実験動物

2006-11-21 23:58:52 | 健康・病気

先日、ニュース番組「NEWS23」の特集で「肝炎実験に使用されたチンパンジーのその後」を取り上げていました。
実験動物として、チンパンジーを肝炎に感染させワクチンを開発、研究終了後にそのチンパンジーがどうなったか、という内容です。

国の組織の見解としては「実験終了後は処分」という見解らしいんですが、実際はあちこちの動物園などに譲渡されたりしているようです。
もちろん肝炎に感染したチンパンジーです。
話によれば、チンパンジーの場合、慢性の肝炎というのは無くて、肝炎ウィルスの感染拡大などの可能性は低いんだそうで。

薬。

歴史の中で、さまざまな薬が開発され、あらゆる病気が克服されてきています。
その影にはさまざまな犠牲があるんですよね。
その一つが実験動物であり、
また一つが戦争です。

巷にある殺虫剤や鎮痛剤、そして知能検査も、戦争の歴史の副産物として開発されてきたというのは、知らなくても使って暮らして行けるもの。
近年になってこそ、薬の研究開発に動物を使わなくなってきたものの、ハツカネズミなどの小動物を含めれば、どれだけの動物が犠牲になり続けているのかなんて、日常生活では知りえない事です。

「実験動物なんて酷い、かわいそう」
…うん。牛もそう思う。
けど、だれだってその恩恵をまったく受けていない人なんていないんだと思います。

昔の話ですが、製薬会社で事務の仕事をやってました。
病院の先生向けの資料として作る処方事例集、自社のMR向けに作る販売実績の推移、競合品の情報。そんな資料を毎日作っていれば当然、何の薬なのか興味を持つようになります。
抗アレルギー薬、向精神薬、抗生物質、造影剤、各種胃潰瘍治療薬などなど。
今でこそ、ネットで検索すれば容易に情報を入手できますが、まだインターネットが普及していない頃の事です。
隣の席にいた、元MRの課長さんが情報源でした。

そんな中、牛の父は病院に入院していました。病院から会社に通う事もありました。
会社へ行って牛は、日々販売実績の資料を作っていたんです。
ふぅん。これは「腫瘍マーカー測定薬」で、がんになると体内で作られる「腫瘍マーカー」の有無を確認するものなんだ。
この薬、ウチの親父も使ってるかもしれないなぁ、と思いながら。

肝炎。

牛にとってはあまりにも関わりの深い病気です。
肝炎といってもウイルス性、アルコール性、薬剤性、自己免疫性などの分類があります。
特にウィルス性肝炎は、いたずらに「劇症肝炎」やら「感染する」といった情報ばかりが注目されがちで、まだまだ一般的な知名度と理解度は低いのでしょう。
未だに肝炎というと、「お酒を飲む人がかかる病気」という認識が根強いようですし。

ウィルス性肝炎の中にも種類があります。
C型肝炎は、輸血や手術などをきっかけに感染し、日常生活の中で感染する事はほぼありません。有名なのは血液製剤による感染被害でしょう。
感染後、発症するまで10年から40年。25%ほどは肝硬変から肝がんに移行する事があります。
もちろん、全ての人が発症するわけではなく、ごく軽い肝炎のみで抗体ができ、治ってしまう人もいるといいます。
40年といったら…もしかすると、発症する前に他の原因で亡くなる人もいるかもしれません。

B型肝炎も、血液感染が多いですが、日本では母子感染が多いそうです。
「同じ箸を使ったりジュースのまわしのみでも感染する」と言われていましたが、その実態は、必ず感染するわけではなく「ジュースのまわし飲みをした際、付着した唾液にたまたまウィルスが含まれていたら(=たとえば偶然その時口の中で出血があって、その血液中にウィルスが含まれていたら)感染する可能性がある」という事らしいです。

誤解を恐れずに言えば、牛もB型肝炎ウィルスのキャリアだったことがあるようです。
検査したところ、「過去に感染して抗体ができた形跡がある」のだそうで、おそらく幼いころでしょうね、と病院の先生から言われました。
牛の場合は幸い「無症候性キャリア」(=感染していても発症しない)となり、抗体ができて自然治癒したようです。
そのほか、おそらく薬剤性肝炎と思われるものになった事もあります。
この時は、倦怠感がものすごくて、どうやら普通じゃないなと思って病院に行った所判明しました。
牛は検査を受けるきっかけがあったので判明しましたが、多くの人が、キャリアであっても気づかないままでいるんだそうです。もしかしたら発症するまで気づかないのかもしれないんです。

