夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2021年10月に読んだ本まとめ

2021年11月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2021年10月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:6529ページ
ナイス数:1789ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■護られなかった者たちへ (宝島社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】本日封切りです。観に行くと言ったら、複数の人から「震災の映画ですね」と言われました。原作を読んだ者としては、震災の映画というよりは生活保護の映画だと説明したくなる。利根、けいさん、カンちゃんが住んでいた場所も原作からイメージしていた雰囲気とはずいぶん異なります。瑛太も緒形直人もこれまであまり悪人を演じることはなかったと思うから、このキャスティングは奇抜。映画では犯人はバレバレ。何もかも震災のせいでこうなったと言いすぎの感があるような。桑田佳祐の主題歌はとてもいい。
読了日:10月01日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/18106934

■うちの社食がマズくて困ってます 総務部推進課 霧島梓の挑戦 (富士見L文庫)
働き方改革推進課へ飛ばされた主人公。何も教えてくれない同僚に好きにすればと言われて開き直り、健康診断受診の促進に始まり、イベントの発案、そしてマズすぎる社食の立て直しまで。現場の人を置き去りにせず、業者の人たちとしっかり話し合って納得できるものにしようとする姿が◯。ウチの職場のカレーフェアは「カレーライス、カレーうどん、カレースパゲッティ」で目が点になったことがあります(笑)。料理長の機嫌の良いときの日替わり定食はステーキランチ、悪いときはラーメンライスだったけど、後者は男性陣に大好評だったのを思い出す。
読了日:10月02日 著者:黒崎 蒼
https://bookmeter.com/books/16028059

■満月珈琲店の星詠み (文春文庫)
占星術にはまるで興味がないけれど、凹んでいる人の前に突如として現れる満月珈琲店は実に居心地がよさそう。前向きになって、気持ちが晴れる珈琲店。占星術には興味なしと言いながら、読み終わる頃にはどの天体がどのハウスに入っているのか気になって仕方がない。しかし身長2メートルの二足歩行の猫は怖いからやめて(笑)。バッティングセンターで見て衝撃を受けたキティちゃん投手を思い出してしまうんです。せめてその半分くらいの背丈でお願いします。巻頭の挿画が素敵すぎる。どれもこれも食べたいけれど、私はできればアルコールがいいな。
読了日:10月06日 著者:望月 麻衣
https://bookmeter.com/books/14637967

■黙過 (徳間文庫)
いやいやいや、たまげました。60頁前後の短編4つと160頁ほどの中編1つ。久坂部羊っぽいと思いながら読み始めた短編4つは、完全に独立した読み物でした。病院から突然消えた危篤患者。重病人のふりをする元官僚。子豚が忽然と消えた養豚場。科研費の不正受給に関わっていたと見られる研究者の自殺。それが中編に入ろうというとき、前の4つを必ず先に読むように言われる。えーっ、これが全部ひとつにまとまるのか。正直なところ、その4つはさして心に響くものではなかったのですが、最後にこうなるとは。お見事としか言いようがありません。
読了日:10月08日 著者:下村敦史
https://bookmeter.com/books/16445749

■稲荷書店きつね堂 ヨモギたちの明日 (ハルキ文庫 あ 26-13)
あら、最終巻ですか。こう言っちゃなんですが、冊数稼ぎにピッタシ、約200頁の読みやすいシリーズでした。もちろんそれだけではなくて、和む。帯に「さようならヨモギ」とあれば、彼が元の狛狐に戻るのだと思いきや、皆の想いが届く。しかし彼はこの先ずっと少年のままなのかしらん。読者の「学校はどうなっとるんだ」の謎は消えそうにありません。人間の姿でいられることになったとはいえ、尻尾はあるし、うっかり隠すのを忘れないようにね。いっそ狛狐の化身であることを明かしてしまえばいいかも。彼ならきっと誰からも受け容れられるでしょ。
読了日:10月10日 著者:蒼月 海里
https://bookmeter.com/books/18366314

■自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫 M シ 17-1)
『女には向かない職業』を知っている人ならこの邦題に食いつきませんか。私も釣られた一人です。いくら自由研究だからって、解決済みとされる殺人事件を取り上げ、自殺した容疑者の無実を証明するだなんて。主人公の高校生ピップと容疑者の弟ラヴィ、共に良い子で賢すぎる。真相を解明することだけに走らず、解明することによって友人やその家族がどうなるか考えているところがいい。日本で翻案映画化しても面白いかもしれません。浜辺美波とかどうですか。それだと“屍人荘”になっちゃうか。でも剣崎さんよりはピップのほうが普通だと思う(笑)。
読了日:10月13日 著者:ホリー・ジャクソン
https://bookmeter.com/books/18277935

