箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

今・これからの子どもに未来を託す

2021年08月25日 08時50分00秒 | 教育・子育てあれこれ

1964年の1回目の東京オインピックは、わたしはまだ学齢期でなく、おぼろげにしか覚えていません。

でも、子どもごころに、「華やか」だったのを覚えています。

とくに開会式は、まだ日本のテレビは白黒がほとんどで、この開会式を見るためにカラーテレビを思い切って購入した家庭もあったほどです。

第二次世界大戦で敗戦となり、焼け野原となった国土を復興し、未来にバラ色を描く国民の希望と一致した大会でした。

日本国民が一体感をもっている感覚は、子ども心にも感じたものでした。

そしてその後、日本経済は飛躍的な発展を遂げ、国民の生活は大きく向上しました。

所得が向上し、電化製品をみんなが買えるようになり、高度経済成長を実現しました。

あれから半世紀がたち、日本社会からは「華やかさ」が消えました。

1980年代のバブル崩壊後、経済は低迷しています。
複数回の大震災。原発事故、あいつぐ自然災害、感染症の拡大流行などに襲われ、日本社会は華やか差が消え、輝きがなくなっり、閉塞感に覆われています。

高度経済成長期に建造されたインフラは老朽化し劣化しています。

社会保障制度も頭打ちです、

こうなると、政治や行政は、その場しのぎの「応急手当」に追われます。

このように2回の国内オリンピックを経験した私としては、その歴然とした差を感じるとともに、社会の衰えを感じざるを得ません。

学校教育にしぼっていいうと、私の少年時代には開けていく未来を漠然と感じ、「努力すれば報われる」「がんばればいい暮らしができる」というイメージを抱き、実際にそうなりました。

しかし、いまの子どもたちは。未来にどんな夢を描けるのでしょうか。衰えて、老化していく社会を漠然と肌で感じるでしょう。

教育の「専売特許」は、子どもが将来を夢見て、未来社会に希望を抱き、目を輝かせることです。

どちらかというと、過去よりも未来を見つめることを得意分野にします。

だから、卒業式での校長の式辞には、「未来」という言葉がよく出てくるのです。

しかしながら、いまは「衰退」が目立つ。こんな世の中ですが、社会の老化は人びとの知恵と工夫により対応できることを教えるのも、教育の役割です。

超高齢化社会や経済の低迷をあまり意識しすぎると、日本社会全体が衰退していくとまで錯覚します。未来の希望を失いがちになります。

出産に目を向けると毎年80万を超える新生児が日本社会に加わっていくのです。この子たちはやがて、日本社会に参加していくのです。

この子たちが、健やかに成長し、学力を身につけ、他者とつながる楽しさを学び、大きな発展でなくても、心が豊かに過ごせるように育てていくには、学校教育の力が大きいのは変わりません。