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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

幻のハナビラタケ発見!何もいない樹液バー。妻女山から茶臼山へ。粘菌と猛毒のドクツルタケ。希少なマスタケも発見(妻女山里山通信)

2021-08-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山から陣場平への林道(実は農道)の倒木をログハウスのKさん達が処理してくれたので、撮影機材と山仕事の道具を積んで車で登ってみました。しかし、長野市の職員の方達を案内して徒歩で登った時に、あちこちで深くえぐれた箇所があり、かなり危険なのは分かっています。タイヤの置所を考えながら慎重に登りましたが、タイヤが空転したり大変でした。やっと登った樹液バーには、全く昆虫がいないのに愕然としました。猛暑で標高の高いところに移動したのならいいのですが。

 少し遅いかなと思いつつ毎年ハナビラタケが出る場所へ。ありました。左右が40センチほどあります。左は老菌になりつつあったので、右の若いところを採取しました。ハナビラタケは、担子菌門ハラタケ綱タマチョレイタケ目に属し、ハナビラタケ科のハナビラタケ属に分類されるキノコの一種です。標高1000m以上の針葉樹林に発生しますが、当地では500mぐらいでも見られます。βグルカンが豊富で制癌作用、抗癌作用があるといわれ、研究もされ人工栽培もされていますが、天然物は採れる時期が短く幻のキノコといわれています。

 陣場平へ戻りましたが何もいません。ナツアカネ(夏茜)の未熟がわずかですがいました。アキアカネ(秋茜:赤とんぼ)は暑さに弱いので、真夏は高地に移動して10月頃涼しくなると下りてきます。アキアカネを含むほとんどのトンボは1年1世代といって1年でその一生を終えます。

 貝母(編笠百合)の群生地のある陣場平。妻女山里山デザイン・プロジェクトで保護活動をしていますが、来春まではお休みです。ヒグラシの鳴き声が物凄い。ログハウスでオオムラサキを一頭見ただけでした。カメムシすらいません。煩いクロメマトイがいるだけです。猛暑の影響でしょう。

(左)ミズヒキ(水引)が咲き始めました。これも秋を感じさせます。(右)貝母はほとんどが消えましたが、わずかに残っているものもありました。セリバオウレンは緑の葉が艶々しています。

 妻女山(赤坂山)展望台から見る茶臼山。右奥に虫倉山。標高が730mと陣場平より200m以上高いので翌日行ってみることにしました。中腹には自然植物園や動物園、下には恐竜公園があります。

(左)最高気温が35度の中登ります。最初に見つけた粘菌のクダホコリの子実体。すでに胞子を飛ばしていてスカスカになっています。(右)まだ胞子が残っているものに触れると、胞子が舞い上がりました。下の黄色い粉粒がそれです。

(左)登っていくと足元から羽化したばかりのヒグラシが次々に飛び立ちます。なんとなれば手で捕まえられるほどです。(右)ヒグラシの抜け殻。圧倒的にヒグラシの鳴き声ですが、ツクツクボウシも少し、ミンミンゼミも聞かれました。物凄い蝉の鳴き声で耳が痛くなるほどです(笑)。

 山頂下の北アルプス展望台からの虫倉山。あそこまでが長野市です。里山の原風景を見ながら休憩。とんでもない山奥に見えるかもしれませんが、長野市の中心街への通勤圏です。水田を守るのは高齢者達。耕作放棄地も増えています。空き家も増えて都会からの移住者もいます。山の中に美味しいパン屋とか蕎麦屋があったりします。民宿やゲストハウスもあります。友人のフランス人はこの山中の集落の古民家に住んでいました。今はパリ在住ですが。

(左)ジョウカイボン(浄海坊)の仲間。亜種が多く細かな同定は非常に困難です。(右)虫倉山が見える棚田に下りてみました。以前は休耕田だったのですが、何か植えられていました。水田があった頃にはいたマツモムシは見られませんでしたが、シオカラトンボがたくさん舞っていました。

 戻る途中に登山道で蛾を発見。触ると動きません。絶命していました。ベニシタバでしょうか。お尻から伸びているのは産卵管でしょうか。

(左)ウバユリ(姥百合)の蕾(つぼみ)。真横に折れて慎ましい百合の花を咲かせます。オオウバユリは高さ2mほどになります。(右)コバギボウシ(小葉擬宝珠)。リュウゼツラン亜科ギボウシ属の多年草。オオバギボウシと共に夏の湿原を彩る植物。若葉は山菜で食べられますが、ニホンカモシカも大好物で食痕が見られます。

 翅頂が丸いのでウラギンスジヒョウモン(裏銀筋豹紋)だろうとは思うのですが。翅の表や翅裏も鮮明なカットが撮れなかったので、正確な同定は難しい。あちこちで準絶滅危惧種に認定されています。

(左)猛毒のドクツルタケ。欧米では死の天使と呼ばれます。これ一本で7〜8人分の致死量。猛毒ですが、これをぽっとんトイレに5、6本入れておくとひと夏蠅が発生しません。しかも自然分解するので殺虫剤の様に環境を汚しません。(右)ノアザミ(野薊)。この後咲き出すノハラアザミ(野原薊)と似ていますが、花の下の総苞が粘ることで区別できます。この総苞に小さな昆虫やザトウムシが捕らえられているのをよく見ます。アザミは日本だけでも145種類もあります。実は美味しい山菜で、天ぷら、炒めもの、味噌汁などで。おやきにしても美味しい。長野「いろは堂」のアザミのおやきはオススメです。道の駅や産直で売られているヤマゴボウは、モリアザミ、オニアザミ、オヤマボクチなどの根っこです。おにぎりや海苔巻きにすると美味です。

 ジャノメチョウ(蛇目蝶)。明るい林道にたくさん舞っていました。人の気配に敏感というか落ち着きがないのでなかなか撮影させてくれません。葉の陰で休んでいるのを撮影。 都市郊外から高原まで、分布が広く個体数も多い種です。食草は多くのイネ科植物、カヤツリグサ科植物など。それにしてもオオヒカゲを見なくなりました。スミナガシも。

(左)針葉樹の枯れ木にマスタケ(鱒茸)を発見。小菅村の牛ノ寝通りの谷で採取して以来の発見です。その時はフライにしましたが、鶏のフライの様でした。今回はガーリックバターソテーにしてみようと思います。広葉樹に出るのはアイカワタケでやや黄色味がかっています。どちらも食菌です。(右)登山道にこれはギンリョウソウ(銀竜草)でしょうか。腐生植物で、葉緑素が全くなく全体が白色です。
「マスタケのフライ」:希少なオリジナルレシピです。生だと中毒するので、よく加熱して。

(左)「夏野菜の塩麹蒸し」。塩麹は手作りです。夏野菜の上に豚ひき肉をのせて塩麹をのせて蒸すだけの簡単料理ですが美味い。信州丸茄子にはのせず辛子醤油でいただきます。野菜の旨味を発酵食品で味わうシンプルな料理です。(右)「ハナビラタケのバターソテーとからすみ(ボッタルガ)のパスタ」。ハナビラタケは天ぷらや中華炒めにしていましたが、洋風にしてみました。これがビンゴ。バターとハナビラタケの相性がすごくいいことに気付きました。これに味をしめて、まだ半分あるので、バターソテーしてクラムチャウダーと合わせてスープパスタにしてみようと思います。それにしても暑い!信州には珍しい熱帯夜でしたが、窓を開けていたら朝方ヒヤリとする風が入ってきて目覚め、カーテンを閉めました。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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