■年表で読む近代日本の身装文化
『日本人のすがたと暮らし 明治・大正・昭和前期の身装』『新聞小説の挿絵で見る近代日本の身装文化』の姉妹編に当たる、いわば完結編。これら3冊は〈近代日本の身装電子年表〉〈身装画像データベース「近代日本の身装文化」〉として国立民族学博物館のウェブサイトから公開中。「身体と装い」に関する事象をまとめた年表なので、読破するという本ではないけれど、拾い読みするだけでも面白い。『鬼滅の刃』の舞台である大正時代の装いを知るつもりで覗いてみるのもいいかも。とはいうものの17,600円、とても手が出ない。まずは図書館で。
読了日:10月14日 著者:大丸弘,高橋晴子
https://bookmeter.com/books/18719259

■デッドマン (角川文庫)
6つの死体からそれぞれ頭と胴体と四肢が持ち去られていたら、私のような凡人は、継ぎ接ぎだらけの人間を想像してそのおぞましさに涙目になってしまう。乙一の『暗黒童話』を読んだときと同じです。でもあっちは一体ではなかったから、こっちのほうがグロさはまだマシかもなどと思いながら。真相は継ぎ接ぎじゃなくてホッとしましたが、物語のどの部分よりもロボトミー手術の恐ろしさが頭にこびりついて離れません。そのような手術がおこなわれていたとおぼしき精神病院跡地を舞台にした映画『セッション9』(2001)を思い出して震えています。
読了日:10月15日 著者:河合 莞爾
https://bookmeter.com/books/8208920

■セイレーンの懺悔 (小学館文庫)
法曹、医療、音楽、映画、どんな分野の話でも書いてみせて、時にめちゃめちゃ面白く、そこまで行かずともまぁ面白い七里センセ。マスコミをテーマにした本作も勢いよく最後まで読ませてはくれますが、宮藤刑事を除く登場人物がちょい苦手。どんな時事ネタを盛り込もうが説教臭くならない七里センセが好きなのに、最後の熱弁は原田マハかと思いました(笑)。しかしシリーズ化されるならば、彼女が記者として成長していく過程を間近で見られるような楽しみもあるかもしれない。たぶんそのうち「ええ記者になったねぇ」と偉そうに言う私がいる(笑)。
読了日:10月16日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/16195870

■本と鍵の季節 (集英社文庫)
図書委員の男子高校生2人が主人公で、日常の謎を解くと来れば、爽やかな青春ミステリーを想像するじゃないですか。第1話で憧れの先輩から相談を持ちかけられてニヤニヤしていたら、夢は打ち砕かれます。えっ、そんな暗黒の設定なの!? 小市民シリーズを愛した人は必ずや気に入るでしょう。図書委員ならではの謎解きでありつつも能書きはほぼなくて、かつ、図書室に無縁の人にもわかりやすい説明。第4話の「ない本」では映画『FUNNY BUNNY』の「絶対に借りられない本」を思い出しました。時折苦く、悲しい。だから米澤穂信が好き。
読了日:10月19日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/18101443

■はぶらし (幻冬舎文庫)
友人とも言いがたい友人から連絡が来てしばらく泊めてくれなんて言われたら、即断るべきだと思う。断りきれずに承諾したとしても、歯ブラシを貸してと頼まれて買い置きを貸し、翌日新品を買ってきた友人が昨日使ったほうを返してきたら、そりゃもう即刻追い出すべきでしょう。感覚がズレている。そんなふうに始まるから、ものすごいイヤミスに違いないと思っていました。事実、終盤まで、盗癖もあって自己中な友人にしか見えません。だから、最後は呆然としてしまう。後悔のない人間関係について考える。結局、自己満足にしか過ぎないのですけれど。
読了日:10月20日 著者:近藤 史恵
https://bookmeter.com/books/8319732

