されており、その数倍の未記載種がいるということだそうです。と思ったら、ある方からアドバイスをいただきまして。ハラボソツリアブではと。調べるとハエ目 ツリアブ科のキムネハラボソツリアブの様です。やはり右の吸蜜中なのがメス。オスはホバリングしながら交尾と大変です。

(左)眼がグレーならヤマトシジミ、黒ならルリシジミですが眼が隠れています。触角の先が黄色なのでルリシジミでしょう。ミヤギノハギで吸蜜中。(右)小さなバッタが足元にやって来ました。ヒナバッタ(雛飛蝗)。腹部が赤いのでオス。後脚と翅を擦り合わせジジジジジジと鳴きます。幼虫はきれいなピンク色をしているそうです。

(左)イロハモミジの種。(右)白い花のアジサイ(紫陽花)。アナベルという種類でしょうか。咲き始めのものはライムグリーンでした。

(左)吸蜜中のモンキチョウ(紋黄蝶)。今年は県の天然記念物のミヤマモンキチョウの撮影に行けませんでした。(右)ツリフネソウ(釣船草)。ムラサキツリフネ(紫釣船)とも呼ばれます。妻女山にはキツリフネ(黄釣船)の群生地があります。

 来る時にとにかく逃げられまくって撮影できなかったハンミョウ(斑猫)。ついに撮影に成功。タマムシやルリボシカミキリと並んで最も美しい甲虫です。成虫は肉食で、昆虫類やミミズなどに噛みつくために鋭い大顎を持っています。夏の終りに羽化した成虫は土の中で越冬し、翌春、交尾産卵します。しかし美しい。

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