10日に県議会質問に立ちました。
立憲主義を破壊する安倍政権、核燃料税改定問題、広域避難訓練は熊本地震の教訓をふまえたものに。定時制高校の廃止問題、出産育児休業を終えたら元の職場に復職できない問題、県独自テスト導入問題、住宅耐震化促進、などをテーマに質問しました。
当日のNHKニュースや、福井新聞、県民福井でも取り上げられました。福井県議会ホームページで録画などをみることができます。
以下、質問内容です。
1、 安倍政権と憲法、国民主権
日本共産党の佐藤正雄です。
いよいよ参議院選挙目前となりました。安倍政権のアベノミクスは、大企業は4兆円もの減税で内部留保が空前の300兆円に膨れ上がるなど潤ったものの、国民から見れば、低金利と物価高などで実質賃金の5年連続マイナス、個人消費が戦後初めて2年連続マイナスとなるなど大きな失敗です。共同通信の調査でも国民の6割が政策変更を求めています。日本共産党は消費税増税延期ではなく、きっぱり中止を求めます。アベノミクスによる格差貧困の拡大、生活破壊の是正を求めて野党共闘でがんばります。
また、沖縄を中心に在日米軍の犯罪犠牲者はあとをたたず、アメリカ従属で国民の命を守らない政治にも厳しい批判がだされています。先日行われた沖縄県議選でも基地移転に反対する翁長知事の与党が議席を増やしました。野党4党は辺野古新基地建設反対で一致しています。
北朝鮮の拉致問題にも、アメリカ軍による凶悪犯罪にも、断固として日本国民の命と安全を守る立場でがんばる政治への転換が急務です。200年間も使用可能といわれる辺野古新基地建設を推進する政治では日本国民の主権は守られません。
また、安倍政権は、「憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は許されない」とした従来の政府解釈を一内閣の専断で百八十度覆す「閣議決定」を2014年7月に強行し、昨年9月の安保法制=戦争法成立に突き進んだことをはじめ、憲法と国民の声を乱暴に踏みにじる政治を続けています。
昨年10月には、日本共産党など野党が憲法53条にもとづいて臨時国会開催を要求したにもかかわらず、その要求を踏みつぶしました。国民の知る権利を侵害する秘密保護法も強行しています。
参院選にあたり、日本共産党、民進党、社民党、生活の党の野党4党は、「安保法制廃止・立憲主義の回復」を共通目標にしています。憲法によって、権力を縛るのが立憲主義です。安倍政権の憲法破りの数々は、まさに立憲主義を破壊する政治です。安倍政権がたくらむ憲法改憲、緊急事態条項で独裁政治を狙う道を食い止めなくてはなりません。
そこで知事に質問します。憲法第53条にもとづく野党の臨時国会開会要求にまで応じないという究極の立憲主義を無視した政治手法について知事はどう見ていますか、見解をおたずねします。
2、 原子力行政。核燃料税改定と廃炉時代
つぎに原子力行政、核燃料税改定について質問します。
●核燃料税
知事は提案理由説明で「使用済み核燃料の県内貯蔵が常態化しないよう新たに搬出促進割を創設する」と述べられました。
県の新たな課税の狙いは県外への使用済み核燃料の搬出であるとの説明ですが、はたして今回の課税がそれを担保することになるのでしょうか。全員協議会での私の質問に対し、東村総務部長は「これによってのみ搬出促進とはならないかもしれない」となかなか正直に答弁されました。
そこでおたずねいたします。
2月議会でも指摘いたしましたが、使用済み核燃料の長いものは40年間プールにあり、すでに事実上の中間貯蔵状態にあると認識しなくてはなりません。
仮に廃炉作業をすすめるとしても、10年から10数年はそのままの状態がつづく可能性があり、事実上の中間貯蔵状態が50年から60年間となるわけです。
一方、仮に他県に搬出先が決まったとしても、その県や市町村が福井県で新たにはじめる課税に照らして、保管される使用済み核燃料に応じてなんらかの財政見返りを求めることは十分に考えられます。
そうしますと、電力事業者としては、核物質防護の観点からも、新たな財政負担の観点からも、核と財政のリスクの拡散拡大ではなく、お金で解決できるなら理解のある地域に、と福井県にひきつづきお願いしよう、となりかねません。
そこで質問いたします。今回の核燃料税の改定提案は、県民に説明される趣旨とは真逆の効果を福井県にもたらしかねないのではありませんか。そしてこのような制度設計が、逆に中間貯蔵状態を半永久化し、廃炉解体作業を遅らせることになる懸念があるのではありませんか、お答え願います。
●高浜1,2号機
ところで、原子力規制委員会は関西電力の40年を超える老朽原発を60年まで動かそうという高浜1,2号機運転延長について認める方向です。
