みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

第十八回 研究会別会

2009年01月21日 | 能・狂言
1月18日 於・観世能楽堂

 今年初のお能鑑賞。研究会別会に行ってきました。こちらの会は初めてですが、入場時に当日の番組だけでなく、「観能のしおり」をいただきました。演目の説明だけでなく、小書きの説明などが詳しく書いてあり、特に『采女』の小書きによる詞章変更なども丁寧に変更部分の詞章つき解説があり、なかなか良いな~と思いました。

能 『高砂』 八段之舞
 自分の中では『高砂』という曲にはかなりなじみがあります。が、舞台で何度も見たことあるものは舞囃子部分なので、お能として見るのは意外にも初めてだったりします。私は大倉流でお稽古しているので、今日はお家元の源次郎先生が鼓ということで、ただ観るだけでなく、舞台から何か得たいというか参考にさせていただこうと思いながら鑑賞。もちろん「楽しむ」ということも大事ですが。これから稽古することにもなるかもしれませんしね・・・。(今は「神舞」は無理だと重々承知しておりますが・・・いずれやってみたいですし・・・。)

 それはさておき、やはりこういう「おめでたい!」曲は、颯爽としていることが大事なのでしょうね。神舞は常は五段ですが、八段は緩急もつき、さらに颯爽かつ優雅な感じになります。いただいた解説によると「八」は「末広がりの八」で、こう変化するそうです。お囃子も心地よく、こう打てたらいいなと思いました。お家元レベルに到達するのは到底無理ですが~(^^;。


シテ:津田和忠、ツレ:林宗一郎、ワキ:村瀬純、間:深田博治
笛:杉信太朗、小鼓:大倉源次郎、大鼓:柿原弘和、太鼓:観世元伯


狂言 『三本柱』
 久しぶりに万作さん萬斎さんの狂言を拝見。主人が家を新築するので、柱を山から取ってくるように太郎冠者、次郎冠者、三郎冠者に言いつけます。しかし、三本の柱を三人が二本ずつ持ってくるようにという謎解きつき。主人が万作さんで、太郎冠者が萬斎さん。謎解きの答えは考えていたのと同じでしたが、それでも面白いのが狂言ですね~。三人で二本ずつ持って主人のところにもって行く時の謡がとても楽しかったです♪

シテ:野村万作 アド:野村萬斎、高野和憲、月崎晴夫


能 『采女』 美奈保之伝
 全くの初見。采女(うねめ)とは地方豪族出身者から選ばれた帝の身の回りの世話をする女性のこと。旅の僧が女に出会い猿沢の池に案内される。女は、帝の寵愛を受けていたが、帝の心変わりを嘆き池に入水自殺した女のことを語り、自分はその霊であると僧に告げて池に消えていく。僧が菩提を弔うと、男子に変成した采女が現れ舞を舞い再び池に消えていくというお話。
 今日の小書き(特殊演出)である美奈保之伝の後シテは、池の中から現れて水に濡れていることを表現するために舞の中で袖をかけない、足拍子を踏まないなどの演出があります。(by解説。)まあ、全くの初見の曲ですので、違いはまだ分かりませんが・・・。 
 さて、祥人さんの采女良かったです!池に沈んだり・・・池から現れる様、そしてまた沈んでいく様などは物悲しかった。そして序之舞は“重い”という印象でした。でもそれは悪い意味での“重い舞”なのではなく、池に身を投げて死んだ采女そのものというか・・・。なんと表現していいのかわかりませんが、お能に出てくる女性は悲しい美しさというものを感じますけれど、これは悲しさというものが強かったです。とてもよかったです。

シテ:関根祥人、ワキ:森 常好、間:石田幸雄
笛:一噌仙幸、小鼓:曽和正博、大鼓:亀井忠雄


能 『安宅』 勧進帳・瀧流之伝

 『安宅』を以前に見たときは薪能でしたので能舞台で見るのは初めて。あと昨年5月に発表した思い出の曲でもあります!さて、これが思っていたよりもとっても良かったです!浅見重好師の弁慶は小柄ではあるけれど、とても思慮深く落ち着いた感じが良かったです。この曲を元にした歌舞伎の『勧進帳』も良いけれど、歌舞伎は山伏が4人ですが、お能は山伏が9人ですからね。迫力もありますし、狭い能舞台を移動&集合・・・などは迫力はあるけれど、動きに無駄がなく。その分、勢いで関所を突破という感じもしなくはないけれど(苦笑)関守富樫の宝生閑師が作り出す緊迫感も見事でした。そして強力は萬斎さん!
 幽玄美とはまた違った、お能の迫力というもう一つの魅力も感じました。

シテ:浅見重好、ワキ:宝生閑、子方:藤波重紀
同山;上田公威、藤波重孝、松木千俊、武田祥照、北浪貴裕
   木月宣行、大西礼久、高梨万里、坂口貴信
間:野村萬斎、高野和憲
笛:寺井宏明、小鼓:観世新九郎、大鼓:国川純


 そのほか
『巻絹』『敦盛』『胡蝶』『国栖』『老松』『東北』『富士太鼓』『邯鄲』の仕舞がありました。休憩も入れて午前11時から17時20分くらいまで・・・盛りだくさんすぎて、体力的には少し疲れましたが、とても充実した会でした!なので長文になってしまいました。なので地謡方のお名前は割愛させていただきました。ご了承ください。