夜な夜なシネマ

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『ソウルの春』

2024年09月03日 | 映画(さ行)
『ソウルの春』(英題:12.12: The Day)
監督:キム・ソンス
出演:ファン・ジョンミン,チョン・ウソン,イ・ソンミン,パク・ヘジュン,キム・ソンギュン,
   チョン・マンシク,チョン・ヘイン,イ・ジュニョク,キム・ウィソン,チョン・ドンファン他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『エア・ロック 海底緊急避難所』の次に。
 
「ソウルの春」とは「プラハの春」に由来する言葉です。
1979年10月26日、独裁政治で国民を苦しめていたパク・チョンヒ大統領が暗殺されました。
この事件については『KCIA 南山の部長たち』(2020)を観るとわかりやすい。
独裁者が暗殺されたことからにわかに民主化への期待が高まり、「ソウルの春」が謳われたのに、
同年12月12日、チョン・ドゥファンがクーデターを成功させて全権を掌握。
民主化は遠のき、のちに『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017)で描かれる光州事件が起きることになります。
本作はクーデターが画策されるまでと実行されてからの様子を描いた、実話に基づくフィクション。
実在の人物の名前は用いずに仮名が使われています。
 
パク・チョンヒ大統領暗殺事件に国中が動揺しつつも民主化への期待に沸く韓国。
そんななか、暗殺事件の捜査を指揮することになったのは、チョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)。
チョン・ドゥグァンは民主化を嫌い、自らが新たな独裁者となることを目論む。
 
そんなチョン・ドゥグァンの暴走を懸念する陸軍参謀総長チョン・サンホ(イ・ソンミン)は、
首都警備司令官にイ・テシン(チョン・ウソン)を任命。
出世にまるで興味のないイ・テシンは無欲で高潔な人物。
チョン・サンホからの話を断るが、ソウルを守れるのは君しかいないと懇願され、受けることに。
 
もともとイ・テシンに敵対意識を持つチョン・ドゥグァンにはそれが面白くない。
イ・テシンを買うチョン・サンホもろとも潰しにかかろうと、
チョン・サンホこそがパク・チョンヒ大統領暗殺事件に関わる人物だとして、
チェ・ハンギュ大統領の裁可を得ようとする。
 
チョン・ドゥグアンの息がかかる将校たちは、まずはチョン・サンホを拉致するのだが……。
 
なんとしんどい話なのか。
毎度韓国のこういう作品を観ると思うことですが、独裁政権が怖すぎる。
民主化のいったい何を恐れているのか。
全権をひとりで持つことを目論み、それに群がる腰ぎんちゃくたち。
しかも国防長官の情けないことといったら。
ここに果たして信頼関係はあるのかどうか不思議です。
 
軍人や政治家全員が悪いわけではない。清い政治を目指している人もきっといる。
でもそのたびに自分のことしか考えていない人たちに飲み込まれ、拷問され、死んでゆく。
腹立たしいのは、悪い奴が長生きするってところです。
 
軍事内秘密組織の「ハナ会」ってきっとまだあるのですよね?
民主化を阻もうとする人たちが世の中に存在し続ける。
武力を持って人を圧しようとすること。とても怖い。

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