前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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2014年12月福井県議会予算特別委員会  秘密保護法、福祉行政、原発再稼働

2015年02月18日 | 福井県政
 昨年12月県議会での佐藤正雄議員の予算特別委員会での質疑を紹介します。


          「秘密保護法について」         佐藤 正雄 委員


◯佐藤委員  日本共産党の佐藤正雄である。最初に、特定秘密保護法の問題について質問する。
 ことしの7月には、憲法9条の解釈変更で集団的自衛権の行使が容認されたが、それに先立って、昨年12月──ちょうど1年くらいたつが、特定秘密保護法が強行採決された。今月10日に施行されることになっているので、この問題について質問したいと思う。
 まず、対象は、福井県の行政機関でいうと警察本部が対象になると思うが、警察本部で適性認定者名簿に登録された職員の方は何名いらっしゃるのか。また、そもそも警察本部が扱う特定秘密があるのかどうか。あるとすれば、その種類と件数をまず尋ねる。


◯警察本部長  特定秘密保護法について、まず、適性認定者名簿に登録された職員数について答えるが、県警察では、現時点において適性評価を実施していないので、適性認定者名簿に登録された職員はいない。
 次に、県警察が扱う特定秘密の有無、ある場合、その種類と件数についてである。
 特定秘密の指定については、この特定秘密保護法に基づいて警察庁長官が行うこととされている。本県警察に関連する情報が指定された場合には、警察庁から通知、または提供がなされるものと承知しているが、現時点において、警察庁から通知等は受けていない。


◯佐藤委員  それでは尋ねる。警察庁長官が指定を行う、まだ指定されていないので該当は、今のところないということである。あわせて、まだ適性認定者名簿に登録された県警察本部の職員はいないということであるが、登録された職員がいない以上、特定秘密が指定されることはないわけだろうか。


◯警察本部長  この法律では、国の行政機関において適性評価が完了するまでには、法の施行から相当の期間が必要となることを踏まえて、特定秘密の取扱業務を、適性評価を受けて漏えいするおそれがないと認められた者に限るとする法第11条の規定がある。この規定の適用については、法の公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日までおくらせているところであり、現時点では、適性評価を受けていなくても取り扱うことができるということになる。


◯佐藤委員  ほかの省庁では、実際にそういう登録が始まっている。報道によると、携帯電話の通話記録なども提出を求められたら提出するという誓約書を職員に求めているということであるが、警察としても同様であるか。


◯警察本部長  県警察において、携帯電話の通話記録等の提出があるのかという質問である。
 県警察では、政府が定めた特定秘密の指定及びその解釈並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準、いわゆる運用基準と申しているが、この運用基準に基づいて適性評価を行うこととしている。
 しかし、この運用基準においては、具体的に携帯電話の通話記録の提出を求める誓約書を徴するということは定められていないので、県警察においてこれを徴することは考えていない。


◯佐藤委員  そうすると、日本にはいろいろな公務員の組織があるが、それぞれの組織によって運用が異なるという理解でよろしいか。


◯警察本部長  国のほかの行政機関がどうされているか承知していないが、県警察は、この基準に基づいてやっていくということである。


◯佐藤委員  それでは、これは将来の話になるが、警察本部が得た特定秘密が、仮に福井の県土と県民の安全にとって重大な問題を引き起こしかねないと、そういうときはどうされるのかということである。
 福井県知事を初め、県の部長、いわゆる県庁職員は、特定秘密を扱う職員になっていない。そういうことになると、情報はどのように伝達されることになるのか。


◯警察本部長  県等にどのように情報が伝達されるかという話である。
 佐藤委員が指摘の情報がいかなるものかは定かではないが、例えば、県内においてテロが発生したときに、知事が行う避難措置のため必要があるといった場合には、県警察から警察庁に対して、その旨を報告して、当該特定秘密の指定を解除していただいた上で、知事や当該情報に基づき必要となる措置に応じた関係部局との情報の共有を図ることが考えられると承知している。


◯佐藤委員  知事に尋ねる。いずれも本会議の質問で尋ねたことであるが、今、県警察本部長の答弁にあったように、指定解除した上で、知事というか、知事部局、県庁に情報がもたらされると、こういう仕組みになっているわけである。だから、一定のタイムラグが生じるということであるが、これは知事が日ごろから言っている危機管理の原則に照らすと、ちょっとおかしいと思わないか。


◯知  事  情報がそういう性質のものであれば、そういう扱いで危機管理は行いたいと思う。


◯佐藤委員  特定秘密保護法が成立したときには、そもそも何が秘密か、それが国民とかマスコミには知らされない。それが今後不用意に漏らした公務員は懲役刑、それを不用意に漏らそうと働きかけたマスコミなり、政治家なりはまた懲役刑ということで、重罰が科されている法律である。
 非常に問題があると思っている。今月10日から施行されてまだ日が浅いということで、福井県警察本部では十分体制が整っていないということであるが、こういう法律の廃止を求めて、日本共産党はこれからも頑張っていきたいと思っている。

        「福祉行政について」


◯佐藤委員  次の質問に入る。次に、福祉行政について尋ねる。
 日本共産党の小池晃参議院議員が、先月18日の参議院の厚生労働委員会で質問に立った。そのときに、安倍政権が公表を見送った医療保険制度の見直し案に数々の国民負担増の計画が盛り込まれている問題で、「老いも若きも負担増の計画だ。国民に隠したまま選挙をするつもりなのか」ということを追求したのである。それに対して、厚生労働大臣は、「閣議決定でも道筋がついている。粛々とやっていく」と述べて、負担増を強行する考えだということを認めた。
 見直し案に盛り込まれている内容は、後期高齢者医療の保険料、この特例軽減を中止する。8.5割減額の人の保険料が2倍になる。9割減額の人が3倍になる。健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移された人は5倍から10倍以上にもなると報道されている。
 そこで尋ねるが、福井県の後期高齢者医療制度の中で、特例軽減中止により保険料増額となる対象人数は、8.5割減額、9割減額、健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移された人、それぞれ何人になるのか。
 また、それぞれの平均の保険料額と、増額となった場合、どの程度保険料が値上げになるのかということをまず尋ねる。


◯健康福祉部長  平成26年10月現在であるが、特例軽減の対象者のうち、まず8.5割軽減の人が2万112名、それから9割軽減の人が1万4,481名、健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った方が1万8,601名となっている。
 また、現在の平均保険料であるが、9割軽減の人と健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った人は今、月額360円。それから、8.5割軽減の人については月額540円となっている。
 福井県後期高齢者医療広域連合の試算では、もし特例軽減が廃止された場合の平均保険料であるが、9割軽減、8.5割軽減が7割軽減となって、月額1,090円になる。健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った人については、平均で月額2,400円になるという試算をしている。


◯佐藤委員  このように大幅に保険料がアップするのである。これは年金から天引きされていくわけである。だから今、年金が知ってのとおり、昨年、ことし、来年と下がり続けて、さらに、それ以降もマクロ経済スライドが導入されるということであるから、ずっと物価上昇に年金支給額が追いつかず、実質的に下がり続けることになっていくわけである。そういう中で、このような負担増が行われていくのは非常に問題だと思う。
 知事に尋ねるが、今申し上げたように、年金は下がっていく。消費税は上がっていく。「消費税増税は社会保障のためである」と言ってはいるが、実態としては、社会保障制度そのものの負担も重くなっているという状況があるわけである。このような高齢者いじめの政策中止を求めるべきではないか。


