板垣、確信の笑みー『風林火山』鑑賞記１４

　　　　　　　　　　　　第14回 「孫子の旗」
　
　今回は、千葉ちゃん・板垣の、不安が信頼･確信へと変わる表情に注目！

　晴信（市川亀治郎）の言葉に戸惑い、関東管領・上杉家の軍の信濃侵入、諏訪頼重（小日向文世）の裏切りが、さらに不安を増長した、前回の板垣の不安げな表情は、時が経ち、勘助（内野聖陽）と晴信、二人の言葉と表情から、一つの確信を得て変化していく。

　出家した大井夫人（吹風ジュン）の元に、晴信の弟・信繁（嘉島典俊）が重臣を連れ相談にやってくるシーン、後から一人登場する板垣の足の運び跪く身のこなしに注目！貫禄と共に、じっくり皆に語りかける説得力ある語り口調は、板垣千葉ちゃんの見せ所。気持ちのこもった一句一句その表情に見入ってまう。

　氾濫する河を何とかできぬかと、晴信が地元百姓に聞くシーン、晴信の脇に控え説明をしたり地図を持ったりと仕える板垣の姿は、若いながら国作りに燃える気力に満ちた晴信への信頼を取り戻し嬉しそう。勘助の名を語る者が現れたことも板垣を喜ばせ、安心の笑顔がちらり。

　そして、今回のクライマックス、孫子の言葉を書いた新しい旗を引き連れ、家臣らの前に登場するシーン。御屋形様の気持ち・・・」と紹介する板垣。家臣らを見渡し、胸にしまっていた思いを言葉に出来た、晴れ晴れとした板垣の笑顔に、こちらも嬉しくなって、胸が熱くなった。今回の板垣の表情は、前回よぎった御屋方様・晴信への不安が信頼感に変わった確信に満ちた、嬉しい笑顔の幕切れになった。

　次回予告編には、鎧姿の板垣登場！戦いが始まる？！心労もまたまた増えそうな気配。そして、刀捌きは、見られるのか？期待が膨らみます。（笑）

　今回は、遂に、勘助が軍師としての一歩を踏み出し、見どころ満載！晴信との男二人の入浴シーン有り（今回はやけに多い？！温泉入浴シーン。御屋方様の好きなところ告白！笑）諏訪湖の神事、御神渡りでの由布姫（柴本幸）との初対面、5年ぶりの平蔵（佐藤隆太）との再会、そして苦笑してしまう諏訪での教来石景政（高橋和也）と漫才のような会話。晴信の前で焦り、そして、驚き、感激する勘助。自分が唱えた言葉を御旗に見た勘助の表情、見開いた眼が潤み、印象的だった。

　遂に、由布姫も動き出した。絶世の美女にはまだ見えないが、神秘的な表情がちらり。果たして、どんな風に変化していくのか？注目だ。

そして気になる、晴信の変化。勘助を疎ましく思い、戦いを止めさせる三条夫人に、「戦さは定め」と言い切る厳しい表情は怖くなる程。戦さを何とか避けたい思い以上に、戦さへと進む気迫が、全身から溢れている様子。
　あれぼど優しかった表情が、一変。立場が変わったせいか、見る者が変わったか？見えるものが変わってきたか？人が変わったように凍りつきそうな、市川･晴信の厳しい表情が、心に焼きついた。