モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

熊に見えたり猿に見えたり。愉快な冬芽の季節(妻女山里山通信)

2013-12-20 | アウトドア・ネイチャーフォト
 冬芽(とうが・ふゆめ)は、落葉して彩りのない森で見つけられる数少ない冬の被写体ですが、夏芽(かが・なつめ)というのもあって、必ずしも新芽は冬のものだけではないのです。とは言え、冬芽や葉痕(葉が落ちた跡)が作る様々な表情は、なかなか味わいがあり、花もない冬の森の見どころ。また、肉眼ではやっと見えるくらいの蝶の卵が産みつけられているものも多く(ひとつ前の記事参照)、マクロ撮影をして帰って拡大してみて初めて気がつくこともあり、なかなか面白いものです。そんな冬芽の写真を集めてみました。主に妻女山山系のもので、ひとつ関東の山のもありますが、後は信州の旧埴科郡内の山で撮影したものです。

 最初は、妻女山山系に普通に見られるガマズミ(莢蒾)。初夏に白い小花を咲かせ、秋に赤い実をつけます。実は食用になり、いい果実酒ができるのですが、鳥や昆虫達には不評のようで、冬になっても残っています。おそらく酸味が強いのが原因かと思うのですが。ほとんどの場合、動物は酸味や苦みは、毒と判断しますから。
 ゴマキ(胡麻木)は、その名の通り、枝に胡麻の様な香りがあります。初夏に淡黄色の密集した小花をつけ、秋には沢山の小さな赤い実をつけます。 コブシ(辛夷)の写真は、以前に東京都と神奈川県の境にある小仏城山で撮影したものですが、信州の低山でも普通に見られます。暖かそうなやや緑褐色がかった銀白色の綿毛が暖かそうです。リンクのコブシの写真は、仲間と4月下旬に生坂村の京ヶ倉に登った時に撮影したものです。青空に白い花が浮かぶ様は、清楚で華やか。近くでは冠着山(姨捨山)のコブシが有名です。

 両手を広げた熊のぬいぐるみの様な冬芽のマルバアオダモ(丸葉青だも)は、初夏に咲く真っ白な花が里山に映えます。オニグルミ(鬼胡桃)は、猿のようなひょうきんな冬芽が有名です。枝先のあちこちに、色々な表情をした猿がいて見飽きません。オニグルミの実は固く割るのが大変ですが、シナノグルミなどの栽培種のクルミより味が濃く、美味です。レンゲツツジ(蓮華躑躅)は、6月の信州の山を彩る花で、有名な高原の群生地がいくつもありますが、低山でも見られます。有毒なので、動物は食べません。

 リョウブ(令法)は、妻女山にはほとんど見られませんが、標高1000mを超す鏡台山に行くと、尾根筋にほぼリョウブだけの灌木林があります。若芽はリョウブ飯といって食用になりますが、食べられるというだけで美味しいものではありません。シナノガキ(信濃柿)は、豆柿ともいい、直径2センチぐらいの小さな実をつけます。渋柿ですが、冬に樹上で干し柿になったものは渋みが抜けて非常に甘く美味しくなります。これが和菓子の原点ともいわれています。甘い実は、冬の鳥やタヌキなどの重要な食料になります。また、青い実は柿渋の原料になります。私も大きなペットボトル一本分を作りました。タラノキは、ご存知山菜のタラの芽になります。

 樹皮の模様がマクワウリに似ているウリハダカエデ(瓜膚楓)と(黄色い卵が産みつけられています)、樹皮の模様がウリに似ているウリカエデ(瓜楓)。ザイフリボク(采振木)は、別名を、シデザクラ(四手桜)といい、秋に小さなブルーベリーの様な実をつけます。

 他に冬の森で目立つ冬芽といえば、やはり大きなものでしょう。粘性の強い樹脂で覆われた赤いトチノキ(栃ノ木)の冬芽や、大きなホオノキ(朴ノ木)の冬芽が代表的なものです。冬芽は栄養がたっぷりなので、猿やニホンカモシカや野うさぎなどの重要な食料になります。
 善光寺平では、14日から15日にかけて、この冬最初の積雪がありました。積雪は3センチ程度だったので、昼にはみな溶けました。道路には雪が全くなかったので、愛車のビアンキで妻女山まで登りました。写真の様に、西山方面はまだ雪雲の中。もちろん長野市北部も。

 最後は、斎場山(旧妻女山)513mの雪景色。積雪量がわずかなので、まだ白銀の世界ではありません。太陽に黒点が生まれないということで、寒冷化が始まったようです。既にNASAやJAXSAは、そう発表しています。ちょうど戦国時代が寒冷期でした。そのため飢饉が頻発し、食料を奪うための戦も多かったのです。寒冷化は、世界的な不作と飢饉を招くため、実は温暖化より遥かに厄介です。

にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ にほんブログ村 アウトドアブログへ にほんブログ村 アウトドアブログ ハイキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ

★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。樹木の写真はこちらにたくさんあります。

★妻女山(斎場山)の歴史については、「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」。をご覧ください。「きつつき戦法とは」、「武田別動隊経路図」などリンク記事も豊富です。
このブログでもページの右上で「妻女山」や「斎場山」、「川中島合戦」、「科野」などでブログ内検索していただくとたくさん記事がご覧いただけます。主に古代科野国と戦国時代、幕末から明治維新にかけての記事がご覧頂けます。
川中島合戦と山名についての考察。斎場山と妻女山まとめ。関連記事のリンク集も

★妻女山(斎場山)のパノラマ写真は、「信州の低山1」のページ下部にたくさんあります。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする