政府交渉第二回詳報は厚生労働省。ここは、市会議員、町会議員のみなさんから地元要望事項が殺到する官庁です。しかし、どんなに項目が多くてもわたしたちに与えられた時間は50分。50分のなかで、なにを重点的に要求し、やりとりし、実を得るか。いつも頭を悩ませます。
泣きながら削ります。さっそく某市会議員から「なぜ、わたしのだした項目で交渉してくれないの」とお怒り。どうもすみません・・・。こういう時は双方が涙、なのです。
先に紹介したように、雇用促進住宅や障害者福祉関係では前向きの回答もありました。何回も官僚とやりとりしていると、心が通いあう気持ちになる場面が時にはきます。県議時代にも、県庁職員との間でこういうことがありましたが。
障害者自立支援法関係では
●「事務員」の区分がなく、事務員の経費がでない問題があります。事業所での会計事務は以前と比べると倍以上に事務量は増えています。きちんと経費をみること。・・・・国側は「今回、事務処理安定化支援事業をつくり支援することとした。今後とも、なにができるか検討していきたい」との回答がありました。
●自立支援法の知的障害者と身体障害者を同じ基準での障害程度区分認定は実態を反映しません。・・・・「今後、抜本的に見直しをすすめていきたい」と回答がありました。
●このほか、福祉施設の耐震改修について、「耐震改修・補強等が必要となった施設に対する助成制度など国としても対応をバックアップすること。」・・・・「耐震化等臨時特例交付金をつくった。ランクをD,Eにしぼるなど厳しい基準は考えていない」との回答がありました。
●就労移行支援事業の2年間の限定期間を撤回し、実態合うように改善すること・・・「必要性が認められれば、1年延長が可能となっている」との回答にとどまりました。
●あたらしい介護保険制度改定問題では、「いまアンケートを準備中。秋ごろから実施したい」と回答。アンケートの中身を実態が把握できる内容にしていただきたいものです。
●福井県に24億円もの介護保険の「埋蔵金」が積まれている問題。「取り崩して、被保険者に還元を」のわたしたちの要求を福井県庁は拒否しました。
そこで国と談判。国側は、「現在、基金の処分は使途が限られている。しかし、会計検査院からも指摘されており、今後適切に対応したい」と回答。なんか、しぶしぶ見直すみたいですねえ。介護保険料引き下げ、など目にみえる形できちんと還元してもらいたい。おい、利息分もきちんと県民に返せよ、と県民は怒っておりますぞ。
以下、要望全文です。長めです。
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厚生労働大臣 舛添 要一 様
2009年5月20日 日本共産党福井県委員会
委員長 南 秀一
重点要望事項
福井県民の切実な要望事項の実現に特段のご尽力をいただきたく、つよく要望いたします。
1、後期高齢者医療制度について
①高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度は小手先の見直し策ではなく、中止すること。年金天引きはおこなわないこと。
②健診項目を国保並みに改善すること。
③滞納者への資格証発行をおこなわず、全員に保険証を交付すること。また、判定委員会は広域連合と市町の行政担当者だけで開くのではなく、福祉の専門家も加えて開催する要綱とするように助言すること。
④広域連合の事務費、管理費については市町負担だが、国も補助すること。
2、子育て支援等の充実について
就学時前までの医療費無料化を国の制度として創設するとともに、中期計画で義務教育修了までの医療費無料化に拡充すること。
福井県で8000万円余にもなる医療費無料化の現物給付に対する補助減額を行わないこと。
保育所の耐震診断・補強にたいする国の助成を強化するとともに、自治体への助言をおこない、促進すること。
3、ウイルス性肝炎対策
①ウイルス性肝炎の感染者を顕在化するため、健康診断等においても検査の意思を確認し、全ての検査希望者を無料検査の対象とし、国として検査費用への財政支援を行うこと。
②ウイルス性肝炎の治療費助成制度は、所得による自己負担を求め、治療期間を限定するなど実態にそぐわないものです。治療費の自己負担を軽減し治療期間も医師の判断を基準にするようにするとともに、これら費用への国庫補助を増額すること。
4、遺族年金における男女差別の規定を改正すること。38年間も年金を掛けてきた女性が55歳で亡くなったが、夫が55歳、子供が18歳を超えていたために遺族年金が1円も支払われない事例があります。
5、雇用促進住宅について
①雇用促進住宅の廃止方針は撤回していただきたい。市町が求めれば、無料で売却すること。
②雇用促進住宅への入居が家賃2か月分の前払いとなっており、福井市の場合は76000円を用意しなければ入居が出来ません。事実上寮から追い出された派遣労働者がそのような大金を用意できるはずもなく多くの失業者が入居不可能となっています。一時的・緊急的措置として家賃を大幅に引き下げさせ、同時に、家賃は月ごとに月末で良いなどの対応を行い、緊急入居ができるよう体制を整えること。
6、障害者行政に関して
①自立支援法の利用者の原則1割負担は撤回すること。
②自立支援法の障害程度区分認定は、グループホームなど基盤整備ができていない地域では、障害者を路頭に放り出すに等しく、見直すべき。現に施設に入所している者については、希望すれば継続して利用できるように対応すること。
③自立支援法の障害者施設にたいする報酬を日払い制から月払い制にもどすこと。
また、「事務員」の区分がなく、事務員の経費がでない問題があります。事業所での会計事務は以前と比べると倍以上に事務量は増えています。きちんと経費をみること。
④自立支援法の知的障害者と身体障害者を同じ基準での障害程度区分認定は実態を反映しません。ADHDなど面接を1時間すればわかるというものではありません。見直しをおこなうこと。
⑤精神障害者のグループホーム建設に補助制度をもうけること。