父がなくなってから、既に7年が過ぎました。

以前は、会社の健康診断ってとてもあっさりした内容でしたが、最近では、定期健康診断の血液検査の内容にも肝機能の検査が含まれるようになってきました。そして治療が不可能と言われていた肝炎にも、治療薬が出てきたようです。
もちろん、肝がんへ移行してしまうと別の話になりますが、昔、不治の病だった結核が、今では克服されているように、肝炎もがんも、いつの日か克服される日が来るのかもしれません。
これも、歴史の中で肝炎に感染して亡くなられたひとたちが残した「結果」なのでしょう。

確実に効くわけではないにせよ、何らかの手段があるのは心強いことです。
しかしながら、未だに新しいウィルスは発見されているのも事実。

そんな中で、研究開発に実験動物が必要だとしたら、牛は反対できるだろうか。
命が尊いのは人間も他の動物も同じだとも思うし、もしもどみっさんが実験動物にされるとしたら、牛は猛反対するでしょう。

だけど、自分の目の届かない所に居る動物が実験に使われるとして、それがもしも、家族の病気のための薬を開発するためだったとしたら、牛は反対できるだろうか。

反対できない気がする。

だから、実験チンパンジーの特集を見て、少し安心したんです。
もちろん、残念ながら死んでしまったチンパンジーもいるそうですが、某所で、二度と実験動物としては使われない事を約束され、十分な食べ物を与えられ、必要な環境の中、繁殖し、暮らすチンパンジーがいるという話は、牛にとっては小さな喜びでした。

もちろん、犠牲なんて無いにこしたことはないけれど、それは既に在るものだから、少なくともその過去や歴史に敬意をはらっていたいと思うんです。

だから、薬は正しく使わなきゃ。必要な検査はちゃんと受けなくちゃ。
牛に与えられている手段の、そのありがたみを感じながら。

…と、急にこんな事書いちゃったのは、体調が悪くても、多少の事だとついつい病院に行きそびれ続けてるからだろうなぁ。
今週、接骨院すらサボってる始末。
こりゃいかん。いかんぞ。そのうち起爆装置が作動してしまう。
明日は必ず行くべし!明日まではがんばれっ、うりゃ~っ!


3 コメント

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びおはかつて、モルモットを飼っていたけど、「モル... (びお)
2006-11-24 22:59:36
ひどい人になると、「病気から貰ったの?」とまで言われた。あんな可愛い動物なのに、誤解されてたモルモットが可哀想だったよ。
いろんな薬の進歩はめざましいのに、日本で新薬が認可される事の遅さも、びおは腹立たしい。
アメリカではいろんな抗ガン剤が、認可されて使われているのに、日本で使用出来る抗ガン剤の少なさは、ヒドい。
無認可の薬は保険適用外で、莫大な費用がかかるし。
しかも癌患者を診るのは、外科のドクター。海外では、癌の専門医が居て、研究・治療が行われているのに。
厚生省がもっと使える奴らなら、びおの両親はもっと長生きできたのかな、って今でも思うよ。悔しいって思う。
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>びおさん (牛。)
2006-11-25 11:57:24
コメントありがとう。ちょっと重い話だったかなぁと反省してたとこでした。
モルモットって、まるで実験動物代表みたいになっちゃってるもんねぇ。。。牛が小学生の頃は、飼ってる友達結構居たと思ってたけど。
その種が背負ってきた歴史といえば、ハツカネズミやらハムスターになると、年配の人にとってはただのネズミであり害獣であるのも事実。…もちろん所変われば犬猫も食料だしね;

薬の認可も、日本の製薬会社が開発した薬でも、先に海外で認可受けるんだよねぇ。そして1つの事例だけで認可取消になったり。
けど、薬が原因で家族を失った人からしたらどうなんだろう。
リスクを負っても、その薬に頼りたい人からしたらどうなんだろう。
それでもやっぱり、選択肢として存在して欲しいものではあるな。
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C型肝炎ねぇ (たんぽぽ)
2006-11-27 17:11:44
うちのおかんなって 
たんぽぽが高校生の時発症したなぁ

肝炎っていうと、酒っておもわれがちなんだけど
おかんの場合
C型肝炎はウィルス性で
若いときの盲腸の手術のときの輸血が原因らしい

で、キャリアになってから、たんぽぽ姉妹を生んでいるので
「わしらも、キャリアかねぇ」
とのんのんのーんと姉妹で考えこむ(あまり深刻でない)

うちのおかん、薬きいたけど、ホルモンバランスくずれて
鬱状態にはなるは
髪の毛がごっそりぬけるは

たわいの無いことで、必要以上に怒り狂うので参りました。
なにせ
母とたんぽぽ二人の生活だったもので。

ちなみにうちのおとん、インターン時代誤ってPtからB型肝炎もらったことあったらしい。

・・・・そう考えるとたんぽぽ姉妹
BとCのダブルキャリアかぃ?
Aがそろえば完璧ですな。
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