モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

海を渡るアサギマダラ、ミドリヒョウモンの交尾、ヤマトシジミ、オオムラサキ、ミナミヒメヒラタアブ。里山の息吹(妻女山里山通信)

2019-07-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨の晴れ間をねらってホームフィールドとする妻女山山系へ。お目当てのオオミドリシジミは発見できませんでしたが、あちこちでオオムラサキが乱舞。メスも羽化し始めました。ねばってミドリヒョウモンの交尾も撮影できました。陣場平で帰化植物の除草作業も。しかし、東日本の日照不足は出始めの夏野菜に、里山の自然に多大な影響をもたらすでしょう。しかも今年は冷夏の予報。心配です。

 アサギマダラ(浅葱斑)タテハチョウ科マダラチョウ亜科。秋に海を渡って台湾や南西諸島に渡るのですが、少数は春から夏にかけて北上する様です。この個体は翅がかなりいたんでいるので、それでしょうか。ただ、中四国、九州で幼虫で越冬するものも多いので、それかもしれません。
 幼虫の食草は、アルカロイドを含む有毒のガガイモ科の植物ですが、それを食べることで自らを有毒化し敵から身を守っています。

 ヒヨドリバナ(鵯花)で盛んに吸蜜しています。全国でマーキングが行われていて、その行動が分かってきました。こういう風に翅を閉じて吸蜜している時は、簡単に手で捕獲できますが、翅の中央を確実にすばやく掴むことです。端だと翅がちぎれて逃げてしまうことがあります。マーキングや、明確な目的があっての観察以外ではするべきではありません。

 山蕗の葉の上でミドリヒョウモンが交尾していました。右がオスで左がメス。この後、メスがオスをぶら下げて交尾したまま飛び去って行きました。メス強い。ヒョウモンチョウの仲間は、ツマグロヒョウモンが有名で、我が家の庭にも舞ってきますが、私が好きなのはメスグロヒョウモンのメスです。一見ヒョウモンチョウに見えませんが、本当に美しい蝶です。

 シロツメクサで吸蜜するシジミチョウ。遠目で最初はルリシジミかなと思ったのですが。

 翅の裏面の模様と眼がグレーなので、ヤマトシジミですね。ルリシジミは、眼が真っ黒です。

 メスも羽化してオスも増えたオオムラサキですが、吸汁する水溜りやイノシシの糞がないので地面に下りてきません。それでもやっと昼寝しているオスを見つけました。樹液が出れば撮影は容易になります。

 ヒメジョオンで吸蜜するミナミヒメヒラタアブのオス。体長がメスは8ミリ、オスは9ミリしかありません。まず。その存在に気がつくのが困難な昆虫です。ヒメヒラタアブ属の同定は本当に難しいのです。これも確信は持てません。以前、飛翔交尾を撮影した時は本当にお感動しました。

(左)マミジロハエトリ。オスです。山里では普通に見られますが、小さいので見ようとしないと見えないクモ。(右)カバキコマチグモ。ススキの葉をちまき状に巻いて産卵し、孵化した子グモたちは、母グモの体を食べるクモで、かなり強い毒を持つので、触らないこと。

(左)カタバミ(酢漿草)。「かがみぐさ」、「すいば」、「しょっぱぐさ」、「すずめぐさ」、「ねこあし」、「もんかたばみ」など地方の別名が豊富。ありふれた野草ですが、花が8ミリと小さいので、気にとめる人は少ないかも。(右)ハハコグサ(母子草)。アリが来ていますね。花粉を食べに来たのでしょうか。春の七草の1つ御形(ごぎょう)です。名前の由来は、葉や茎が白い綿毛をかぶっている様子が、母親が子を包みこむように見えたことから。せき、たんにに効く民間薬でもあります。

 国道403号の妻女山入り口から見る斎場山(旧妻女山)。右の丸いのが山頂で斎場山古墳(円墳)です。現在の妻女山はずっと左で舗装路なので車で登れます。上杉謙信fが第四次川中島合戦で本陣としたのは、展望台のある現在の妻女山ではなく、斎場山です。麓に見えるのは、上信越自動車道の薬師山トンネル。一日35000台が通過。403は10000台以上。排気ガスで赤松、山栗、合歓の木などが枯れました。かといって車なしでは暮らせませんし。電気自動車もその電気を作るのに膨大なCO2を出します。非常に悩ましい問題です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。

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4 コメント

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ゼフィルス等 (かたくり)
2019-07-10 09:42:17
こんにちは

私も若穂太郎山なら柏の樹冠が下なのでハヤシミドリシジミを撮影しやすいと教えられて先日登ってみましたが、全く見ることができませんでした。
また夏場には太郎山手前の稜線大滝山(名称?)にオオムラサキの飛翔が見られるはずですがまだ早いようでした。1時間ほど粘って10時頃までいましたが・・・
編んだ早いのでしょうか?
それから若穂の登山口周辺にはクララが咲いていたのは驚きました。友人の話ではクララは生育してますが毎年刈り込まれてしまいあの希少種はいないとの由。
メスアカミドリシジミでもきれいなミドリシジミならどれでも撮影しがいがあるので近いうちに妻女山にも出かけてみます。
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ご無沙汰です (モリモリキッズ)
2019-07-10 22:53:30
どうしてでしょうね。昨年は大発生したオオミドリシジミですが。
今日も三ヶ所ほど見に行ったのですが、一頭もいません。オオムラサキは順調に羽化しています。
クララとかイボタノキは、林道の縁にあるので、除草で刈られてしまうんです。なのに帰化植物は刈らない。行政の無知ですね。環境破壊をしていることを知らない。
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オオムラサキ (かたくり)
2019-07-10 23:18:21
天気が良かったので斎場山から少し土口側まで足を延ばしてみました。
クヌギにはずいぶん彫傷がありましたが樹液は出ていませんでした。
オオムラサキはむしろ妻女山の登り口から神社周辺に多くいました。桜の小さなさくらんぼが熟し始めていたのでこれが当面の餌になるのでしょうか。
帰り際一人天城山までオオムラサキを見に行くという女性に逢いました。この日彼女はモリモリキッズさんと話をしたと言っていたのでニアミスでしたね。

また、三角箱を腰に捕虫網をもったシニアの方が見晴台手前で歩いてました。彼は4月旭山でも頻繁に顔をあわせその時はネットに入れてもキャッチアンドリリースをしていると言っていたのですが、今回は三角箱を持ってきているので、リリースは期待できませんね。

もう一つ、かねてからの疑問ですが、野鳥の巣箱が木の幹に沢山取りつけられていますが、あれはここに限らず野鳥に利用されているのでしょうか?
屋根のない巣箱なら少し話は別ですが、巣の中は暗くて仮に卵が孵化してもヒナや親鳥が餌の授受が可能なのでしょうか?
また雛陽の光を浴びない雛が育つのでしょうか。
また巣穴が大きい巣箱の中には蜂の巣があるのも見られました。
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オオムラサキ (モリモリキッズ)
2019-07-11 09:47:24
昨年は、オオムラサキが少なかったのですが、今年はまずまずですね。
ニアミスでしたね(笑)。彼女と別れて林道倉科坂線でゼフ探しとネムノキの花を撮影していました。その後、陣場平へ除草とログハウスへ撮影と昼餉に。ブログにアップします。

以前、鳥の撮影に来た人が、あれでは営巣しないと言ってました。林道は車や人の往来が結構あるので、もっと奥に設置しないとと。高さも低すぎて蛇に狙われると。そういえば、巣箱から鳥が出るところを一度も見たことがないですね。残念です。
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