⑥福井県では障害者施設の耐震診断がおこなわれますが、耐震改修・補強等が必要となった施設に対する助成制度など国としても対応をバックアップすること。
⑦就労移行支援事業の2年間の限定期間を撤回し、実態合うように改善すること。
7、ALSなど重症神経難病患者を受け入れる医療機関において、看護師等を追加配置した場合、その費用について医療保険制度における加算措置を導入すること。
8、遷延性意識障害者が通所サービス、短期入所など必要なサービスが受けられるよう施設整備、看護士配置などおこなうこと。介護施設などでもデイサービス等受け入れが可能にすること。これらの実態について、全国的な調査をおこない、実態を把握し、公表すること。
9、国民健康保険事業について
①応能・応益割を50:50にするように、との指導をやめること。
②収納率によるペナルティをやめること。
③保険証取りあげ、資格証明書発行の義務化を撤廃すること。保険証とりあげによる収納率の改善がはかられているのか、実態調査の実施、結果についての分析を明らかにすること。
④滞納者への高額医療費制度の適用を拒否するやりかたを改めること。
10、介護行政について
①認定制度は抜本的に見直すこと。機械的な要介護認定制度や利用限度額は廃止し、現場の専門家の判断で適正な介護を提供する仕組みに改善すること。4月からの要介護認定の改悪は撤回すること。
②介護保険料は福井などの地方都市の自治体は介護報酬の3%アップにつながっていません。介護現場の実態としては1.5%以下。しかし、被保険者からは3%アップ分として上乗せした保険料を取っています。3%アップを実態のあるものとすること。
抜本的には、国の責任で国庫補助を高めることによって介護報酬の5%アップを目指すこと。高齢化率の進捗に伴い介護給付費は毎年増加している現状をふまえ、国の負担割合を引き上げること。
③今回の「加算」で利用限度額をオーバーし、利用できるサービスが削減される事態が生まれています。要介護度に変更がない以上、これまでのサービスをうけられる措置を、あわせて講じること。
④介護保険サービスを中重度者に限定し、利用者の4割も排除しようという老健局の内部文書が明らかにされましたが、このようなさらなる制度改悪の検討は中止すること。
⑤介護保険の「財政安定化基金」は福井県では24億円もためこまれています。しかし、県はこれを取り崩し、被保険者に還元することを拒否しています。一方では、保険料の引き上げや利用削減がおこなわれているのであり、被保険者に還元する施策を講じられるようにすること。
⑥特養だけの建設には国の補助がないため、障害者のケアホームなどをふくめた多機能施設を県内でもつくっていますが、実情に合わないため、障害者ケアホームの充足率が非常に低くなっている施設もあります。特養だけの建設にも国の補助をおこない、本当に必要とされる施設の充実がすすむようにすること。
11、地域の拠点病院である福井社会保険病院を公的病院として存続し、産婦人科の医師を増員して、お産のできる病院とすること。高浜町の社会保険病院についても医師を増員し、地域の救急医療をになう病院として存続すること。
12、生活保護について
①住居がない場合は生活保護の決定・受給を行わないという対応を改め、人間らしい生活ができるように支援すること。
②福井市では市民からの通報などを契機に、ホームレスの方に直接訪問を行い実態をつかんでいます。各地方自治体でそのような対応が行われているはずです。そうであるならば、次は生活保護などの受給を進め、生活を再建させる支援の行政をおこなうこと。
③福井市では福祉住宅が一杯になっており、緊急に入居できる施設がないため、失業し住居を失った人に野宿を強いらざるを得ない状況が生まれています。国が用意したプランも保証人などの問題から、民間住宅も受け入れてくれません。国として保証人も含めた対応策を用意すること。
④勤労意欲を失わせるような「基礎控除」を見直すこと。特に、2万円前後のアルバイト収入については、全額を控除して収入とみなさないこと。
13、失業者のシェルターについて
DV(ドメスティックバイオレンス)など女性の緊急避難施設の制度がありますが、失業などの経済的困難によって住居を失った場合は対象にならず、福祉担当課でも対応できていません。福井市では緊急に入居できる施設が一杯なので、女性に野宿を強いらざるを得ない状況となっています。DVだけでなく女性の失業や経済的困難も緊急入居の対象とするよう指導すること。
14、福井県若狭町では、三方診療所の医師退職のため、休診となり地域医療の崩壊がすすんでいる。上中病院でも医師の退職が予定されている。国として地域医療を守る抜本的対策を講じること。医師数を抜本的に増やすこと。過疎地の医師確保を緊急に支援すること。
また、杉田玄白記念公立小浜病院には救命救急センターが設置されており、高度救急医療は地域住民の最も強い願いとなっている。しかし、その体制の維持には多額の運営費を要するため、国としての支援を講じること。また、わかさ社会保険相談センターを存続すること。
15、児童扶養手当の対象に父子家庭もいれること。
16、保育行政について、民営化推進は改めること。事業者と保護者の直接契約制度導入はおこなわないこと。国が責任をもって保育充実のための予算を増額すること。
幼保一元化において、保育所や幼稚園のあり方が変更になった場合の定員数はどのように定められるのか、明らかにすること。
17、福井県小浜市などでは、1人暮らしの高齢者・高齢者世帯に対し、急病や災害等の緊急時に迅速かつ適切な対応をはかることを目的に緊急通報装置を貸与しています。このような地域の取り組みにたいして、国の助成措置を講じること。
18、労働局の対応が、派遣切りされ現場から労働者がいなくなった後では労働現場に実体がないとして是正指導をおこなわないという対応になっています。派遣切りされた後でも、過去にさかのぼって労働者の直接雇用を行うよう指導すること。また、派遣労働期間を超えての違法派遣の場合の直接雇用措置は、パートやアルバイトではなく、「正社員化」を指導すること。