コロは夕方になると自宅(犬小屋)から
別宅(玄関)に居を移す。
コロは夕ご飯をいつも少し残す。
それを敷物にしている古い毛布を
引きずって必死で隠す。
初めて目にしたときは
「なんで?」と不思議だったけれど
野良の習性かも、と納得した。
ある日何気なく玄関を見ると
コロがゆるゆると尻尾を振りながら私を見て
「てへ。」
と照れくさそうに笑った。
ふと下を見ると我が家のマドンナ猫の『美美』が
一心不乱にコロの餌を食べているではないか。
がちがちに被っている筈の毛布は
遥か後方に丸まっている。
・・う~ん、美美ちゃんじゃどけられないよなあ・・
「・・え? じゃなに、美美に残してあげてたの・・?」
と声を掛けると
「え?いや・・まあ、その」
といかにも歯切れが悪い。
春だもんね~
しばらく観察。
そのうちなにやらもどかしくなったらしく
美美にちょっかいを出し始める。
背中をそっと押してみたり、お尻を嗅いだり
耳を舐めたり・・。
挙句、のしかかってきたのには
さすがの美美も切れたんだね。
「集中出来ないじゃないのっ」
と眼を飛ばす。
カワイイ足で蹴りも入れる。
コロってばびびりまくり。
隅っこで固まったまま、でも目尻は思い切りさげて
愛しの美美を見つめ続けるんだよね。
・・無理だよコロ。美美ちゃんてば面食いだもん・・
(ってそういう問題じゃないか)
さて食事の後、毛づくろいまでも終えた美美。
所在無く水を飲んでるコロを
「お退き!」と押し退けて
「うわ。あっしの飲んだ水、飲んでくれるっすか♪」
と勘違いに喜ぶコロを尻目に
それは優雅に水を飲むと
あろうことかコロのお腹の下に潜って
尻尾でさわっと≪ひと撫で≫して帰っていった。
≪ひと撫で≫が食事代金・・・なの・・か?
コロの想いは届かなかったってわけね。酷。
それでも名残惜しげに見送るコロの瞳の中に
☆ハートマーク☆
を私は確かに、見た。