前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

死刑からの生還・・・松川60年

2009年05月08日 | Weblog
  「大変おそくなりまして申訳けありません。私達実は3月から松川後援会を作り、別紙の通りの金額が集まりました。月々に送れるとよろしいんですけれどあまりにも少ない為今日までのびのびになりました。しかしこれより少なくなるということはないと思います。真実が通されて明るい勝利の日まで続けるつもりです」・・・・これは、昭和29年6月に発行された「まつかわ」第十号に掲載された「福井懸松川後援会遠敷支部」からの便りです。
  ガリ版刷りの40ページほどの小冊子ですが、全国からの便りや、弁護士、労働組合などの訴えで熱い。表紙には「第25回メーデー万才!松川の裁判やりなおせ! 国民救援会」の旗を掲げた人たちが描かれています。
   遠敷、は小浜市の一地域。わたしも嶺南地域で共産党の仕事をしていた時は何度もたずねたことがあります。人間のあったかさを感じた地域です。さて、「松川」とは・・・・・

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   1949年8月17日、東北本線・松川駅に向かっていた列車が脱線・転覆、乗務員3名が死亡。その犯人として国鉄や東芝の労働者20人が逮捕・起訴された「松川事件」。今年は60周年。
  最初は全員が死刑・無期懲役をふくむ全員有罪。それが、14年間の歳月のたたかいを経て、全員無罪、となりました。「外国人か」ともいわれた真犯人は捕まっていません。
  無罪をかちとった時は、私はまだ4歳ですから、まったく記憶はなく、松川事件は、文字通り「歴史」としてしか知らないのです。しかし、改めてこの歴史的事件から学ぶ事は大きいのではないかと思います。

  
   この事件の教訓として、伊部正之・福島大学名誉教授は、「国民は裁判に疑問があれば大いに発言し、無実であるという事実を天下に突きつけるべき」「無実の人たちが死刑にされようとしていることを知った以上、逃げ出すわけにはいかなくなる。それにしても、自分の命に関わらないことに、人間があえて関わるというのは、やはり大変な決断。下手をすれば自分に不利益が及ぶかもしれないし、警察に付回されるかもしれない。だから、そういう意味で松川運動は勇気を発揮して被告の命と人権、そして裁判の権威を救ったのだといえる」と国民救援会が発行する雑誌のインタビューで述べています。
   また、「松川裁判では、被告が無実であることをしめす証拠のかなりの部分が終盤になってようやく提出されましたが、真犯人についての証拠は一切出されませんでした。あれだけシラミ潰しに捜査したわけですから、真犯人に繋がるものが一切ないということは有り得ない」とも述べています。

    国民参加の裁判員制度がはじまろうとしていますが、検察側の有罪の意図と証拠に偏らず、すべての証拠の開示こそが前提にならなければ、私たち国民を巻き込んで「冤罪事件」を新たにつくりだすことにもなりかねません。
   こういう局面でもあるだけに、松川事件から汲み取るべき今日的意義はますます大きいと思うのです。