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図書館と古本屋さんをipodを連れ合いにして歩くのがほぼ日課

介護実習

2008-04-25 23:55:49 | Weblog

実習の最終日は認知症の方たちのショートステイだった。


Sさんは椅子に腰を下ろしてはすぐに立ち上がるという
動作を繰り返し、絶え間なく何事かを泣きながら呟いていた。
朝礼の間も申し送りの間も、その声とも云えない声が
耳に付きずっと気になっていた。


Sさんは 「痛い 痛い」 と一日中繰り返している人だった。


傾聴も実習のひとつだよねと自分に言い聞かせて
作業の合間をみては、Sさんの隣に座り込み声をかけ続けた。
届いている実感の無さに、ひたすら背中を摩ってもみた。
痛みを訴え続ける声と細い糸のような涙を一瞬でも止めたくて。


実習も残り時間15分を切ったそのとき
「痛いのは辛いですよね。私も膝を痛めたからよく解ります」
と声かけをする私の背に暖かいものが触れた。


と、前に座っていた利用者さんが
 「あれえ。この人泣きながら笑ってるよお」と叫んだ。


Sさんは固まって殆ど動かない筈の手で、懸命に
私の背中を撫でてくれていた。
不自然に体を傾げて、涙を頬に張り付けたまま
本当に笑って頷きながら私を見ていた。
確かに「大丈夫?痛いの治った?」とその眼は
云ってくれていた。


実習が終わって少しだけ主任さんと話をした。


「あなたが羨ましかったです。
 Sさんの笑顔は私もみたい。利用者さんとゆっくり話したい。
 偶に話をしていても、頭のどこかに、あれをしなくちゃ
 これもしなくちゃ・・という思いがついつい過ぎってしまう。
 矛盾しているようだけど、利用者さんと話しをしてくれる 
 実習生にはもの凄く感謝もしています。」
  
 
わずか4日間の実習で、介護の現場の問題点を
 あれこれ指摘するつもりは毛頭無い。

 
  ただ本当に人が足りない。
 人が足りないということは
 利用者さんの心が置き去りになるということ。

 
  スタッフは排泄、入浴、食事の介護で手一杯だもの。
 皆さん笑顔で元気よく、頑張っているけれど
 だからといって神様は余計に時間をくれる訳じゃない。


この4日間、認知症の人、そうでない人、様々な利用者さんと
お話をさせてもらって確信出来たことのひとつ。
「話相手」は娘、息子の世代がベスト。孫世代は無理かも。
偶の刺激や緊張感を持つには良いけれど、日常的にはね。
一体感や同調、そしてなによりゆっくりな時間を持つ人。
Sさんの心に他者へのいたわりが蘇ったのは
多分、私の持つ「時間」だったと思う。
まあ、雑念なくSさんに気持ちを集中出来たことも多少は
あるかもしれないが。


ともあれ実習は終わった。
考えなければならない課題が幾つか残った。


今朝、大宮の盆栽町のお気に入りの大樹と話をしていると、
 「あら、あなたもこの樹がお好きなの?」と声が。


「私もね、いつもこの大樹から元気を頂いてるの。
 凛としたこの姿に思わず身震いして、私も
 しっかりしなくては、と気持ちを引き締めるのよ」
と89歳の婦人はそれこそ凛とした笑みで私を励ました。


ともすれば≪人間の尊厳の在り方≫なんぞを問いたくなる
介護の現場を垣間見たばかりの私には、目映いばかりの
「大樹の精」に見えた。 
そして、こういう歳の重ねが出来るなら
 もう少し生きても良いかな・・と思った。
     ああ。他力本願。


 

コメント (2)
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てつクンへの報告

2008-04-13 14:05:45 | Weblog
てつクン、簡潔で気持ちの良い実習報告をありがとう。
とても参考になりました。

思えばホームヘルパー2級取得の
 スクーリング初日にあなたが指名されて

「起立っ!教官に礼っ!着席っ!」
「い・・いえ、私教官じゃないんで・・普通にね。」
「はいっ!失礼しましたっ!」
「ふ、普通でいいから・・」
 
感嘆符だらけの講師との会話を耳にした時から
ふうっと緊張が解けて、なんだか楽しい8日間に
なれそうな予感がしたのよね。

聞けば戦車に乗りたくて自衛隊に入隊た由。
首尾良く戦車乗りになるも、思わぬ事故で膝を痛め
「これでは有事の際に国を守れぬ・・!」と泣く泣く除隊。

実家に身を寄せてすぐにおじい様が倒れ
「一番時間が自由になるのはお前だ」の一言で
弱冠23歳のあなたが介護の現場に・・・だったよね。

いやあ。先見の明というか瓢箪から駒というか・・。
何をやってもテキパキと無駄なくそれでいて丁寧。
先生も絶賛してらしたし、何回かコンビを組んだ私にとっても
それはもう大助かりでした。
本当にありがとう。お世話になりました。