◯健康福祉部長  後期高齢者医療の保険料であるが、低所得者に対して、収入に応じて7割、5割、2割という軽減、健康保険の被扶養者から移った方については、激変緩和ということで、当分の間5割を軽減するということも、既に法律で定められているわけである。
 制度導入当時、これまで負担のなかった健康保険の被扶養者の方に新たに負担が生じるといったことや、75歳以上を他の保険制度から切り離し、制度の導入を円滑に進めるということから、その特例として軽減措置が拡大されているということである。
 特例については、国民健康保険の保険料負担との不均衡──年金収入80万円以下の方が国民健康保険であると2,650円であるが、後期高齢者医療になると360円といったようなこと、また、健康保険の被扶養者から移った人とそうでない人との保険料負担の不均衡といった問題もあって、本来の法律上の制度に段階的に戻すことについて、国のほうで検討しているということである。
 この制度の見直しについては、現在、社会保障審議会の医療保険部会で議論されているということであって、県としては、この議論の推移を見守っていきたいと考えている。


◯佐藤委員  部長に実務的な話を聞いているのではない。知事に尋ねているのである。年金は毎年下がっていく。後期高齢者医療の保険料は年金から天引きされるのである。だから、年金は下がっていく。その中から額がふえて、さらに天引きされているわけであるから、実質使える可処分所得がぐんぐん減っていくわけである。こういうことでいいのか、知事としてどう思うのかということを尋ねている。


◯知  事  この制度の見直しについては、もちろん高齢者の負担の問題もあるし、国民全体としてこれを若い方、いろんな方が支えている問題があるので、現在、社会保障審議会の医療保険部会において議論されているところである。
 県としては、全国知事会としてもそうであるが、この議論の推移を見守りたいという状況である。


◯佐藤委員  どんどん急激に、何もかも負担がふえてくる。収入は減っているわけである。やはり、政府に対し、こういうやり方は見直すべきだということを、福井県知事として知事会の場で要望される考えはあるか。


◯知  事  これは、それぞれ知事会としての委員会があって、そうしたところで実務的な議論をし、全体に知事会としての議論をするわけである。
 今申し上げたように、国民全体としての負担の議論があり、そのサービス水準をそれぞれ若い方、あるいは年配の方はどうするかというのがあるので、この問題については、そういう状況で今対応しているということである。


◯佐藤委員  これだけではないのである。次に、医療の問題で尋ねる。
 厚生労働省の調査では、2004年度と2012年度との比較で、入院期間が15.01日から13.43日へ短縮されている、治癒率は8.72%から4.3%と半分になっているという調査結果が出されている。
 そこで、福井県のデータを尋ねるが、同じ期間の入院期間及び治癒率の福井県内のデータ並びに県立病院のデータを尋ねる。


◯健康福祉部長  今の佐藤委員が示されたデータについては、平成15年に大学病院等から順次、急性期の病院に導入されている包括医療費の支払い制度、いわゆるDPCを評価するために国が行っている調査のデータである。
 平成16年度、県内の導入病院が福井大学病院だけだったという状況で、そのときは在院日数として20.82日、治癒率は公表されていない。平成24年度は、県内の対象病院は11病院あるが、在院日数では14.5日、退院時の治癒率は単純平均で2.5%という状況になっている。
 それから、県立病院であるが、県立病院がDPCを本格的に導入した平成22年度の在院日数が15.17日、治癒率が0.3%であった。平成24年度では、在院日数が13.82日、治癒率が0.1%ということになっている。
 ただ、通常、入院の必要がなくなっても、通院とか服薬を続ける方がたくさんいらっしゃるので、こういった方は「治癒」という項目じゃなくて「軽快」に区分されるということで、両方足すと、平成22年度では84.8%、平成24年度では90.6%と増加している状況である。


◯佐藤委員  データの取り方がいろいろあるが、少なくとも今の部長の答弁でも明らかになっているのは、全国的なデータで入院期間が13.43日に短縮されているということで、福井県内の病院では14.5日、県立病院では13.82日だということである。全国的なデータでは、治癒率は4.3%へと大きく減っているけれども、福井県内の全病院では2.5%、県立病院では0.1%の治癒率だということで、福井県のほうがある意味では悪いわけである。
 だから、治っていないのに退院させられてしまうという問題があるわけである。私どもがいろいろ回っていても、「とにかくお年寄りは早く出ていってください」と、平たく言えば、病院の診療点数が減っていくので、だから、もう病院にとっては「お金にならないから、お年寄りは早く退院していただきたい」ということで追い出されるという話を幾つも聞いているわけである。
 福井県内の病院、県立病院がこんなに冷たいようではだめじゃないか。これはどうなっているのか。


◯健康福祉部長  この調査のいろいろなデータについては、国の中央社会保険医療協議会のほうでも評価を行っている。
 それでは、入院期間の短縮の問題であるが、これは各病院の努力もあるし、医療技術の進歩で体に負担の少ない内視鏡、あるいは血管治療手術の増加もある。また、早期のリハビリによる機能回復、あるいはがんの化学療法なんかも、入院から通院でもできるようになっているといった原因もあるということで、これは県内でも同じような状況があろうかと思う。
 また、治癒率の低下については、高齢者の患者の方が多くなってくると、入院目的は入院の疾患について治療するのであるが、既往症である糖尿病等、そういった基礎疾患は退院後も引き続き通院で診てもらうといったような状況もある。それは先ほども申したが、「軽快」という区分──治さないでほったらかして出したということではなくて、一応、入院するような治療は終えて、通院につなげているといったようなことも、両方をまとめて評価すべきであろうということが国のほうの分析に出ている。これは、県としてもそのように考えているところである。


◯佐藤委員  患者と家族の気持ちは全くそんなことではない。ちなみに、国はどういっているかというと、「医療・介護に係る長期推計」というのを政府が出している。ここでは、さらに入院期間──1ベッド当たりの平均在院日数を2割から3割短縮しようと、こういう推計を出しているわけである。
 こういうのはさらに悪くする。悪くするというのは、高齢者患者、高齢者じゃなくても患者に対して、「もう手術が終わったらすぐ退院してください」、「治っていなくても、もう退院してください」ということで、どんどん退院させていく。ベッド数を根本的には削減して医療費を抑制しようということにつながっていくから、これは大問題だと思っているが、今の健康福祉部長の答弁だと、これは問題だと思っていないわけである。
 問題だと思っていないとすると、今、国が長期推計で出しているあと二、三割平均在院日数を短縮しようじゃないかという方針も、福井県内の医療機関、県立病院を含めてやられるつもりか。


