モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山里山デザインプロジェクトの作業は、椎茸栽培のクヌギとコナラの伐採(妻女山里山通信)

2013-12-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今年最後の妻女山里山デザインプロジェクトの作業は、椎茸栽培のクヌギとコナラの伐採でした。作業は、いつもプロジェクトに協力してくれた先日急逝したKさんの隣の山林。持ち主のお婆さんに伐採の許可を得ての作業です。まず伐採する木を選別。地衣類や苔がついていない奇麗なものを選びます。特にゴムタケが生えた形跡のあるものは避けます。椎茸栽培の難敵ですから。

 樹高20m以上あるクヌギを選びました。まず受け口を作って慎重に切り進めます。その後、反対側からチェーンソーを入れて行き、ある程度の所で止め、くさびを入れました。倒れないのでくさびを抜いて、切り口を確認して2センチほど切ったところで、クヌギがゆっくりと倒れ始めました。倒す方向も予定通り。さらにクヌギを一本と、コナラを一本切りました。伐採されたクヌギやコナラは、これで死んでしまう訳ではありません。来春には蘖(ひこばえ)が出ます。ひこばえとは、樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のことです。クヌギやコナラは旺盛に株立ちするので、何度も何度も伐採されたものは、「山親父」といって面妖な人の顔に見える姿になるものもあります。適度に伐採し、かく乱してやらないと里山は活性化しないのです。
 伐採作業中に、偶然Kさんの息子さんがやって来ました。お父さんのこと、今後のこと、我々の活動内容などを話し、連絡先を交換して、いずれ偲ぶ会を開きたい旨を伝えました。

 今年は落葉が遅く、ニワトコ(接骨木)の葉が、まだこんなに青々としています。蝶の研究家のTさんが伐採したクヌギの冬芽に産みつけられた蝶の卵を探しています。そして、非常に驚愕し憤慨していました。異常に少ないのです。この春に彼が放蝶した数百頭のウラゴマダラシジミも、その後全滅した様です。いつもならその時期に大量に発生するゼフィルスが、ほとんど見られないのです。屋代の一重山も全滅状態だと言っていました。彼も、間違いなく千曲市による松枯れ病の空中散布が原因だろうと指摘しています。坂城町も空中散布をしているので、葛尾城跡の山林の蝶が壊滅状態だと言っていました。農薬を有機リン系から、ミツバチの大量死を招いた神経毒のネオニコチノイド系に変えたことが原因と思われるのです。EUは、ネオニコチノイド系農薬のうち 3 種の殺虫剤の暫定使用禁止措置の実施を決定しました。日本の基準は、その規制される前のヨーロッパの、なんと500倍という緩さ。いずれ人的被害も必ず出るでしょう。

 やっと見つけた蝶の卵。本来なら何百と見つかっていいものです。空中散布をしていない長野市の西山では、相当量が確認できたと言っていました。

 最後に、Kさんが亡くなる数日前に強風で倒れて、彼が処理し始めた落葉松の倒木を片付けることにしました。古墳の上に倒れていたので、このままでは古墳が傷む可能性があるからです。作業は、30分ぐらいで終了。ちょうど11時を回った頃なので、山を下りて昼餉にすることしにました。息子さんは、ログハウスを使ってもらっていいですよと言ってくださったのですが、それは偲ぶ会まで封印ということに。

 今回のメインは、ブイヤベースでしたが、どうも事前の打ち合わせが甘かったようで、材料がバッティングしてしまいました。まあ、それでもフランス産のフュメ・ド・ポアソン(魚スープ)を使い、私が作ったサフランを入れて、そこそこの味に仕上がりました。そして、Kさんが持って来たチーズ・フォンデュに、日本海産の焼いたタラを浸して食べたり、前回のパエリアでも好評だったエビとイカのピルピル。さらに私が持って来た鴨のパストラミも好評でした。今回は、ガスコンロではなく、K氏が持って来た、移動可能な薪ストーブと私が持って行った七輪が威力を発揮しました。他にも、バゲットにチーズや焼いたハムを乗せて食べたりと、小春日和の穏やかな昼餉がゆるゆると続いたのでした。海外へしばしば出張するTさんが、じゃあ今度パリでなにか美味しい材料を探してこようというので、みな楽しみにしています。今回、常連のフランス人のTさんとその彼女は都合により不参加でしたが、女性も大歓迎です。但し、トイレがないので、山の中でやる勇気があることが条件の場合も。今回は妻女山の駐車場だったので、トイレはあります。まあ、山ガールなら慣れているでしょうけど。

 この時期気をつけなければいけないのが、枯れ葉が厚く積もった林道の走行。枯れ葉は、乾いていても湿っていても、非常に滑りやすく、スタッドレスも効きません。走行には十分注意が必要です。写真の茶色い枯れ葉は、ヤマコウバシ。緑色は、ヤマガシュウです。

 風が出て来たので早めにお開きにしました。麓では、長芋の収穫が最盛期。霜が降りた後の長芋は、糖度が増して美味です。長芋は膵臓がんの予防や、インフルエンザの予防にも効果があるそうです。とろろだけでなく、お好み焼きや薩摩揚げ、海老しんじょに入れたり、中華炒めにも合います。長芋を使ったレシピは、「MORI MORI RECIPE 男の料理」をご覧ください。この冬は、まだ積雪がない妻女山ですが、この風景が白銀に染まるのもまもなくでしょう。

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★妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。

★ネイチャーフォトのスライドショーやムービーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌やオオムラサキ、ニホンカモシカのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
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