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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

天然記念物のミヤマモンキチョウに会いに峰の原高原から根子岳へ(妻女山里山通信)

2015-08-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
 またまた最高気温35度という猛暑を逃れて菅平の根子岳へ撮影登山に出かけました、もちろん私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っています。本書では。菅平牧場からと米子大瀑布から、四阿山へのコースとカルデラ周回コースを紹介していますが、今回は掲載できなかった峰の原高原からのコースです。前回登った大松山で撮影したミヤマモンキチョウが、どうも交雑種の蓋然性が高いので、こちらはどうだろうと確認に来ました。

 朝もやのかかる根子岳を見ながら、菅平牧場の北端の縁を登っていきます。気温は20度ぐらい。牧場の牛が草をはんでいました。途中群馬から合宿に来たという女の子が元気よく追い越して行きました。私は度々撮影でストップするのでポレポレ登山。山頂近くで、早々と彼女が戻ってきました。毎日登ってるの?速いねえと言うと、いえ初めてです。とっても気持ちよかったです。お気をつけて。と爽やかな笑顔を残して下りて行きました。このコースは、以外にマイナーで静かな撮影や山歩きが楽しめるのがお勧めです。右に根子岳、左の小ピークが小根子岳。根子岳へは、左の森と森の間を登っていきます。避難小屋辺りは、以前と異なり、もっと左手を真っ直ぐ登る新道ができています(下の地図の避難小屋近くの破線が古い道)。地図でお分かりでしょうが、狭い帯状の森を挟んで北側はゴルフ場です。殺虫剤や除草剤でゴルフ場は、大量の農薬を散布します。ネオニコ系の農薬もあり得ます。その影響が心配です。

[国土地理院電子地形図25000使用]
 車は、峰の原高原集会所に停めます。トイレと案内所、登山届提出ボックスがあります。ここから道路を東へ歩き、T字路を右折して別荘やペンション街を進みます。10分ぐらいで登山口のあるカーブ。標識はありますが、小さいので見落とさないように。沢を渡り登って行くと菅平牧場。料金所があるので200円を入れます。ここからは牧場のフェンスに沿って緩やかに登っていきます。
 コウゾリナで吸蜜するミナミヒメヒラタアブのメス。8ミリぐらいと非常に小さい。まず、知見がないと目の前にいても見えません。

 ハクサンシャジン(タカネツリガネニンジン)。妻女山など里山で見るツリガネニンジンと比べると大きく、花の数もずっと多いのが特徴。中はキバナノヤマオダマキ。数は多くはありませんでした。他にはコオニユリ、オオバギボウシ、アキノキリンソウ、シシウド、ワレモコウ、トリアシショウマ、ウツボグサ、ハクサンシャジン、ヤナギラン、ヒヨドリバナなどなど。
 右はシソ科のイブキジャコウソウ(伊吹麝香草:別名は百里香)。発汗作用のある薬草で、ハーブとしても人気があります。

 笹に留まるチャバネセセリ。翅の白斑が丸いので、間違いないでしょう。やはり笹に留まるヨツボシナガツツハムシ。ハギ類、カンバ類、ヤナギ類の葉を食べます。メスには、卵を糞で覆って地表に落とすという面白い習性があります。「糞食らえ!」ということですかね。小さな虫ですから小さな卵も哺乳類ではなく昆虫の餌でしょう。オオムラサキなどは、猪の糞を吸汁しますから、彼らにとってはごちそうです。昆虫の卵は、アリなどの餌食になるので、それへの対策として獲得した生きる術なのでしょう。
 右はマツムシソウで吸蜜するハナアブなんですが、同定できません。なんという種でしょうか。大松山でもヤナギランにいました。スイセンハナアブに似ていますが違うようです。とにかく動きが速く止まらないので、音を上げました。

 マツムシソウで吸蜜するシマハナアブのオス。花粉の媒介者で、リンゴとかナシの受粉にも利用されています。中はヒラタアブの仲間、ヒラタアブはナミホシヒラタアブとかフタホシヒラタアブとか似ているものが多く、同定はなかなか困難です。なんでしょう。
 こんな花畑の草原を登ってきます。左上に見えるのが眼下の菅平牧場。草むらからは盛んに虫の音が聞こえ、足元からはバッタやミヤマフキバッタが飛び出します。

 2時間少しで山頂。山頂には男子高校生と大学生の団体がいて大賑わい。他にも登山者が大勢いました。5歳ぐらいの女の子もいました。座るところがないので溶岩ダイクの先の大すき間と四阿山が見えるところまで行きましたが、なんと後からその団体さんが来て狭いダイクの上は大混雑。山頂へ戻り、小根子岳で昼食としました。写真は、団体さんが去った山頂。まだまだ、登山者が登ってくるのが見えます。

 その大すき間を見下ろし、四阿山を見上げるダイク(溶岩の岩脈)の上。爽風も吹いて休息には最高の場所です。しかし、右側は崖地なので転落に注意。菅平牧場を起点として四阿山から根子岳へのループコースは、本書でも紹介しているお勧めのコースです。写真の四阿山の左の肩には、二等三角点があるのですが、四阿山から見ると尖ったピークに見える不思議。現地で見ても、写真で見てもそう見えるのです。これも本書で紹介しています。

 他に誰もいない小根子岳山頂から眼下に菅平高原と、向かいに大松山。手前に日本ダボス。遠く大林山、冠着山、鏡台山が見えました。北アルプスは靄っていて見えませんでした。一番右端に、出発地点の菅平牧場の端が見えます。あの草原と森の境を登ってきます。ここで昼食にしました。時折吹く涼風が気持ちいいこと。真夏の信州の高原は最高ですね。根子岳は、普通の体力があれば、特別な登山技術も不要です。ただ、夏は雷雨がある場合もあります。当日の天気予報は必ずチェック! できれば早出早帰で、雷雨が起きやすい午後2時には下山していたいですね。この日は雷雨の心配はありませんでしたが。

 ザレ岩から四阿山のカルデラ内部。ちょうど中央に見える崖地の手前が米子大瀑布の不動滝の落ち口になります。本書では、米子大瀑布の麓からこのカルデラに上がって縦断し、根子岳へ向かうコースも紹介しています。また、米子大瀑布を起点とした根子岳、四阿山、浦倉山の周回コースは、23キロほどのロングコースですが、体力のある方には超お勧めのコースです。これも載せています。右上にアキアカネが写っていますが、根子岳山頂でも大量の群舞が見られ、それは見事でした。ザレ岩から下の分岐までは、ほとんど展望のない森の中の道になります。
米子大瀑布から四阿山カルデラ周回コースのフォトルポ」地図は掲載していません。詳細なコース地図は、『信州の里山トレッキング 東北信編』に載せています。

 ヒメキマダラヒカゲ。笹が食草なので、笹薮の森の道で数多く見られました。次はウラギンヒョウモン。こちらは明るい草地で見られます。ヤマハハコに留まるアサマシジミと思ったのですが、似たものにヒメシジミやミヤマシジミがあり、これもまだ同定できていません。山仲間の専門家に頼もうと思います。ということで聞いたらヒメシジミと同定されました。
 撮影中に、こんにちはと明るい声をかけられました。20代のとても美しい女性でした。今まで出会った山ガールの中で一番の美人さんかも。私も仕事柄、昔は女優やモデルの撮影のディレクションをしましたが、そういう人達の中にも山ガールは増えているようです。芸能人にも山好きは多いですね。昔お隣さんで、息子達をかわいがってくれたザ・ブルー・コメッツのジャッキー吉川さんも山登りが大好きな人です。山ガールが増えたのは、アニメ『ヤマノススメ』の影響もあるのでしょうか。登山ファッションも、昔とは考えられないくらいお洒落で機能的です。

 そして、やっとノアザミで吸蜜中のミヤマモンキチョウを見つけました。環境庁の準絶滅危惧種で、長野県の天然記念物です。もちろん全県で採取は禁止。羽の縁のピンクが愛らしい。これはメスで、オスもいましたが、活性が高く撮影させてくれませんでした。食草はクロマメノキ(アサマブドウ:採取禁止)。ただ思ったよりも数は少なく、ちょっと風が強かったり雨が降ると出てこないので、出会える確率はかなり低いと思います。この撮影チャンスもわずか3分足らずでした。
 やはりネオニコ空中散布がなければ、山は美しく虫たちで賑やかなのです。危険極まりないネオニコチノイド系農薬についての記事は、ブログの3つ前。4つ前。5つ前の記事をご覧ください。皆さんが食べている有名産地の果樹や野菜にも使われている可能性が高いのです。水溶性なので中に染み込むため洗っても落ちません。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店、蔦屋などでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山や亜高山を歩いてみませんか。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください
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