知事は提案理由説明で「慎重に対処」すると述べました。
私はこれまでも指摘してきましたが、いくら外回りを新しくしても中枢の原子炉圧力容器本体は取り換えがきかず、中性子照射脆化による老朽化が進行しています。事故の際の冷却水注入による急激な温度変化に耐えられず圧力容器破損につながりやすくなり、手が付けられない大事故となります。
ですから原子力規制委員会はこの脆性遷移温度に関して規制基準をつくっていないのです。基準がなければ及第点がないのですから、審査上は不合格をまぬがれます。
このような老朽原発の再稼働はそもそも検討すべきではありません。
そこでおたずねします。高浜3,4号機の際の再稼働を認めた知事判断の経緯に加えて、慎重に対処する、という点でどういう内容を加味されて知事は最終判断することになるのか、お答え願います。
●広域避難訓練
つぎに、原発事故時を想定した広域避難計画と訓練について質問します。
知事は、8月下旬に高浜原発事故を想定し、京都、滋賀、兵庫などをふくめた広域の避難訓練をおこなうことを発表されました。
今回は熊本地震後の訓練となりますので、抽象的な事故想定ではなく、地震の要素も加えた訓練を取り入れるべきではないでしょうか。
すなわち、基準地震動を大きく超える熊本での実測値1580ガル程度の地震に繰り返し高浜原発が見舞われ、放射性物質が放出される事故想定であります。
その際に、5キロから30キロ圏内の住民は自宅退避という計画ですが、巨大地震と余震が繰り返される中で自宅は破壊される、あるいは自宅にとどまるのは怖い、と熊本の例ではなるわけで、県が計画している2段階避難が困難になった場合の実効性も検証されなければなりません。また、高速道路ふくめて道路が巨大地震で通行止めになることなどが起こりますので、そういう事態を想定した訓練も必要です。
いま、熊本地震の例をあげて一部分の話をしたわけですが、福島原発事故は地震、津波とともに複合災害だったわけで、東日本大震災、熊本地震をふまえ複合災害を想定したリアリティーある原子力防災の広域訓練にすべきと考えますが、見解をおたずねします。
3、 教育行政
つぎに、教育行政について、まず夜間定時制の廃止計画について質問します。
●夜間定時制
昔話に100頭の牛を放牧していたら、1頭が行方しれずになった。いっしょうけんめいに探して見つけて近所の方々もふくめてよろこびあった、というのがありました。
先日、若狭高校をたずね、中学で不登校になった生徒を夜間定時制が受けいれ、少人数のゆきとどいた指導でちゃんと卒業し、大学進学や就職していく、とのお話をお聞きし、さきほどの昔話を思い出したわけであります。
定時制教育の原点は1947年の文部省手引きにも書かれています
「定時制課程の根本精神は、一に教育の機会均等にある」「特に定時制の過程は、少数の選ばれた者のためでなく、ひろくその地方の青年男女一般の要求に適合するように設置され、運営されることが大切である」・・・・・
公教育は塾とは違うわけで、すべてのこどもたちに責任をもつということです、ひとりひとりの生徒を下支えしていくことです。費用対効果の世界とは違うはずです。しかし、いまの福井県教育委員会のすすむ方向は、夜間定時制廃止や分校廃止などひとりひとりを下支えしてきた教育を崩壊させるものではありませんか。
居場所をなくす生徒はでないのでしょうか。暗闇に囲まれた校舎の明かりを消してしまえば、明かりを見失った生徒はどうなるのでしょうか。
夜間定時制はテストテストで成果を競いあわせる教育委員会にとってはなくてもいい存在なのでしょうが、それはほんらいの教育の機会均等とはまったく別の道です。
そこで質問いたします。
定時制設立の趣旨からはずれる教育委員会の廃止計画は見直すべきではありませんか、また、こういうことを強行すれば、昼の生徒と体育館やパソコンなどお互いに干渉しあう問題を解決するための経費が必要になりますが、予算は2月議会にも今議会にもだされておらず、このような廃止ありきの乱暴な計画のごり押しはやめるべきではありませんか、答弁を求めます。
●実習助手
さて、県立学校の現場で実習助手の採用がおこなわれず、有能な臨時任用の先生が将来を考え退職してしまうなどの人材流出がおこっています。また、安心して働き続けるための産休育休の制度を活用している先生の代替教員が契約更新されずに、原職に復帰できない重大な問題も発生しています。
