
中学生になると、行動する範囲か広まります。人間関係も、広がります。
様々な面で、親を超えることもあります。
野球は、お父さんよりうまくなる。
小さな頃からピアノの発表会についていったお母さんよりうまく弾けるようになる、
体格や身長も親と同じくらいになる。
口がたつようになり、子どもの主張に親が言い返せなくなることもある。
ファッションも、自分の着たいものを着るようになる。
これらに伴って、自主性か育ってきます。
そのとき、おとなや親に反対されると反抗することがあります。
自主性とは、自分は一人でできる。だから自由が許されるという感覚に基づいています。
それは、今まで自分を認めてもらったという体験と実感から生まれています。
だから、自主性の芽生えは、子どもが順調に育ってきているからこそ起こると言えます。
思春期の子育ては、この自主性を大切にしながらも、中学生という年齢にふさわしい程度に収めていくことが必要になります。
「親だから許してくれる」という、ある意味の甘えを抱きながらも、「いつも親が正しいとは限らない」とも思います。
人間関係の広がりとともに、さまざまなおとなに出会い、ちがう価値観に触れ、自分のなかに取り込んでいきます。
そんなとき、自己主張は、親の意思に反する場合でも、自立のためには必要です。
自分が正しいと思うことを主張できることは、社会に出てからでも必要です。
それでうまくいかなければ、修正して折り合いをつけていくのです。
この考えに立ったとき、反抗期というのは、親を相手に社会へ出るトレーニングをしている時期であると言えます。
反抗期は、すぐに「はい」と言わない、扱いにくい時期ではありますが、子どもの自立のためには、どうしてもくぐらなければならない時期でもあります。
扱いにくい面もありますが、自主性が芽生えた中学生は、自分で考え、「こうするよ」と決めて行動します。
そのたくましさは、中学校の教師なら実感する機会がしばしばあります。
むしろ、おとなに反抗せず、何でもおとなの言う通りにする中学生の方が、将来を考えたとき、心配になります。