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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

オオムラサキの女子会と男子会 その3 on Youtube(妻女山里山通信)

2011-12-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 オオムラサキの写真を三部作のスライドショーの最後、第三部です。樹液バー(樹液酒場)に集団で吸汁するメスの集団とオスの集団。なぜか女子会、男子会のように、それぞれ別の樹液バーに集まることが、よく見られます。食事の時間は余計な事(求愛やら交尾やら)に気を取られずに食べる事に集中できるからでしょうか。

 最初は例によって、一頭で吸汁しているメスの背後からオスが忍び寄り、思い切り腹部を曲げて把握器でメスを捕獲してしまおうというシーンから始まります。強引に交尾をしてしまおうというわけです。何度もこのシーンに遭遇しましたが、成功したのを見た事はありません。たいていメスも気がついてすぐに反転。「なにするのよ!」ってな調子でオスと対峙します。やはり、求愛して合意の上でないと難しいのでしょう。その求愛もほとんど断られることが多いのですが・・・。すでに卵を持っているメスは、お腹がかなり膨れてくるので分かります。しかし、交尾を済ませているかどうかは、外見では分かりません。済ませていたら恐らく拒否されるでしょう。

 交尾してもすぐに受精するわけではありません。精液は貯蔵庫に蓄えられ、産卵の時に精液をかけられて出てきます。そして、その精液が受精の役割と共に、葉に卵を付ける接着剤にもなるのです。人間の精液にも粘性があるのは、着床し易くするためですから、やはり同じ機能があると考えていいのでしょう。無駄に粘つくわけではないのです・・。

 最初は女子会。メス同士が集まって吸汁しています。翅を広げているのは、実は互いに牽制し合っているのです。メス同士の方が攻撃的ですかね。というか、産卵のためにより多くの栄養が必要なわけです。寿命もオスより一週間ほど長く、オスが消えた後に残って産卵をします。オスもですが、縄張り意識は高く、自分より遥かに大きいツバメを高速で追いかけているのもよく目にします。

 次は、賑やかな男子会。五頭が集まって吸汁しています。翅は立てて狭い場所でお互い仲良く?吸っています。ただ、翅は縄張り争いからか、かなり傷んでいるのが分かります。間にハエやダニがいますが、これらはオオムラサキだけでなくオオスズメバチ等も気にしません。後の方にメス二頭とオス二頭が同じ場所で吸汁しているシーンが出てきますが、メスが翅を広げていて、オスが立てているのも面白い光景です。

 ちなみにオオムラサキの交尾は、通常短くて3時間、普通は5、6時間、長い時は10時間から20時間にも及ぶそうです。これは、大量の精子を細い管からメスの腹部にある交尾嚢に入れるのに時間がかかるからともいわれています。オスの腹部を見ると、それほど大量の精液を常に蓄えているようには見えないので、精子を作りながら交尾しているのかもしれません。

 ワンカットだけスミナガシが映っているシーンがあります。オオムラサキ二十頭に対して一頭しか出会いませんでしたから、当地ではかなり希少です。食草のアワブキが少ないのだろうと思います。最後の方のカットで、オオムラサキの口吻(ストロー)の途中に樹液の水滴がついているものがあります。口吻はチューブではなく、雨樋がふたつ合わさったようなものです。羽化した時は別れていて、ジッパーが合わさる様に接合して管になるのですが、稀に接合が悪いものがいると、この様に漏れるようです。真っ白な樹液が酵母で発酵して結晶化したものが写っていますが、舐めてみるとかなりの甘さで、人間が食べても美味しいものです。メープルシロップを思いだせば、それもうなずけます。

BGMは、例によってGarageBandで作ったオリジナルのギター曲。なんとなく70'sのアンビエント・ミュージックをイメージしてみたのですが・・。次は、オオムラサキが表の国蝶とすれば、裏の国蝶は間違いなくこれだといわれるスミナガシ(墨流し)。和風テイストのシックな色合いが本当に素晴しいチョウです。


Omurasaki butterflies in Japan 2011 Part 3of3



Omurasaki[Sasakia charonda], the Great purple emperor, is a species of butterflies in the family Nymphalidae and the national butterfly of Japan.Adults feeds on sap of oaks.Wingspan of male: 50mm, female: 65mm.
I took these photos in July and August of 2011 at Mt.Saijo in Nagano Japan.
For more, please visit http://www41.tok2.com/home/capino/mori/index.html


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