学校現場の状況が変わっていないのに、一方的に実習助手の定数を削減すること、しかも、産休育休中の先生が元の職場に戻ることができないという非常にえげつないやり方での削減は、本来、子どもを産み育てやすい環境整備に率先して努めなければならない公務員職場であるまじきことです。県がすすめる出産・子育て応援施策の精神すらふみにじるものです。
出産などで休んでいる間に自分の職場での居場所がなくなってしまう、これほど精神的にダメージをあたえることはありません。
これは、原職復帰を事実上困難にする手法での配置転換を強要するものであり、「育児休業および介護休業後においては、原則として原職または原職相当職に復帰」という厚生労働省の指針に違反する疑いが濃厚です。
産休育休中に元の職場でのポジションがなくなり、奪われることは相当の精神的圧力、不利益を教員に与えるものであり是正が必要です。このような子育て支援策にも逆行し、厚生労働省指針に反するような教育人事行政は改めるべきではありませんか、また、現場の教育の充実のためには事実上停止している実習助手の正規採用を再開すべきではありませんか、答弁を求めます。
●県独自テスト、過去問練習是正通知
つぎに、新たな県独自テストの問題です。
現場の教師の声を紹介します。「ただでさえ生徒は日頃から小テスト、定期テスト、模擬テストと追いまくられている。精神的、肉体的にぎりぎりで毎日綱渡り状態です。いつこの緊張の糸が切れてもおかしくない。目の前の生徒をもっと見させてください」
「なんのために普通科高校が一律で同じテストを受けるのかわかりません。意味がないと思います。また、当該高校教員で採点と言うことで教員の多忙化を促進するもの以外のなにものでもないと思います」・・これらの現場教員の声は知事や教育長にとどいているのでしょうか。
県教委は「学力低下対策」としてこの全県テストを導入する計画ですが、県内のいろんな到達点の生徒にたいして一律のテストをおこなうことに現場の教員からも疑問と批判の声がだされています。
この問題のひとつの本質は、生徒のことをわかるのは県教委なのか、現場の教師なのか、当然、現場の教師なはずです。
わたしはかねてからゆきすぎた上からの押し付け教育は問題だ、と指摘してきました。
これまでの過去問押し付けやプリント、テスト漬けの弊害があらわれていることを知事と教育委員会ははっきり自覚すべきです。
県民福井でも「学力トップの陰で 教育の現場から」という連載がおこなわれ、現状の矛盾を鋭く告発していますが、西川知事が知事になられて10数年の教育現場への過度の干渉が今日の歪みとなってきていることを自覚すべきです。
そこで質問いたします。
文部科学省は、全国学力テストについて、テスト前に過去の問題を集中的に練習させることなどは目的を損なうものだ、との通知を4月28日にだしましたが、県教育委員会は、この通知をうけて、これまでの過去問練習などを現場に取り組ませてきた手法を反省し、改善する計画はどのようになっているのかおたずねします。
また、県立高校におけるあらたなテストについて、現場教員の多忙化解消に逆行し、生徒を意味のないテスト漬けにすることへのつよい批判がだされています。中止を求めますが、見解をおたずねします。
4、大災害時代と地方の対応について
●住宅耐震
最後に、住宅の耐震化促進について質問します。辻土木部長は代表質問への答弁で民間住宅の耐震化について、「平成17年に69%から平成27年に74%になった。平成25年から寝室、居間などの部分の改修助成もはじめた。3102戸診断し、447戸が耐震改修した。日本海側でもっとも多い。熊本地震後200件の相談がきている。情報発信を強化する」などと答えられました。
私が県議会で民間住宅の耐震診断改修制度を提案した背景には阪神淡路大震災がありました。多くの住民が我が家で命を奪われたのです。公的施設だけ耐震化しても住民の命が守られないのではいかん、と思ったことでした。
幸い福井県庁にはしんしに受け止めていただき制度がつくられました。
さらに県民の安全度を高めるための工夫と努力が必要です、
たとえば、該当の民家の方々に耐震診断改修の案内を県と市町が協力して発送し啓発するとか、建築士会などと協力し該当家屋のパトロールをおこない耐震診断改修をおこなうよう働き掛けることなどの取り組み、そして現在の補助額を大幅に引き上げるなどして経済的事情で見送っている方々の背中を押す、などの財政措置をとるべきではないでしょうか。
このことは地域の安全度を高めるとともに、請け負う業者はほとんどが県内業者でしょうから、知事が述べられているお金とモノの地域循環にもっともふさわしい行政施策のひとつでもあります。
県内住宅耐震化推進のためには情報発信や啓発にとどまらない、思い切った施策の展開が必要ではありませんか。見解をおたずねします。