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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

クリタケ城発見!(妻女山里山通信)

2010-10-31 | アウトドア・ネイチャーフォト
 久しぶりの雨上がりにいてもたってもおられず里山へ。途中山仲間のKさんに遭遇。きのこ情報を交換して山へ。忙しいので、ポイントだけを走る様に巡りました。11月目前というのに山は錦秋どころか夏山の様。今まで見た事のない不思議な風景です。ハチ、ハナバチ、ハナアブの異常に少ない状況が、来春以降どんな影響をもたらすのか非常に心配です。

 そんな中、灌木の奥の奥で切り株に一面に生えたクリタケを発見。その様はさながら「栗田家城」という感じです。傘はやや大きくなっていたものの、虫はまったく入っていません。そのキノコ虫が異常に少ないというのも気になるところです。別のシロでは、地面からはえた傘の直径が12センチもあるクリタケを発見。一見するととてもクリタケには見えませんが、クリタケなんです。

 隣には猛毒のニガクリタケが。ほとんどのニガクリタケは、黄色で一見してそれとわかるのですが、このリンクの写真のようにクリタケとそっくりなものが稀にあるのです。しかもクリタケと混じって生えている事もあります。ですから、クリタケ採取の際には、必ずかじってみます。これは必須です。ニガクリタケは、すぐに吐き出さずにはおられない嫌な苦さがあります。噛んだキノコはもちろん吐き出しますが、何度も口を濯ぎたくなるほどの本当に嫌な苦さです。

 ニガクリタケは、時に死にも至る毒キノコですが、クリタケも近年、ネマトリンなど殺虫成分の毒性があることが分かりました。欧州では毒キノコに分類されている国もあるとか。そういうわけで過食はしないほうがいいでしょう。山菜やキノコなど天然のものは、栄養も高いかもしれませんが、アクや毒性も強いものなのです。しかし、微毒の場合は食べる量に正比例してリスクが高まるわけではなく、ある量以上大量に食べると危険が突然増大する(閾値)ので、常食、あるいは過食をしなければいいのです。クリタケは、軸の鱗片がある下の部分は硬くて食べられません。この上で切って採取します。クリタケの細胞は球形で壊れにくいため、そのままでは旨味が出にくいそうで、冷凍すると壊れて旨味が出てくるそうです。鶏や油揚げ、ヒジキやニンジンなどと炊き込みご飯が定番です。

 写真のシロノハイイロシメジは、信州の里山には普通に見られるキノコで、ホイル焼きにして食たり、茹でこぼしてから塩漬けにして食べる人も少なくないのですが、保健所等では毒性分があるので食べない様にと指導しているようです。さらに森の奥に入ると、枯れ葉に隠れた森の貴婦人・ムラサキシメジがありました。枯れ葉の下に隠れていることが多いので、シロを知っていることが採取のポイントです。ムラサキしめじは輪菌を作るので、あったと思って近づくとミツバアケビの実が落ちていたなんていうこともあります。

 信州の秋の顔といえば時候坊です。全国的にはハナイグチですが、信州ではジコウボウ、ジコボウといいます。このキノコを食べないと秋が来た気がしないという人は少なくありません。ところが、今年は私の地元では近年にない不作でした。去年、我が家の山だけで700本も採れたのとは大違いです。菌は、安定しているとキノコになりません。菌の状態で延命できればいつまでもそのままでいます。急激な気候の変化や、なにか刺激が加わって危機感を持ってキノコになり胞子を飛ばして子孫を残そうとするのです。

 雨上がりの湿った森を歩いていると山桜の幹に何か光るものを見つけました。ゼリー状で透明です。触ると柔らかくプルンプルンしています。樹液かなと思いましたが、手で少しすくって舐めてみると無味無臭です。樹液ではないようです。おそらくシロキクラゲの幼菌ではないかと思います。しばらくして時間があったら確かめに来てみようと思い撮影しました。

 倒木に黄色い点々が。粘菌(変形菌)の変形体かな、ススホコリかなと思い触ってみると溶けません。プルンプルンしています。変形体なら形が崩れて溶けます。よく見ると丸い形をした小さなキノコです。モエギビョウタケでした。帰り道、11月というのに錦秋のきの字もない奇妙な風景の森を歩いていると、久しぶりにニホンカモシカに出会いました。冬毛に変わろうとしていました。この辺りでも熊の出没が相次いだため、キノコ狩りのシーズンというのに山はいつになく静かでした。

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