たくさんの人が行きかう週末の仙台駅。
すれ違って、たまにぶつかって、出会って別れて探して待ち続けて。
ちょっとだけ疲れてる牛は誰も待ってはいなかったし、待たれてもいなかったのだけれど。
偶然のwitness。
胸をえぐるような別れはいくつだって知ってる。
慣れることなんてできなくて、いつも怯えて過ごすようになるくらい。
だからなのかな。こんなに胸に染みるのは。
彼は何かを叫んで、彼女はただ背中を向けて去っていった。
その二人の後姿がいとおしくて、だけどただの通行人の牛は視界の端に彼らを映してただ歩き去るだけ。
ねぇ、彼と彼女。
牛は上手に演じられたのかな。「通行人A」を。
あの二人がまた、明日に出会えますように。