◯健康福祉部長  入院期間の短縮は、治さないうちに出すというのは本末転倒であるから、問題であるのは当然のことである。それは、入院日数を減らしてでもちゃんと治せるということが一つある。
 もう一つ、2025年、団塊の世代が75歳以上になるということから増加しているわけであるけれども、高血圧、糖尿病といった基礎疾患を持つ患者、回復までには時間のかかる患者が多くなってくる。そういった面で現在、急性期を担う病床が現状は多いのであるが、今後は、そういった急性期を脱して、患者を受け入れる回復期の病床、あるいは、在宅のままで身近な地域でリハビリを受けられるといった体制、こういった確保も重要である。医療と介護の連携による地域包括ケア体制を整備するといったようなことで県としては進めているところである。


◯佐藤委員  これ以上、そういう在院日数の短縮に粛々と乗っていくことは、大きな矛盾を来すと思う。現場は何と言っているかというと、医療現場は、「医療度の高い方を在宅へ追い出すということになるとどうなるか」と言うと、「例えば、点滴とか、吸たんなどが必要な患者がいる」と言う。では、「在宅患者をフォローできるか」と言うと、「患者がどんどん在宅に行って、そこをフォローできる看護師さんがそんなにいるわけではない」と言っている。
 急増しているサービスつきの高齢者住宅といっても、月12万円から13万円かかる。国民年金とか、収入の低いお年寄りは、そういう施設にとても入れない。在宅に行っても、若い人が仕事をやめて面倒を見るか。そういうような介護離職とかにもつながっていくわけである。こういうことをどんどん強行していけば。
 だから、実際に医療度の高い患者さんを在宅へどんどん追い出していくというのは、今、医療現場の声でも紹介したように、地域の実際のそういう体制が整ってないわけであるから、そういう中でどんどん進めるというのは、やはり問題ではないか。


◯健康福祉部長  DPC病院、高度な急性期を担う病院ということで、それ以外に回復病棟を持つ地域の病院がある。そういった面では役割分担というか、まず、急性期でどうしても早く治さないといけない部分は治して、その後、回復については地域の近くの病院の回復病棟で治癒していただく、または、外来でやっていただくという形の連携が重要だと考えている。
 例えば、在宅で医療度の高い方を追いやるというような発想にならないように、我々としては、在宅でのそういった医療を受ける方についても、訪問看護、介護といった在宅ケアのサービスを充実した上で、そういったふうに持っていく必要があるだろうと考えている。


◯佐藤委員  充実しないうちには、そういうことはしないでいただきたいと思う。
 介護保険も重大な問題である。要介護認定者数3万9,200人のうち、要支援者が8,700人である。数字があれであるが、ざっと22%。こういう方々が今、介護予防支援、居宅介護支援、通所サービス、訪問サービス等々を利用されているわけである。これらの方々が介護保険から外されていくということは大問題だと思う。介護保険料は、年金から天引きされるわけである。さっきは、後期高齢者医療の保険料が年金から天引きされるという話をしたが、介護保険料も年金から天引きなのである。だけど、サービスは受けることができなくなるというのでは大問題だと思う。
 そもそも利用状況を見ても明らかなように、要支援者の多くが、関節の機能障害と痛み、心臓疾患などの疾病を抱えて、すれすれの生活を送っているわけである。ホームヘルパーさんの支えで生活の維持、改善がなされているわけである。これらの専門的なサービスを断ち切ることは本当に許されないと思うが、見解を尋ねる。


◯健康福祉部長  先ほどから、今回の見直しも含めて、いろいろな面で見直しの問題を質問していただいているが、基本的に世代間の負担の公平と制度の持続可能性といったことを高めるための社会保障制度改革の一環という側面もあろうかと思う。今回の要支援の問題については、地域の実情に応じて多様な主体の参加をいただいて、効果的かつ効率的な支援を可能にしようといったような側面で実施しようとしているところである。
 現在、要支援の方が8,700人ということで先ほど紹介いただいたが、そのうち、今回、市町の一般事業に移行するものは訪問・通所介護というサービスであって、この利用者については4,800人ということになっている。市町の一般事業に移行しても、例えば、認知症の方、あるいは退院直後の、先ほど紹介のあった医療ニーズの高い方などが利用する身体の介護、そういったものは専門的なサービスが必要であるから、引き続き専門家のサービスを受けられるように、提供されることにしている。
 ただ、掃除とか買い物といった専門性が必要でない、生活支援的なサービスについては、全国一律の基準での運用から地域の実情に応じて、例えば、シルバー人材センターを使うとか、JAのそういったサービス部門を使うとか、多様な主体で提供するといったことになっている。
 県においては、地域でサービス水準に差が出ないように、こういったサービスの担い手の方の育成といったことで、市町を支援していくことを考えている。


◯佐藤委員  結局、専門的サービスが受けられなくなる可能性があるということである。ボランティアであるとか、いろいろ国は言っているが、ボランティアでやる内容と、やはり、そういう専門的な教育訓練を受けたヘルパーさんがサービスするのとは、全く質が違うわけである。ここは、ボランティアのサービスが続くからいいじゃないかということにならないことだけは指摘をしておきたいと思う。

        「原子力行政について」


◯佐藤委員  時間がないので、最後の原子力問題で質問する。
 知事は提案理由説明で、原子力技術の維持、継承が危機的状況にあることから、新たな研究炉などの整備について、国や大学、事業者等とともに検討を始めることを決定したと述べた。全国に研究炉はあるわけであるが、福井県に新たな研究炉をつくることは、事実上、未来永劫原発推進を続けるということにもつながっていく危険があるのではないかと思うが、知事の見解を尋ねる。


◯知  事  先般開かれた推進会議では、研究用原子炉の新しい規制基準対応とか老朽化により学生とか研究者の実習の場が失われていて、日本の原子力技術に関する危機感とか、安全技術に関する危機感とか、安全運転への影響が多いという意見が出され、国や大学、事業者とともに検討を始めることを推進会議で決めている。
 研究用原子炉の必要性については、原子力学会や日本学術会議でも議論が行われていることから、これらの動きと連携しながら検討を進めていくこととしており、どこに何をつくるという、そういう議論までいっているわけではもちろんないわけである。その前段階というか、全体の議論を今進め、どうするかということである。
 なお、研究用原子炉は、出力が小さいということ、取り扱う核燃料の量が少ないこと、運転中の水温とか圧力が低いこと、また、崩壊熱除去などに一般の商業炉に比べると余裕のある設計であると、一般に言われている説明である。
 原子力が重要なベースロード電源として位置づけられている中で、人材育成のためにこうした問題をどうするかというのは、これから検討すべき課題になるということである。


◯佐藤委員  再稼働を前提、ベースロード電源として原発を推進していくという立場に立てば、そういうことになってくると思うのであるが、原発から撤退することになれば、そういう新たな研究炉の必要性もなくなるわけである。
 幾ら原子炉が小さいといっても、核燃料が入ることは間違いない。実際に京都大学にあるが、あれだって使用済燃料とかは、アメリカへ返還しないといけないわけである。厳重な国際的な核管理のもとに置かれているわけであるから、それは小さい、大きいの問題ではないと思う。
 それから、再稼働に当たって、一般質問でも聞いたが、住民説明の判断は市町だと知事は言っている。しかし、市町が再稼働を望んでも、知事が「ノー」と言えば再稼働は事実上できないわけである。そういう仕組みではあるわけであるから、県が責任を持って、もっと言えば、知事が責任を持って、きちんと県民、住民に対する説明会というのは主催するべきではないか。


◯知  事  この問題は、原子力発電所の安全、または県民の安全、そして、県民益にかかわることであるので、いろいろな手続とか会議とか、こういう説明等があるが、それぞれその役割に応じて、全体としては安全を確保するのが大事な事柄である。
 そこで、福井県としては、住民へのいろんな説明などは市町がこれまでもふさわしく、その実績も上げておられるから、2年前の大飯3、4号機の再稼働でもそうであったが、そのような対応を行うのが一般的であろうということを申し上げたわけである。


◯佐藤委員  知事は一般的と言われたが、一般的でなくて、新規制基準のもとで福井県では初めて再稼働に臨むという局面になってくるわけであるから、県民に対して、しっかりと責任を持って知事が説明するべきではないか。


◯安全環境部長  これまでも答弁しているとおり、県の再稼働の判断であるが、専門委員会、あるいは立地市町、そして、何より県議会の意見を聞いて判断していくと考えている。

                              ~以  上~

2014年12月福井県議会一般質問  消費税増税、原発問題、教育、ブラック企業対策

2015年02月18日 | 福井県政
  昨年12月県議会の佐藤正雄県議会議員の一般質問の議事録を紹介します。

◯7番(佐藤正雄君) おはようございます。日本共産党の佐藤正雄です。

消費税増税問題

 まず、消費税問題に関して質問します。
 今、解散総選挙では、消費税増税の是非も大きな争点となっております。日本共産党は、10%増税は延期ではなくきっぱり中止を求め、家計と中小企業の経営を守るために頑張ります。低年金・低所得者層への税負担をふやすのではなく、空前の利益を上げ内部留保を285兆円にも膨らませている大企業に応分の負担と、賃上げによる税収増を促すべきであります。
 私は、ことし3月の予算特別委員会で、「県としてもう少し真剣に消費税増税への対応をとらないと大変なことになるのではないかと思う。余り危機感がない感じだが、知事は消費税増税に対する危機感はないのか」とただしました。知事は、「危機感という言葉遣いはともかく、しっかり対応するという決意で臨んでいる」と答弁されました。
 日本全体を見れば、2期連続の経済成長マイナスで消費増税不況になっていることは明瞭です。経済政策に失敗し、国民に追い詰められた安倍総理は、慌てて衆議院を解散し、来年予定の10%増税を1年半延期し、必ず増税するとのことです。しかし、そのときにどうなっているのか。実質の年金支給額は減少を続ける、地方の国家公務員、地方公務員は賃下げ、米価も下がり続けています。経済状況に関係なく増税するという今回の安倍政権の判断は、大きな問題があるのではありませんか。
 安倍総理が明言している2017年春の10%増税実施について、知事としての見解をお尋ねするとともに、きっぱり県民生活防衛、中小企業経営を守るために反対すべきではありませんか、あわせて知事の見解をお尋ねいたします。
 ところで、私が消費税増税での保育園給食や学校給食への影響について、状況を理事者に事前にお尋ねしたところ、そのような資料はない、つまり、調査していないという御回答でありました。今、子育て支援を強調し、少子化対策を強調しているときに、極端な増税のもとでその衣食住の環境がどのように変わりつつあるのかをリサーチしていくことは、行政の仕事の初歩ではありませんか。口先で人口減少対策を唱えるのではなく、必要な調査を行い、対策を講じて、少なくとも今の現況よりは悪くならないような手だてを市町とともに講じていくのが県の仕事ではありませんか。
 例えば、学校給食費でいえば、福井市では消費税増税とともに引き上げております。お隣の永平寺町では無料化して応援しております。県内でも格差がどんどん広がる、こういう問題を県が放置していていいのかということです。また、保育園給食でも、消費税増税だが、役所として予算額をふやせないので、結果的に給食の質、量を下げて対応していると、こういうお話も聞きました。
 そこで、県として、一番栄養摂取が必要な保育園、学校の給食が消費税増税でどのような影響が出ているのか調査・対応をすべきではありませんか、見解をお尋ねします。
 消費税増税を子供の給食に転嫁していくのは子育て支援に逆行です。例えば、県として、消費税増税対応として、学校給食、保育園給食への独自の支援を行って、子育て世帯への負担や影響を緩和する施策をとられたらいかがですか、知事の見解をお尋ねいたします。

原発問題

 次に、原発問題について質問します。
 知事は、提案理由での知事選出馬表明の中で、一番最初に「この原子力・エネルギー問題については、将来に向けた確かな展望を描くため、立地地域の知事として努力している」と述べました。政策課題のトップに原発推進を掲げたことは、常に県民本位の姿勢とはいえません。提案理由説明では、「福島事故を教訓にした事故制圧体制などについて、国が責任ある方針を示すことが重要」、「2年前の大飯3・4号機の再稼働や、今回の川内発電所の経緯を踏まえ、県民に信頼される決定をしていく」と、早くも事実上の再稼働容認宣言を行いました。これは、4年近くたっても何ら事故収束のめどが立たない福島原発事故の対応が示しているように、原発は事故が起きたら手がつけられない欠陥商品であることに目を閉ざしたものです。また、今でも12万5,000人という大変な人数が地域を追われ、いわばこの先どうなるか見通しが立たない地獄のような生活を強いられていることを無視するものです。知事、あなたの目には、福島事故の今に続く悲惨な状況がどのように見えているのでしょうか。
 そこで、お尋ねします。知事選出馬表明で、多数の国民、県民が反対し、懸念を抱いている原発再稼働への決意をトップに位置づけたことは、国民・県民世論への挑戦ではありませんか。そもそも3.11後の民主党政権時の大飯原発再稼働は、住民の避難計画も整備されておらず、ハード対策も不十分なままで見切り発車されたものです。仮に、福島事故と同様の事故が起これば、住民避難などは到底できなかったのです。今回の川内発電所の経緯にしても、火山対策の不備など、重大な懸念を残したまま再稼働が強行されようとしており、強い反対があります。このようなものを根拠として、県民に信頼される決定などできないではありませんか、知事の見解をお尋ねいたします。
 また、関西電力を初め、電力事業者が進めている事故制圧体制にも重大な懸念が生じています。専門家からも福島原発事故の注水作業について、「海水注入が行われたことで、ジルコニウム水反応が起きて、炉心温度が一気に上昇し、溶融・崩壊が起きた。そうだとすると、水素爆発まで起きる可能性を考えても注水したほうがよいのか。注水しないで放置しておいて、何か収束の見通しが開けるのか、対応の選択について大きな矛盾に立たされることになる」との指摘であります。決定的な事故収束の手段がないのではないかということが専門家からも指摘され始めたことは、福井県や電力事業者の事故制圧システムの根本の矛盾です。このような欠陥原発の再稼働は容認すべきではありません。知事の見解をお尋ねいたします。
 ノーベル文学賞作家の大江健三郎さんは、11月29日、東京都内で行われた作家の池澤夏樹さんとの公開対談後に記者会見し、原発再稼働に向けた与党の動きについて、「3.11直後は完全に方向を改めるのが日本中の声だった。私たちの危機感が無視されている。それは、日本人を侮辱することだ」と批判し、池澤さんは、「日本の政治には反知性主義の流れがある」と指摘されたそうです。重く受けとめようではありませんか。

