中学校の部活動の地域への移行改革は、おもに運動部についてのプランが国から示され、このブログでも何回か取り上げてきました。
2025年に土日での地域活動への移行を照準を合わせて、今は試行段階に入っています。
とはいえ、部活動をする中学生のおよそ3割は、美術部や吹奏楽部、演劇部、科学部、家庭科部などの文化部に入っています。
なかでも、現場の教職員なら知っていますが、吹奏楽部は運動部より練習日が多いことが普通で、体力づくりも必要です。
そしてこのたびは、文化部の移行についても有識者会議からの提言が出されました。
その提言のアウトラインは以下のものです。
①おもに、地域移行の対象は全国の公立中学校の文化部とする。
②2023年度から2025年度にかけて、「改革集中期間」として自治体ごとに休日の部活動を地域に移行するスケジュールを定める。
③指導にあたるのは、文化系団体や民間教室、芸術系大学などである。
ただし、上記団体は全国のすべての地域でまんべんなくあるわけではないので、ICTを活用したリモート指導も視野に入れる。
④学校の教員も指導を希望する場合は、登録をして指導にあたることができる。
⑤民間団体が子どもの活動場所として、学校の施設を使えるようにする。
⑥生徒の活動を民間に委ねるとなると、保護者負担が増えるのは避けられないので、国からの財政的補助を求める。
しかしながら、現場感覚でみたときには課題もでてきます。
吹奏楽部や一部の部活をのぞき文化部では、現状で休日には活動していない部が多いのが実情です。
それらのクラブもふくめ、休日は地域に移行するという意義がはっきりしません。
さらに、吹奏楽部の場合は、コンクールに出るとなると、たくさんの楽器をホールまで運搬しなければならないのです。大きな楽器もたくさんあります。
また、楽器は高価なものが多いうえ、修繕費もかかります。
今まで顧問が苦心して、生徒たちをコンクールを導いてきた工夫や努力を、民間や地域に引き受けてもらえるのか。
こんな事情は現場にいた者でないと考えが及ばないでしょう。
運営の詳細まで、有識者会議で、検討しているのかと心配になります。
自治体で移行の絵を描くときには、できるだけ生徒や顧問、保護者の声を聞き、地域移行の取り組みに反映させてほしいと願います。