さて、遅くなりましたが実習報告です。
 
私の一日目の実習は、民家を改造したグループホーム。
9名の認知症の方が7名のスタッフの方の介護や見守りを
受けながら生活をしていらっしゃいます。
 
★9時~申し送りの場に参加。
  *9名の利用者さんの前夜の状況説明なんだけど
   ほとんどの方が2回位トイレにいくのね。
   4時に起きてさっさと?着替えを済ませ出かけようとするのを
   なだめて止めてもらった・・という方もいたんですって。

★9時30分~自己紹介(利用者さんも)
  *出身地と現住所。あと志望動機など。

  *食材が届く日だったので(週1)入れてきた段ボール箱や
   発泡スチロール箱をばらして縛ったり壊したりして始末。

★10時~おやつの介助
   *お茶とビスケット、カリントを配る。

   *リビングの床の汚れをチェックして拭く。

   *昼食用のソラマメの黒い筋取り手伝い。

   *大判のゴミ袋を三角たたみ。(利用者さんの手伝い)

★11時~健康体操や指遊びをスタッフの指導で一緒に遊ぶ。
   *グー・チョキ・パーを使って、順番にリーダーになって。

★11時50分~昼食を利用者さんのテーブルに運ぶ。
       一緒にいただく。
   *スタッフが交代で調理をするのにはちょっとびっくり。
    この日は週2回見える専門の方でした。
    メニューは、さつま揚げの煮物、から揚げ、ソラマメの甘辛煮、
    アサリの澄まし汁、そしてデザート。
    とても美味しかったわ。

★12時30分~歓談
   *時間つぶしになるかなと持参した「布絵本」を見ていただく。
    思いもかけず利用者さん、スタッフのどちらにも好評で
    話題が広がり嬉しかったな~。
    針を持てる利用者さんもいて、
    「ぜひぜひ絵本を作ってみたい」とのこと。
     嬉しいんだけどいま一つ自信が・・ね。

   *テレビのニュースや新聞記事などからチョイスして話題作り。
    ある利用者さんが
    「ここへ来て初めて政治談議が出来たわ。ぜひまた来てね」
       とそっと握手?して下さったのには感激。

   *歓談しながらさやえんどうの筋取り、じゃがいもの皮むき
    おしぼりたたみなど、あくまでも利用者さんのお手伝いをする。

★2時~往診
     *月に一度、病院の先生がいらして健康チェック。
      そのため入浴は次の日に繰り延べに。
      (残念のような、でもほっとしたかも。笑 )

★3時~おやつの介助
     *お茶とプリンアラモード。うふふ、美味しかった。
  
*あとは歓談したりして記述の許可が出たので、和室で記録記入。


★★前日実習生のてつクンを知らないスタッフさんが二人いました。
  一人は男性で31歳。体操指導したりこまやかな気配り全開の
  好青年。もう一人の女性が施設長さんで、年齢不詳でしたが
 (聞くのもね)きれいで可愛い方でしたよ。
  優しくて親切、その上 実習生に対しても謙虚な姿勢を崩さず、
  調理パートの方が「とにかくここは施設長さんが良いからね」と
  耳打ちして下さいましたが「なるほど」と大納得でした。

  てつクンのことは、利用者さんが口々に
    「良いお兄ちゃんだったよ」と言っていたので
  二人とも会えなくて残念だったみたい。
  ちなみに私も絶賛しておきましたので、悪しからず。

       こんなとこかな。
       てつクンはいよいよ明日から「施設実習」だよね。
       グループホームと厳しさも違うんだろうか・・・。
       私は22日からだから間があるので急がないけど
       また「報告」お願いね。

     元気で頑張って。        みーじゃ

コメント (2)
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