教育問題

 次に、教育問題について質問します。
 安倍政権の国民いじめは、教育分野にも及ぼうとしております。財務省が現在行われている公立小学校1年生の35人学級を40人学級に戻すよう文部科学省に求める方針を、財務省の諮問機関である財政制度等審議会に示しました。
 35人学級は、広範な教育関係者と国民の長年の運動によって実現したものです。子供たちへの行き届いた教育を進めるためには、35人学級を全学年に引き下げ、1クラスの少人数化をさらに進めるべきではありませんか。40人学級に引き戻すことは絶対に許されない逆行であります。現場の先生にお聞きしますと、「今の過酷な状況で40人では大変だ。テストの丸つけが40人と30人ではすごく違う。40人だと丸をつけるだけで子供に声かけができない。学びの土壌をつくってやって子供に残していきたい、それが小学校教師のやるべきことだと思います」と語っております。ある高校教師の方は、「うちの学校では理系への希望が多く、42人授業があります。狭い教室では子供も情緒不安定になります」と語っております。
 そこでお尋ねします。知事にこの財務省の方針についての見解をお尋ねするとともに、この間の福井県が率先して取り組んできた少人数学級編制の到達状況と評価、今後の県としての方針についてお尋ねします。
 ところで、11月1日に、福井市の小学校教員、進学校の高校教員、福井大学教授らをパネリストに、「市民シンポジウム、福井の教育現場で何が起こっているのか」が開催されました。小学校教員の方は、「6年生の4月に全国学力テストがあった。その前の5年生の1月に県のプレテストがあった。さらにその前に過去の問題やプリントなどをやることになる。教員も学校の足を引っ張っていないかと、順位と点数にきゅうきゅうとしている。教材研究ではなくマニュアル指導となっている」と発言をされておりました。高校教員の方は、「学校はここ1、2年雰囲気が悪くなった。思ったことも言うことができない。職場はネットカフェのような感じだ。それぞれがパソコンに向き合い仕事をしている。学力も伸びていない。教員がロボットのように教えて生徒が楽しいのだろうか」と現場の状況を語っております。私は福井県の教員の方々が心身ともにすり減らされている状況について、今のまま続けていけば、先生方と子供たちに教育の深層崩壊が起こりかねないと思います。
 そのことを一層痛感したのは、福井県の教員OBの方の文章に触れたからです。この方は、60年ほど前に自分を教えてくれた教師のお通夜にお参りしたということで文章を書かれております。こういう文章です──今の学校からは「あそび」という心の余裕が失われつつあります。学力テスト日本一はいいことのように考えられていますが、その陰ではテスト、テストで教師の心の余裕が失われています。多くの教師が子供たちと遊びたいと考えているわけですが、「学力競争、効率主義、数値目標」のために、その余裕が奪われているのです。これからは、子供たちが50年たっても一目お会いしたいと慕い続けられるような先生は少なくなるのではないでしょうか。「テスト学力」は高くなるかもしれませんが、全く不幸なことです。教育改革により政治家が教育に口出しできることとなり、本県でも知事が学力日本一を公約のようにして人気を得ておりますが、その陰では教師が疲弊して、子供たちが学力テスト漬けになっていると言われております。教師から心の余裕を奪い、疲弊してしまう教育現場は何か狂っていると思います。──と、このように書いておられます。
 その象徴が、小学国語の全国学力テストでした。福井県の学力テスト、国語Aの平均点が9位に下がった。どの科目も3位以内が定番だっただけに、「どうやって故事成語などの力をつけるか」といった研究討議が行われたといいます。学力より点数至上主義で現場が翻弄されております。教育長も答弁されておりますが、なぜ点数が下がったかといえば、「故事成語の理解と使用などに課題がある」ということです。確かに、故事成語の問題の福井県の順位は29位でした。しかし、これは使用している教科書の違いに起因しています。福井県などこの問題の正答率が低い地域は、光村図書の教科書を使っていますが、この教科書では故事成語を「附録」扱いにしています。一方、高い得点を得た地域で使用されている東京書籍は、本文で故事成語を教えることになっていたの違いであります。ですから、教員や生徒は教科書を真面目にやった結果がそれぞれ出ているのです。このような違いで右往左往しなければならない事実が学力テストによる評価の限界を示しているのではないでしょうか。全国テスト、県のプレテスト、過去問題の演習、算数WEBシステムなどなどが教育現場で教員と子供たちに強制されて、まさに窒息する教育ではありませんか。このような心の通わない画一的な、機械的な教育を続ければ、教える側も教えられる側も行き詰まることは避けられません。県は教師に対して、先生方も県の職員なのだから、県の指示に従うのは当然だと指導を強めているとお聞きします。現場の教員が教材研究などの創意工夫と子供たちとの人間としての触れ合いができなくなるような教員に対する画一的な詰め込み教育は改めるべきではありませんか、見解をお尋ねいたします。

ブラック企業問題

 次に、ブラック企業問題でお尋ねします。
 昨年の参議院議員選挙で日本共産党が躍進したことは、政治を動かす大きな力となっております。日本共産党は、参議院で得た議案提案権を行使して、ブラック企業規制法案を提出いたしました。これは、違法行為へのペナルティーの強化や、長時間労働の制限など規制強化と離職率の公表などの情報公開で、社会的な批判と抑止力をつくるという、二つの方向でブラック企業を規制する内容です。このことが、厚生労働省を動かして、実態調査や離職率の公表、求人票の虚偽記載に対する監督・指導などを行わせたところであります。
 さて、4年前、福井市の会社に勤めていた当時19歳の男性が自殺したのは、いわゆるパワハラが原因だとして、遺族が会社側に損害賠償を求めた裁判で、11月28日、福井地方裁判所は、遺族側の訴えを認め、会社側に7,200万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。判決を受けて男性の父親は次のようなメッセージを出しました。一部を紹介します──人の命にかかわる消防・防災を取り扱う会社、しかしながら、勤めている社員になぜ死人が出るのか。会社の代表者や当事者は全く謝りません。ブラック企業の経営者や当事者は、社会通念の当たり前のことさえできない。息子が亡くなったという事実は息子の本意ではなかった。だから、人殺しされたに等しいのです。企業でのパワハラ、つまりいじめを改めようとしないブラック企業には、何ら制裁はないものなのでしょうか。企業が改めないなら司法や行政、さらに、皆様のお力が必要です。──こういうメッセージであります。
 お父さんのメッセージにもありますように、今、県行政の力が必要なのです。この事件は、昨年の9月議会でも私が質問して福井県の対応をただした経緯があります。その際私は、福井県として本当にブラック企業を根絶していくために、若者を死に追いやるような会社はだめだと。何かのペナルティーをかけなければ会社は何も怖くない。こういう事故を起こしても、合同就職の面接会では堂々と営業できる。県が関係しているホームページ、就職ナビでも堂々と紹介してもらえるというのであれば、全然何の影響もないではないかとただしました。理事者は、状況の把握については十分努めたいと答弁しました。
 そこでお尋ねします。この間、福井県として、ブラック企業対策にどのように取り組み、どのような成果を上げてきたのか答弁願います。
 また、今回の福井地裁判決で、その会社責任が明瞭となった暁産業は、公共関係の受注もある会社ですが、県としてはどのような対応をしてきたのか、また、今後はどのような対応で臨むのか、お尋ねをします。
 次に、職員給与の問題で質問します。今議会に提案されている給料表の引き下げについてお尋ねします。
 これは、決算認定での反対討論でも申し上げた、安倍政権による昨年度の地方交付税の強権的削減による給与削減に続く公務員賃下げであります。アベノミクスで賃金上昇などというのは空虚な宣伝です。国と地方で大規模な賃下げを競わせるような今回の手法は断じて許されません。しかも、西川知事は、東京集中を批判しながら、なぜ東京の給与はどんどん上がり、地方の給与はどんどん下がる政策を忠実に実行するのか。これではますます福井に人材が集まらなくなるではありませんか。口で言っていることと打ち出す政策が逆ではありませんか、知事の見解をお尋ねします。
 以前も議会で質問しましたが、土木専門職の福井県庁職員への応募が低調なのは、給与待遇も含めて魅力が薄くなってきているからではないでしょうか。これから一層災害対策の強化、老朽化した構造物の更新やメンテなど土木分野でも新しいチャレンジと工夫が必要な時代に地方自治体も入ってきました。東京集中を批判するなら、給与待遇の面でも東京に負けない思い切った人材確保策を打ち出すべきです。今のような人事給与政策ではじり貧県庁となり、優秀な人材は福井県庁に来なくなります。それでいいのでしょうか。結局、どんどん職員を削減する。目きき、腕ききの専門職員が少なくなり、民間丸投げで税金を流していくだけの県庁になり下がっていくようでは、公務労働の真価が問われるわけであります。
 さらに、8時以降の残業についての企画幹への報告制度があるとお聞きしましたが、この制度の内容と意図するところをお尋ねします。こういう手法については、何のために現場の課長がいるのかと、こういう批判があります。現場の責任者を信頼しないかのような県庁づくりは、責任感意識の低下となり、トータルでは県民の利益に反する事態を生み出しかねません。また、残業を減らす、これは当然です。しかし、仕事の総量を減らさず、職員をふやしもせずに、逆にこのようなシステムでは、8時以降はサービス残業、持ち帰り残業を拡大する懸念材料になるではありませんか。ブラック県庁と呼ばれることがないように強く求めて質問を終わります。

