夜な夜なシネマ

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『ショック集団』

2016年06月10日 | 映画(さ行)
『ショック集団』(原題:Shock Corridor)
監督:サミュエル・フラー
出演:ピーター・ブレック,コンスタンス・タワーズ,ジーン・エヴァンス,
   ハリー・ローデス,ジェームズ・ベスト他

ナナゲイで招待券を使って観た2本目。

アメリカではB級映画監督とみなされていたけれども、
ヨーロッパでは高く評価されていたサミュエル・フラー監督。
低予算で撮られた作品が多く、ちょっとしたカルト的人気。
1963年の作品をスクリーンで観る機会に恵まれました。

新聞記者のジョニーは、精神病院内で起きた殺人事件に強い興味を抱く。
事件の目撃者である患者に取材して、真犯人を突き止めたい。
自分が精神病患者を装って病院内に潜入すれば、面白いルポが書けるはず。
これでピューリッツァー賞を狙ってやる。
編集長はジョニーに勝るとも劣らず乗り気。
あとはどうやって精神病患者になりすますか。

そこでジョニーは恋人のキャシーに協力を仰ぐ。
ジョニーとキャシーは兄妹で、妹に妄想を抱くイケナイ兄という設定。
身の危険を感じた妹が警察に相談して病院送りになることを目論む。
そんな無茶な仕事はさせられないとキャシーは断るが、
ジョニーに懇願されて結局は協力してしまう。

精神鑑定をまんまと欺き、病院に送致されたジョニーだったが、
他の患者と接し、ショック療法を受けるうちに本当に気がふれて……。

夜中にアリアを歌う巨漢の男、南北戦争の英雄を自負する男、
黒人なのに自分は白人だと思い込んでいる男などなど、
狂気が満ちる収容病棟の廊下。

モノクロのフィルムがリアルで恐ろしい。
徐々に正気を失ってゆくジョニーは、真相を手に入れた頃にはまったくの狂人。
精神病院が舞台の映画といえば真っ先に思い出されるのは『カッコーの巣の上で』(1975)でしょうが、
それより10年以上前にこんな作品が撮られていたとは。奇才です。

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