本大好き・音楽大好き

図書館と古本屋さんをipodを連れ合いにして歩くのがほぼ日課

菩薩さまの手(熱中症体験記)

2007-08-22 23:02:45 | Weblog

目の前の景色がくらりと揺れて、思わず片手が
駅ホームの床を掃いた。
それがこの夏、私が熱中症との出会いを自覚した日。
間断なく続く頭痛。
目を開けていられないほどの発汗。

「大丈夫?」誰かの声。
ふうっと息を吐き、気がつくとホームのベンチに座っていた。
大きな柔らかい優しいものが、体中を包んでくれていた。
言葉にすれば「安心」だろうか。
動悸も治まり落ち着いてみればそれは「手のひら」だった。
声から察するに母よりも少し若い老婦人が
私の汗に濡れた背中や頭を摩ってくれていた。
その手が頭を撫でると頭痛は嘘のように引き
背中に置かれるとそこから涼風が体を吹き巡った。
誰かが駅員さんを呼んでくれたらしく、
事務室で少しの時間休ませてもらった。
冷たい飲み物とクーラーの涼しさ。ほっと一息。
でも「大きな柔らかい手」を持つ人は既に消えていた。
あれは「菩薩さま」に違いない。
瞬時にそう悟って
「菩薩さまは何処に?」と駅員さんに聞いた。
駅員さんが「救急車呼びますか?」
 と気の毒そうな顔で云った。
コメント (5)
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風が強く吹いている

2007-08-18 23:53:23 | Weblog

 

昨夜10時を過ぎて読み始めたのが間違いの素。
あまりの面白さに午前2時、完徹を覚悟した。
そして午前4時、500ページ、1500枚強の
「風が強く吹いている・三浦しをん著」を読了した。

いやあ。久し振りだったなあ。
胸の震えが涙に変わったのは。
怒涛のような感動という訳ではないんだけれど
体中が活字で埋めつくされるほど
好きな本に出会ったときの私の癖で
「こういう本が書いてみたいっ」という想いが
余熱となって心も体も冷めやらず
とうとう朝まで眠れなかった・・。

ひと言で云えばやっぱり「青春小説」なんだろうな。
実は私は「青春小説」というジャンルがやや苦手で
書評でチラとその文字を目にしてさてと迷ったけれど
「三浦しおん」大好き人間としては黙殺も出来ず
図書館に予約した次第。
手元に来てからもぐずぐずと
「青春小説」やら「箱根駅伝」やらというキーワードが
どうにも折り合いが悪くて読み渋っていたけれど・・・
ホント、読んで良かった。(笑)
**************
 ストーリーは単純で
 陸上未経験7人を含んだ10人の若者が
 「箱根駅伝」を目指すという破天荒とも云えるお話。
 細かに云えば「うん?」とか「まさかね」という箇所は
 幾つかあるんだけどね。
 これは最上級の「夢物語」でもあると思うから
 そんなことはどうでもいいこと。
 途中からはまるで自分も走っているような気持になり
 ゼイゼイはあはあと息は上がり
 あろうことかふくらはぎの筋肉痛まで起きた。
 今度生まれ変わったら是非とも陸上選手に、と心に決めた。
 著者の力量たるや見事と云うしかない。
 (ん、私が単純なのか・・?)
 ともあれ一日も早く我に返らねば所属している
 「歩こう会」の仲間に「走ろう会」への変更を
 直訴しそうで怖い!、
 

 http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20061004bk05.htm


 

コメント (2)
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