◯議長(田村康夫君) 知事西川君。
    〔知事西川一誠君登壇〕

◯知事(西川一誠君) 佐藤議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、消費税についてであります。
 安倍総理が明言をされた2017年春の消費税10%の実施についての所見、また、県民生活や中小企業の経営を守るためにこれに対して対応すべきではないかとの御質問であります。
 消費税率10%への引き上げについては、平成29年4月までに景気を確実に好転させた上で実施することとしており、財政再建などを総合的に勘案して判断されたものと考えておりますが、安定的な社会保障財源の確保や厳しい日本の財政状況を踏まえ、全国知事会においても税率10%への引き上げが必要として、国に歳入・歳出両面での要望や要請をしているところであります。
 いわゆるアベノミクスの経済効果は、大企業・大都市中心にとどまっており、地方まで及んでおらず、福井県においては、駆け込み需要の反動減が一部残っていることや、円安の影響による原材料費や物価の上昇等で、中小企業、また県民生活はまだ厳しい状況にあります。このため、国において、企業の業績改善が賃金の上昇、さらには消費や投資の拡大につながる景気の好循環を実現することが重要であり、特に、地方がよくなるための対策を早急に講じ、県民生活や地方経済を好転させていかなければならないと考えます。
 次に、原子力行政についてであります。
 提案理由の中で、エネルギー・原子力問題を最初に掲げていることは県民本位の姿勢ではないのではないかという御質問であります。
 提案理由では、新しいふるさと構想を引き続きしっかり進めてまいるということを、冒頭申し上げているところであります。同時に、県民の安全、安心をあらゆる災害や危機から守ることは、県政を預かる者として最優先に考えて対応すべき事がらであることを述べているのでありまして、ちょっと誤解をしていただいているような感じがありますので申し述べたいと思います。
 このため、多くの原子力発電所が立地する本県において、安全を確保することは何よりも重要であることから、さきの提案理由においては、こうした私の考え方を述べたところであり、御質問のように、原子力発電所を単に推進するという立場で申し上げているものではございません。2年前の大飯3・4号機再稼働のさまざまな経緯や、今回の鹿児島県川内発電所における議論の手続は、今後の再稼働の判断の根拠にするということではなくて、県として対応するに当たって、経緯を参考にすべきものだと申し述べているわけであります。
 県としては、こうした先行例や原子力の重要性等に対する県民理解の促進、福島事故を教訓とした政府や関西電力の危機管理の改善状況を十分点検をし、県議会の御議論や地元高浜町の意見をもとに県民に信頼していただけるような決定を行ってまいりたいと考えます。
 次に、教育行政について申し上げます。
 公立小学校の35人学級を40人学級に戻すという財務省を中心としたところから出ている方針についての所見と、県の少人数学級編制の到達状況の評価と今後の方針をどう考えるかということであります。
 福井県の小学校における1学級当たりの児童数は、標準的には25人程度になっておりますけれども、大人数の学級をなくしきめ細やかな教育ができるよう、平成16年度から独自の少人数学級を進め、来年度では全ての学年でおおむね35人以下の学級編制になります。もっと少ない学級もたくさんあるわけであります。
 財務省にあっては、小学校1年生に平成23年度から、わずか二、三年、少人数学級を導入した結果から、不登校の減少など明確な成果がないというようなそういう判断もしているようでありますが、福井県では10年間にわたり少人数学級を取り入れるとともに、丁寧で熱心な指導を継続することで、小中学校で不登校になる子供も800人から600人に減少するという結果も出ており、また、教員みずからが常に授業改善を重ねることによりまして高い教育水準を維持しております。
 こうした本県の教育成果を示しながら、本来、国の責務であります教員の指導体制を充実する財政措置について強く国に求めていくとともに、引き続き、本県独自の少人数教育を進めてまいりたいと考えます。
 その他については、関係部長から御答弁いたします。