■52ヘルツのクジラたち (単行本)
凄惨な主人公の人生。育児放棄に遭ったうえに介護要員にさせられ、ようやく親から離れた後にまだまだ不幸が訪れる。いったいどうやって生きていけばいいというのか。いちばん心に染みたのは、「私のことが好きですか」と尋ねた相手が、「あなたのしあわせを祈るくらいには」と答えるくだり。一緒に泣くのは割と簡単。だけどその人の幸せを心底喜べる相手って、実はそんなにいない。ちょうど直前に近藤史恵の『はぶらし』を読んだから、"人にやさしくするのは、ドラマほど簡単じゃない"。でも、簡単じゃないからこそ、こうだったらいいなと思う。
読了日:10月21日 著者:町田 そのこ
https://bookmeter.com/books/15533416

■豹変 (角川文庫)
先日観た『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』をそのまんま思い出してしまうような設定です。『死霊館』では、悪魔に取り憑かれた少年を祓ったら、その場に居合わせた青年に悪魔が乗り移り、青年が殺人を犯します。本作同様に、悪魔憑きだということを関係者に納得してもらわなきゃならない。目を丸くする刑事の姿なども可笑しくて、怖いけど見入ってしまうホラーでした。しかも実在の心霊研究家の体験談に基づいているのですから。あら、本の感想のはずが、ほとんど映画の話になっちゃった。富野さんは心霊研究家のアシスタントも務められそうです。
読了日:10月22日 著者:今野 敏
https://bookmeter.com/books/13117573

■店長がバカすぎて (ハルキ文庫 は 15-1)
学生の頃に小さな書店でバイトしていた身としては、グイッと興味を惹かれます。店長、社長、同僚、客、そして自分にもイライラした日を思い出す。しかし、覆面作家の正体が序盤でバレバレすぎませんか。まさか私ごときの推理が当たったまんまで終わることはあるまいなと思ったのに、そうですか。別にそれが話の肝というわけじゃないからいいけれど、正体について延々と取り沙汰される場面はちょっと白けちゃいました。気づけよ(笑)。そこを差し引いてもじゅうぶんに面白かったことは間違いありません。バカバカ言ってるほうがバカ。人は自分の鏡。
読了日:10月24日 著者:早見 和真
https://bookmeter.com/books/18229943

■身分帳 (講談社文庫)
劇場鑑賞した後すぐ読もうと思って購入したのに、気がつけば8カ月経過。フィクション仕立てのノンフィクション。原作では44歳とのことだから、役所広司では歳を食いすぎだけど、彼のイメージでしか頭に入ってきません。周囲は本当にこんなにいい人ばかりだったのだろうかと確かに思わなくもない。でもこの純朴さを知れば、彼を気にかけたくなったでしょう。弁護士役の橋爪功、ケースワーカー役の北村有起哉、スーパーの店主役の六角精児の温かさを思い出すと共にキムラ緑子の台詞が蘇る。「シャバは我慢の連続だってさ。でも、空は広いってよ」。
読了日:10月27日 著者:佐木 隆三
https://bookmeter.com/books/15957560

■EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
こんなところでto be continuedとは。藤堂比奈子シリーズなら上下巻となりそうな展開。そろそろ大詰めということなのでしょうか。昭和前半と現代を行ったり来たり、突飛なはずなのに違和感なく、物語に毎度没頭させられます。なぜだか最近狐憑きや悪魔憑きの話に縁があり、これもそうだからビビる。おぞましいプロローグに始まり、憑かれた人を切り刻めば祓えると信じている様子を想像すると怖すぎます。ケッペーが初心を忘れることはきっとない。死んじゃう伝説は吹き飛ばして、立派なおまわりさんになって。次、早くお願いします。
読了日:10月29日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/18480722

■そして、バトンは渡された (文春文庫)
瀬尾まいこの本は、温かいエンディングを迎えるものと、最後にどん底に突き落とされるものと、二通りあるように思います。どちらも切なさを伴いつつ。本作は映画版の予告編を観たとき、どん底とは言わないまでも、隠されていた秘密のようなどんでん返しがあるのかと思っていました。温かいまま終わってくれてよかった。ごはんと音楽、どっちも大事だけど、食べなきゃ死ぬから、音楽よりごはんだと私も思った。でも、どんな人にも届くのは音楽。瀬尾さんの作品ではいつも食べ物と音楽が絶妙のスパイス。ちなみに私は朝からカツ丼食べられます(笑)。
読了日:10月31日 著者:瀬尾 まいこ
https://bookmeter.com/books/16239752

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