怒涛のような頭痛と眩暈に苛まれ
新型インフルエンザでは、との恐怖と戦いながら
ここ数日ベッドから離れられずにいた。
今朝、ひさしぶりに目にした新聞に
同じ町内での殺人事件の記事が。
45歳の男が母親と弟を刃物で刺したとのこと。
Mさんという名前に、もしやとの思いで
夕方、散歩を兼ねて出かけてみた。
昨日の事件とは言え、犯人も既に捕まっているのに
周囲には黄色いテープが張られ、警官が立っていた。
Mさんと一度だけ話をしたF公園にも、立ち入り禁止で
入ることが出来ない。
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その日、些細なことで落ち込んでいた私は
気分直しの散歩道で、灼熱色の夕焼けに出会い
身体の奥まで真赤に染まり、昂揚し
その熱を抱えたまま、ストーカーのように
沈む夕陽を追いかけて、F公園に辿り着いた。
既に夕日は影も形も無く、我に帰ったおもいで
座ったベンチの隣にMさんがいた。
特別な話をしたわけじゃない
薄闇の中でオバサン二人
私の手にしていた手作りポーチの作り方から
手芸のことなど。
ただ
それじゃ、と立ちあがってから
「子供さんは?」と聞かれた。
「ええ。もう孫が二人います」 と答えると
ウンウンと頷いてくれたので
「子供さんは?」 と鸚鵡返しをすると
一瞬、口籠ってためらって
ウンウンとやはり頷くだけだったので
道々、聞かなければ良かったかな・・と
それだけがいつまでも心に残った。
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お名前もうろ覚えなので、私の知っているMさんじゃ
ないかも知れない。
けれど、大事に育てた筈の子供に殺されてしまった
Mさんは確実にいる。
一昔前なら大騒ぎで後追い記事も載るだろうに
次から次へと新しい、それも似たような事件が起こって
世の中は喧しい。
もう一日臥せっていたら、知らずにいただろう。
世の中は世知辛い。
Mさんと息子さんのご冥福をお祈りいたします。
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