◯議長(田村康夫君) 政策幹森近君。
    〔政策幹森近悦治君登壇〕

◯政策幹(森近悦治君) 私からは、職員給与につきましての御質問にお答えいたします。
 まず、地方の給与が下がる政策を実行すると福井の人材が集まらないのではないかという御質問でございます。
 今回の給与制度の総合的見直しは、給与を平均2%来年度から引き下げるものでございまして、一方で、地域の物価水準を反映した手当を拡充するものでございまして、手当を含めた給与水準は東京では維持されるが地方では下がるといったことになるわけでございます。都市と地方の間で、物価や生活の水準に差が生じないよう東京への一極集中という構造的な問題を見直すことが必要であり、国は、地方の活性化に向け政策をさらに強めるべきというふうに考えております。
 今回の給与条例等での改正でございますが、他の40県──福井を入れますと41県になるわけですが、国に準じて給料を引き下げるといった勧告がなされております。また、国や他の県との均衡を考慮する。また、県民の理解の観点からも人事院勧告を尊重して引き下げを行うこととしたものでございます。引き下げに当たっては、人材確保に影響が生じないよう初任給、それから若年層の給料は引き下げないこととしているほか、直ちに給与が下がらないよう5年間の経過措置を設けているところでございます。
 次に、職員の午後8時以降の残業について、各部の企画幹への報告、その内容といった問いについての御質問でございます。
 超過勤務の縮減につきましては、職員の健康への配慮等の観点から、長時間に及ぶ超過勤務の削減を重点的に進めているところでございまして、ことしは、全体で──4月から11月まででございますけれども、全体で1割の削減、それから午後8時以降の長い超過勤務の人数は、昨年に比べまして約3割減少しているという状況でございます。これまで月2回のライトダウンデーの実施により定時退庁を促すなど、職員の時間に関する管理意識を醸成してきたところでございます。
 また、縮減に当たっては、忙しい時期や業務が職場によっていろいろ違うわけでございまして、所属を超えて部内全体で業務分担の見直しを行うとか、応援体制を他の課から持っていくといったことも進める必要があるということでございまして、こうしたことで、部全体を見る企画幹のほうで部内の職場の情報を把握するため、今年度から午後8時以降に及ぶ超勤については、所属長がその企画幹に報告することとしたものでございます。

◯議長(田村康夫君) 安全環境部長櫻本君。
    〔安全環境部長櫻本 宏君登壇〕

◯安全環境部長(櫻本 宏君) 私からは、原子力行政について1問お答えいたします。
 福島事故の注水作業に関し、決定的な事故収束の手段がないのではないかということが専門家からも指摘され始めたことは、県や電力事業者の事故制圧システムの矛盾であると。このような原発の再稼働は容認すべきではないと考えるがどうかという御質問でございます。
 規制委員会は、福島事故を教訓として、新規制基準において、事業者に対し、格納容器内に発生した水素が爆発することを防止する設備と手順の整備を求めているところでございます。これに対応するため、現在事業者が再稼働を申請しております高浜3・4号機及び大飯3・4号機につきましては、格納容器内の水素を水に戻すための装置を設置するとともに、水素濃度の監視や炉心注入のための手続が定められたところでございます。現在、規制委員会において、これらの装置や手順の有効性について、審査が行われているところでございます。

◯議長(田村康夫君) 健康福祉部長山内君。
    〔健康福祉部長山内和芳君登壇〕

◯健康福祉部長(山内和芳君) 私のほうからは、消費税の増税に関しまして、保育所や学校の給食への影響調査の対応についての所見、それから県独自での支援で子育て世帯の負担緩和策を講じてはどうかという御質問でございます。
 保育所の保育料には給食費も含まれておりまして、全市町とも消費税増税に伴う保育料の値上げは行っておりません。保育所における材料費等の費用増につきましては、各市町において、予算での対応も含め、影響のないように対応していると聞いております。
 一方で、小中学校の学校給食費につきましては、独自の政策により無償化──材料費の一部補助を行っているところもございますが、ほとんどの市町におきまして値上げという形で実施をしております。
 なお、経済的な理由で就学が困難な児童・生徒に対しましては、国の就学支援制度によりまして給食費の助成を行っているところでございます。

◯議長(田村康夫君) 産業労働部長山田君。
    〔産業労働部長山田賢一君登壇〕

◯産業労働部長(山田賢一君) 私からは、県としていわゆるブラック企業対策にどのように取り組み成果を上げたのかについてお答えを申し上げます。
 いわゆるブラック企業、人と場合によってさまざまな定義がございますけれども、一般に働くことができなくなるまで過酷な労働をし、あるいは、パワハラを行って離職に追い込む、いわゆる使い捨てのようなことを組織的、継続的に行う企業を指すことが多いかというふうに認識をしております。
 県におきましては、まず、労働相談窓口、あるいはジョブカフェにおきまして、働く方々から相談を受けます中で、こうしたことに関連した情報を得るような体制をとっております。問題のある事案につきましては、法律上、労働基準法等の権限を有します国、労働局のほうに情報を提供いたしまして、是正などの指導を促すということにしております。
 さらに、啓発によります未然防止というのが、働く人を守る、あるいは経営に影響が出ないようにするという観点から大切でございますので、今年度からは、労務担当者を対象に過重労働防止、あるいはパワハラ防止など適切な労務管理を行うためのセミナーを開催しております。これまでに約100社が参加するなど認識が高まりつつあると考えております。
 県としましては、今後も労働局とも連携しまして、情報収集の充実、意識啓発など労働環境の改善に努めてまいりたいと考えております。

◯議長(田村康夫君) 会計管理者緒方君。
    〔会計管理者緒方正嗣君登壇〕

◯会計管理者(緒方正嗣君) ブラック企業の対応についてでございます。
 福井地裁で責任が認められました企業への県の発注について、どのような対応をしてきたのか。また今後、どのように対応するのかというお尋ねでございます。
 御質問の企業につきましては、消防器具等の販売・点検業を営んでおりまして、県の競争入札参加資格を有しているものでございます。平成25年度において、県は約1,900万円を発注しているところでございます。
 県では、契約の適切な履行を確保するという観点から、指名停止等措置要領を定めまして、物品の品質、数量に関しまして不正、または不誠実な行為を行った場合であるとか、あるいは警察、公正取引委員会等が法令違反を理由にして処分を行った場合等に指名停止等の措置を行うことにしております。
 今回の案件につきましては、この指名停止措置の要件に該当せず、また、他県においても同様の案件で指名停止を行った事例はございません。

◯議長(田村康夫君) 教育長林君。
    〔教育長林 雅則君登壇〕

◯教育長(林 雅則君) 教育行政の中で、現場の教員の教材研究などの創意工夫、そして子供たちとの人間としての触れ合いができなくなるような画一的な詰め込み教育は改めるべきではないかという御指摘でございます。
 まず、本県では、常に教員が主体的に創意工夫しながら授業を改善し、教育を支える風土が長く培われているというふうに認識しております。このことは、客観的に早稲田大学が行いました全国の教育に関する委託調査研究の中でも述べられておりまして、これはことしの9月に地元紙でも紹介がされておりましたが、教育力の高い秋田県と福井県を比較しておりますが、秋田県は、「県教育委員会主導」であることに対して、福井県は、「教員の自主的な教育研究組織が主導している」ということが示されております。
 また、教員がこうした工夫をして教えなければならない教訓というものが、先ほど御紹介いただいたことしの全国学力学習調査の中の故事成語のことだと思います。このことは実は、私どもの調査をことし4月に行いまして、そのことを最初に見つけて今、教育新聞にお伝えしたものが報道されたということでございますが、本県の独自の全国学力学習状況調査の結果分析では、正答率のよしあしではなく、今後の学習指導に生かせる課題の分析を行っておりまして、その中で、今申し上げた教科書の違いによる、例えば「五十歩百歩」などの故事成語の正答率に差が生じていることを指摘いたしまして、これは本意として私どもが伝えたかったのは、教員が使っている教科書をそのまま伝えているだけでは、子供たちが教科書に出ていないことをそのまま知らずに過ごしてしまうおそれがあるということでありまして、こういったことについては、教員が工夫しながら、教科書にないことも教える、こういったことが必要であるということを提案させていただいております。
 今後とも、教員が相互に力を合わせながら丁寧に指導できる、そういった指導環境を保ちながら、個々の子供たちの主体的な学習意欲を育てる、そうした教育を進めてまいりたいと考えております。

