箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

言葉で人はつながる

2021年08月19日 08時05分00秒 | 教育・子育てあれこれ


人は言葉でものごとを考えます。また、理解して、お互いに意思疎通をします。

校長は年に何回かは式辞を読みます。

入学式や卒業式では、ふつう式辞用紙に書いた文を読む上げるのです。

その経験から思いますが、あいさつの一部分を読むとばしてしまうと、前後の文章の意味がつながらなくなります。

そこで、読み手が書かれた文字をたんに読んでいるのではなく、意味を考えながら読んでいるからとばしたことに気がつくのです。

聞き手も意味を考えながら聞いています。

読み手は、意味を考えながら読んでいるので、あいさつに感情が入ってくる箇所が当然出てきます。身振り・手振りが入ることもあります。

あいさつには、その核心と言われる部分があります。

その部分を読むときには、力強く言ったり、わざとゆっくりと言ったり、二度繰り返して言ったりします。

先日の広島での平和記念式典の国の代表あいさつでは、読み飛ばしが問題になりました。

「唯一の戦争被爆国であるわが国は、核兵器のない世界の実現に向けた努力を重ねていく」(大意)という核心の部分が抜けてしまったそうです。

何よりも聴いている広島の人たちが残念に感じたことでしょう。

あいさつは、言葉を媒介として、話し手と聞き手がそれぞれ思考し、思いを巡らせ、「本当にそうだな」と思うとき、共感が生まれ、お互いがつながるのです。