お煎餅という郷土菓子への想い

2014年04月25日 | 日記
三田風月堂もリニューアルして、おかげさまで今年10周年を迎えます。
祖父が始めた頃から数えると75年程経ちます。
 
地元の銘菓であるお煎餅とお饅頭を作っていた祖父の時代。
そして、もともと洋菓子職人だった店主が、祖父の下に入り和菓子を引き継いだ今。
 
10年も経つと、だいぶん地元の皆さんに馴染んだということでしょうか、
洋菓子も和菓子も同じくらいの需要があって、
だけど、洋菓子のように華のあるイベントがそんなにない和菓子は仕込みが洋菓子ほどできなくて、という日々。
ようやく作った和菓子は飛ぶように売れていき、また和菓子のショーケースは空っぽ。
そんな感じです。
「お煎餅やお饅頭をする気がなくなったのではないのか?」と思われてもおかしくない品薄状態が続く中、
自分たちの方向性。自分たちが考えているお菓子作りへの想いについて昨日じっくり話し合ったのでした。
 
これだけある和・洋菓子の商品のほとんど全てを店主ひとりで手作りしていくことについて。
働けども働けども 金銭的に裕福になる訳ではないこのやり方をこれからも貫いていくのか?
手間と労力のかかる千代田煎餅を、これからも時間のない中で続けていくのか?
お菓子に対する店主の想い。
 
すると、珍しく店主が自分の想いをナチュラルに文章にまとめたので そのまま転記させていただきます。
以下、店主の文章です。
 
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フランスの地方菓子ファーブルトン、ガレットブルトンヌ、カヌレ、
チェコの郷土菓子コラーチ、などなど
わたしが、その地方に伝わっていて今も昔も愛されているお菓子を作るのが好きなのは、
きっと私の芯に千代田せんべいがあるからだろう。
キャラメルのような香ばしい味と少し焦げるお菓子の匂い
長く使われてきた道具への愛しさ、
作ることを通して昔が今に生きて、これからに続いていく
愛されるのは味がいいから?それだけじゃないと思う。...
作り手がそのお菓子を作ることを愛しているからだと思う。
時代はどんどん進歩しても、人は何も変われない
早くて便利な風潮で、どんなに量産を望まれても、
一枚一枚思いを込めながら作るものには作れる限度がある
そんなことして何の意味があるの?
もっと、楽してたくさん作れば、多くの人が喜ぶし、
お金にもなるし。人雇って、機械入れればいい。っていう人も多い。
 
けど、
それで、私は満たされるのか。
手作りはただの自己満足?
でも、やっぱり、手作りしながらお菓子に気を込めたいのだ。
私はお菓子作りを愛しているし、そんなおいしいお菓子を愛している。