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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

森の中に30センチの大きなティラミスが落ちていた! (妻女山里山通信)

2012-03-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
 春を招く雨の後、妻女山奥の大木の陰に、30センチぐらいの大きなココアパウダーをまぶしたような物体がありました。まるでイタリアンスウィーツのティラミスのようです。こんなところにケーキが落ちているわけはないのですが、食いしん坊なせいか、そう見えてしまいました。これはハラタケ科のキノコのオニフスベの老菌です。ハラタケ科ですからマッシュルームに近いキノコ。別名は、薮玉、薮卵、馬屁包、馬糞包、灰包菌、地煙などといい、地方名もたくさんあります。

 1712年(正徳2年)頃出版された江戸時代の百科事典『和漢三才図会』巻九十七苔類では、馬勃(ぼうべいし)として紹介されています。「煮て食べると味は淡く甘い。老熟したものは、はなはだ大形で、死者の首に似て醜い。」と書かれていますが、馬勃とは馬のおならのことです。

 ホコリタケの仲間は、成熟すると胞子を飛ばしますが、人が蹴ったりつぶしたりすると、勃(ボッ)と胞子が吹き出ます。その様を馬の屁(あるいは馬の糞)にたとえたのでしょう。もっとも馬勃とはオニフスベだけでなく、ホコリタケ一般をさすらしいのですが。

 「煮て食べると味は淡く甘い」とありますが、かなり木の臭いが強烈です。ゆでこぼすか、濃い味付けにしないときつそうです。あちこち調べても美味からず不味からずとか、食べられるが美味しいものではないとか、食べたけれど二度食べたいとはおもわないとか、大きなマッシュルームといえなくもない姿ですが、どうも評価はもうひとつのようです。食指が動きません。ただ薬効はあるようで、清肺、利咽、解毒、止血作用があるとして、漢方薬として用いられたようです。

 うちの山にあるエノキの切り株には、例年通りエノキタケが出ました。ラテン語で「ビロード状の柄の小さな炎」というのですが、その名の通り軸にはビロード状の細かな毛があります。栽培のものとはずいぶん色形が違います。最近では原木栽培のものもありますが、おがくずにせよ原木にせよ福島産のものを使用したものからは放射性物質が検出されているので控えた方がいいでしょう。

 枯れ木の伐採をしていて、枯れた蔓草、カナムグラですが、それをどけるとヒラタケの老菌が顔を出しました。ここまで古いと食べられません。秋、ヤマザクラの老木や枯れ木に大量に出ますが、春や梅雨の時期にも出る事があります。

 ヤブソテツは、緑の葉が少ない冬期にリョウメンシダと共にニホンカモシカの重要な食料となります。また、寝床にもなるようです。アオイスミレは、妻女山で春真っ先に咲くスミレです。タチツボスミレに似ていますが、小さく花立ちが悪く華奢な感じです。林道ののり面に沢山咲き乱れるのも間近です。

 林道に落ちていた黄色いヤドリギ(宿木)は、他の樹木の枝の上に生育する半寄生の灌木です。果実は鳥によって運ばれます。種子は、非常に粘着質なにかわ状の繊維に包まれていて、他の樹皮にくっついて繁殖します。ギリシャ神話や北欧の神話にあるように、西洋では霊力を持つ不思議な植物と考えられていたようです。クリスマスの日に男女がヤドリギの下でキスをするという慣習があり、永遠に結ばれるという伝承があります。

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