◯議長(田村康夫君) 残り時間2分少々です。
 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 知事に1点、原発の問題で、県民理解の促進ということを改めて言われましたが、再稼働問題では、鹿児島では住民説明会、県が主催して事業者等が説明するということをやっていますが、これは、高浜、大飯というのが今、再稼働問題が出てきていますけれども、やはりしかるべき時期にはそういう手続をきちんと踏まえる、要するに、県民理解のためのそういう場を設けるということで、福井県としてもそれを主導するということでいいのかどうか、これは確認です。
 それから、山内健康福祉部長にですが、保育園の給食のことで、予算を含めて影響がないように対応しているという答弁ですが、それは、市役所とか町役場に照会されたのでしょうけれども、私が聞いているのは事実が違うのです。ですから、やはり材料の調達をするところは消費税増税で、結果的にはその予算がふえてこないので材料の質を落としていると、こういうように聞いていますので、これはやはり現場をきちんともう一度調査してください。再度きちんと調査をするということでやってもらわないと今の答弁では納得できないということですので、お二人、答弁をお願いします。

◯議長(田村康夫君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) 原子力発電所の再稼働の問題については、これからさまざまな手続がありますし、これに対して我々県、県議会とのいろんな議論、そして地元のいろんな議論があるわけでありますけれども、主に住民説明については地元の町が基本的に対応すると、このような考えであります。

◯議長(田村康夫君) 健康福祉部長山内君。

◯健康福祉部長(山内和芳君) 保育所の問題につきましては、各市町において、予算での対応をしているところ、また材料の購入について合理化を図るような工夫をするといったようなことで、影響のないように対応しているというふうに市町に対して確認をとっているところです。
 いずれにしましても、消費税の影響が子供さん方の栄養の取得とか、食育の問題など等に影響が出ないように対応して、各市町ごとに対応していただくということが重要であるというふうに考えております。

◯議長(田村康夫君) 佐藤君。

◯7番(佐藤正雄君) 何のために再質問したのかわからん答弁ですね。
 知事、県が専門委員会を開いて妥当性を検証するのでしょう。だから、市町ではなくて県がやるべきでしょう、そうでしょう。県が専門委員会を開いて、再稼働云々にしても妥当性を検証するのだから、県が責任を持ってやるべきです。市町に何で投げるのですか、おかしいでしょう。これが1点。
 それから、山内健康福祉部長、全然答弁が変わっていないじゃないの。要するに、ちゃんと調査をしてくれと。事実が違う情報を得ているわけだからきちんと調査をしてくれといっているのだから、調査すると言ってくださいよ。そうでしょう。

◯議長(田村康夫君) 知事西川君。

◯知事(西川一誠君) ちょっと再質問の御趣旨がよくわかりませんが、それぞれ県、市町の役割がありますし、そして、それを全体として県、県議会で判断をさせていただくということであります。

◯議長(田村康夫君) 健康福祉部長山内君。

◯健康福祉部長(山内和芳君) 市町において確認をした中で、予算での対応、あるいは献立の工夫等、影響のないように対応をしているということを確認しているということでございます。

街頭宣伝、県議選市議選勝利めざす決起集会。ALS協会、小林明子先生の通夜

2015年02月18日 | Weblog
 昨日も市内各地で街頭宣伝、「総選挙でのびたね。原発動かさないようにがんばって」など激励をいただきました。
県議選市議選勝利めざす決起集会が開催され、藤岡党地区委員長が報告、私や西村・鈴木両市議が決意表明をおこないました。

 亡くなられた県立大学の小林明子教授のお通夜にお参り、最後のお別れをしました。
夜に、笠松県議死去の連絡が。驚きました。苛烈な選挙戦準備の過労がたたったのかもしれません。県の土木部長などを歴任され、いろんな場面で率直な意見交換ができた方でした。ご冥福をお祈りします。

  今日から今期最後の県議会の開会です。
原発再稼働、新幹線問題の報道が相次いでいます。しっかり見極め、議論していきましょう。

■NHK・・・高浜原発再稼働に向け政府説明

  関西電力高浜原子力発電所3・4号機が、原子力規制委員会の審査に合格したことをうけて、資源エネルギー庁の幹部が福井県庁を訪れ、政府として高浜原発の再稼働を進めていく考えを示しました。
宮沢経済産業大臣は、17日の閣議のあとの会見で、16日、福井県の西川知事と高浜町の野瀬町長に再稼働を進めるという政府の方針を電話で伝え、理解を求めたことを明らかにしました。
これを受けて資源エネルギー庁の高橋泰三次長は午後、福井県庁を訪れ、杉本副知事と会談し「大臣から知事に直接伝えた通り、政府としてはエネルギー基本計画に基づき、高浜3・4号機の再稼働を進めて行きたいと考えている」と伝えました。
そのうえで高橋次長は「原子力発電の重要性や再稼働の必要性について、国民の理解を得られるよう取り組んでいくとともに

、地域防災計画の充実に向けた支援などを進め、政府として、責任を持って対処していきたい」と述べ、再稼働に向けて理解を求めました。
これに対して、杉本副知事は「原発再稼働についての国民の理解は、まだ進んでいない状況なので、政府のしっかりとした覚悟を国民に向かって発していただきたい」と注文をつけました。
そのうえで杉本副知事は、原発の運転に伴って出る使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設を県外に立地することや、再生可能エネルギーや原子力など電源の組み合わせ方を定めるエネルギーミックスなどの方針を政府が示すよう要請しました。

02月17日 19時43分




■福井・・・・ 北陸新幹線工期短縮で2百億浮く? 金沢―敦賀の福井県負担額見通し

(2015年2月17日午前7時10分)

  西川一誠・福井県知事は16日、北陸新幹線金沢―敦賀の工期を3年短縮する新たなスキームによって、総工費に対する県の実質負担額が約800億円から約600億円に減るとの見通しを示した。また金沢―敦賀の2015年度の建設費220億円(事業費ベース)に占める県内区間分は本年度比約16億円増の124億3千万円で、うち県負担分41億4300万円を県当初予算案に計上するとした。

 県は金沢―敦賀の総事業費約1兆1600億円のうち、県内事業費を約7800億円と試算。JR各社が支払う施設使用料(貸付料)を担保にした借り入れなどを充てて残りを国3分の2、沿線自治体3分の1の割合で負担する仕組みで、当初のスキームで県負担分は1800億円だった。工期を3年短縮する新スキームでは貸付料などが約1600億円増え、県の負担総額は約1300億円に減った。

 県負担分の約9割は県債でまかなうが、償還金の約6割は後に地方交付税で補てんされるため、当初スキームで約800億円だった県の実質負担額は、新スキームでは約600億円に減る。県新幹線建設推進課は「県負担の200億円減は、工期3年短縮に伴う非常に大きな成果」としている。

 新スキームによって県内事業費に占める県負担額は約10%から約8%に下がる。

 15年度の県事業費は、新北陸トンネルや九頭竜川橋りょうの建設費、本格化する用地取得の費用などに充てる。