本大好き・音楽大好き

図書館と古本屋さんをipodを連れ合いにして歩くのがほぼ日課

Mさん

2009-06-12 20:36:00 | Weblog

怒涛のような頭痛と眩暈に苛まれ

新型インフルエンザでは、との恐怖と戦いながら

ここ数日ベッドから離れられずにいた。


今朝、ひさしぶりに目にした新聞に

同じ町内での殺人事件の記事が。


45歳の男が母親と弟を刃物で刺したとのこと。

Mさんという名前に、もしやとの思いで

夕方、散歩を兼ねて出かけてみた。

昨日の事件とは言え、犯人も既に捕まっているのに

周囲には黄色いテープが張られ、警官が立っていた。

Mさんと一度だけ話をしたF公園にも、立ち入り禁止で

入ることが出来ない。

 
******************** 

   その日、些細なことで落ち込んでいた私は

   気分直しの散歩道で、灼熱色の夕焼けに出会い

   身体の奥まで真赤に染まり、昂揚し

   その熱を抱えたまま、ストーカーのように

   沈む夕陽を追いかけて、F公園に辿り着いた。

  
     既に夕日は影も形も無く、我に帰ったおもいで

   座ったベンチの隣にMさんがいた。

   
   特別な話をしたわけじゃない

   薄闇の中でオバサン二人

   私の手にしていた手作りポーチの作り方から

   手芸のことなど。

   
   ただ  

   それじゃ、と立ちあがってから

   「子供さんは?」と聞かれた。

   「ええ。もう孫が二人います」 と答えると

   ウンウンと頷いてくれたので

   「子供さんは?」 と鸚鵡返しをすると

   一瞬、口籠ってためらって

   ウンウンとやはり頷くだけだったので

   道々、聞かなければ良かったかな・・と

   それだけがいつまでも心に残った。

  ******************** 


お名前もうろ覚えなので、私の知っているMさんじゃ

ないかも知れない。


けれど、大事に育てた筈の子供に殺されてしまった

Mさんは確実にいる。


一昔前なら大騒ぎで後追い記事も載るだろうに

次から次へと新しい、それも似たような事件が起こって

世の中は喧しい。


もう一日臥せっていたら、知らずにいただろう。

世の中は世知辛い。

   
    Mさんと息子さんのご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

   

   

   

   

   

  

 

 

 

 

 

 

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