学習したいと思う人が、希望する進路を選ぶときに、経済的事情であきらめなくてもすむように支援するのは、行政や国の責任です。
そこで、奨学金の制度があるのです。
国の大学奨学金には、貸与型(これが多い)と給付型(少ない)があり、給付型は返す必要がないものです。
どちらも利用できるかどうかは親の年収が基準になります。
そこへ、今回新たに「出世払い型」という大学奨学金が創設されます。
この出世払い型奨学金は、親の年収に関係なく借りることができるようになる予定です。
貸与型を利用している大学生が多いのですが、卒業後の返済に苦労する例が多いのです。最近では、大学を卒業してから非正規の雇用先へ就職し、奨学金の返済は結構な重荷となります。
将来返せるかどうかが気がかりで、奨学金の利用をあきらめる人も少なくありません。
そのため、創設されようとしているのが出世払い型奨学金です。
いま、その制度設計が検討されています。
本人の年収がいくら以上になれば返済が始まるのか、その年収額をいくらにするかは慎重に決めなければなりません。
高めの設定なら返済の猶予を受ける人が多くなりますが、国の財政的負担が大きくなります。
低めの設定なら、返済しなければならない人が多くなり、この奨学金の意味が薄れていきます。
もともと、日本は高等教育へ公的支出が少ない国です。ですから、高等教育機関が徴収する授業料が高すぎるのです。
おおざっぱに言えば、国立大学は年間54万円、私立大学は年間93万円です。
保護者の大きな負担になっています。
奨学金の充実はもちろん必要ですが、大学が授業料を下げることができるような国からの支援が一方では必要です。