モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

34度の里山で繰り広げられるオオムラサキの求愛合戦(妻女山里山通信)

2013-07-11 | アウトドア・ネイチャーフォト

 信州でも34度ですよ。昼に一時間だけ撮影に行きましたが、ほぼ無風で里山は灼熱地獄。ただ立っているだけで頭がボーッとしてきます。けれどもオオムラサキ初め昆虫達は元気でした。樹液バーはいつになく大賑わい。カナブンやアオカナブンが出て来たのでどこの樹液バーも大騒動です。オオムラサキのオスは、羽化してもう10日以上経つので、縄張り争いや襲われたりしてかなり傷み始めていますが、羽化したばかりの大きなメスは奇麗です。この辺りには、北方系の黄色味の強いタイプと灰白色系と2タイプが混在します。北方系の方が少数派。

 黄色味の強い北方系は、陽に当たると黄金色に輝いて、それは奇麗です。だからもてるという訳ではないのでしょうが、そのメスに三頭のオスが群がるという場面に遭遇しました。三角関係どころか四角関係。そのうちの一頭が背後から忍び寄り、体を180度曲げてメスを捕まえようとしました。メスは気づいていません。

 海老の尻尾の様なものが交尾器(ゲリタニア)で、これでメスとドッキングしようという訳です。こういう場面には度々遭遇するのですが、成功したのを見た試しがありません。やはり相思相愛でないと交尾には至らないのでしょうか。飛んでいるメスをたたき落とすオスもいますが、これも交尾に至る率は少ないようです。たたき落とされたメスが、葉の裏に隠れてオスから逃れるのを見た事もあります。

 通常は、メスはメスで女子会を、オスはオスで男子会をしていることが多いのですが、女子会の中にオスが一頭で乱入することもあります。女子会は強烈で、翅を閉じて吸汁している時はいいのですが、全員が開いている時は、誰も入らないでという意思表示。こういう時はあの強面のオオスズメバチでさえ入れません。入ろうとオオスズメバチが頭突きをかましても、大きな翅を羽ばたかせて追い払うのを何度か見ました。

 別の場面でも一頭のメスに三頭のオスが求愛に集まり、一頭が背後からゲリタニアを出す間に、別の一頭が上から馬乗りになるという修羅場に遭遇しましたが、お食事中のメスは怒ってか皆を蹴散らして飛び去りました。その後一頭とお見合いになりました。触覚で探り合い、気に入るともっと頭を近づけて下唇髭で探りあうのですが(キスをしている様に見える)、この時はそこまで至りませんでした。オオムラサキの恋の成就もなかなか大変な様です。

 用事もあるしあまりに暑いので下山しようと歩き出すと、葉の裏に翅の透けた美しい蛾を見つけました。キンモンガに似ているのですが違います。帰って必死で調べてツトガ科ノメイガ亜科のヨツボシノメイガと判明しました。蛾の同定は本当に難しいですね。

 梅雨明けの雨上がりには、色々なキノコや粘菌が発生するのですが。今年は少なめです。それでも森の倒木にやっとエダナシツノホコリを見つけました。といっても高さが2ミリ、直径が0.3ミリ程度ですから、遠目には倒木に発生したカビぐらいにしか見えません。ほとんどの人には気づかれもしないでしょう。自然界には、見ようとしないと見えて来ないものがたくさんあります。自然に対する興味とリテラシー(読解力)を鍛える事が必要です。
 しかし、無事だったからいいのですが、撮影中に三回オオスズメバチに追われて逃げました。この時期のものはそれほど攻撃的ではないので、たいてい20mダッシュで逃れられますが、気が立っている個体には注意が必要です。イライラしているか分かるかって? 注意深く観察していると分かります。

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■ツイッターMORIMORIKIDSは左のサイドバーでご覧頂けます。主に原発情報、地震情報を呟いています。非常に重要な情報を選んでツイートしています。ときには自然、歴史も。写真もアップします。福島第一原発からは、今も毎日2億4000万ベクレルの放射性物質が流出しています。事故は終わっていません。太平洋は死の海になろうとしています。現実を学び見ないと生き残れない時代です。原発はほとんど止まっているのに電気は足りています。それでも原発は必要ですか。
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