公民館主催の「小物作り講座」に月に二回通う。
第二回目の講習で隣の席の人と話が弾む。
途中から彼女の口癖が胸に刺さる。
「あちらの人の布の方がキレイね」
「ああ、あの形にすれば良かった」
自分に配られた材料を横目に
他の人の物ばかり羨ましがる。
「換えてもいいわよ」の私の声に
少しだけ我に返って
「そうなの・・私っていつも他人の物の方が
よく見えてしまって・・」と目を伏せ
「自分に自信が持てなくて・・」と口籠る。
人のことは云えない。
自問自答してみればこの頃の私もそうかも。
「小物の材料」を羨ましがるなんて可愛いもんよ。
大きな石のような物がいつも立塞がり前が見えない。
日によって大きくなったり小さくなったり。
なんとか手探りで進んでいるつもりだけれど
もしかしたら後ずさりしているような気もする。
啄木さんは花を買ってきて節子さんと親しみ
心を通わせ己の誇りや自信を取り戻せたのだろうか。
私にとって「啄木の花」はなんだろう・・。
朝の散歩道、思案しつつチラリとコロに目をやり
ポロリとこぼしたら
「へえ?」と上目遣いで見て
道端に咲く花をくいっと手折り
「へいっ、どうぞ!」と差し出してくれた。
・・・・なんてことあるわけないよね。