私は、子どもの頃、どちらかといえば内気な性格でした。
友だちと遊んでいても、あまり友だちに話しかけることができませんでした。
そんな自分がイヤで、明るく社交的で、誰とでもすぐ仲良くなれる人をうらやましく思いました。
小中時代は幼なじみのクラスメートと9年間ずっと学年が単級でしたので、あまり悩みは深くはなかったです。
しかし、高校は学年に10学級あり、クラスは豊中市、池田市、箕面市、大阪市など、さまざまな地域から来た生徒たちで、内気な自分はなかなか友だちができず、悩みが深かったのを思い出します。
まして、田舎育ちの私には、「都会」の子は輝いていて、まぶしく見え、「田舎者」を自認する私は気後れがしました。
高2になると、幸い気の合う友だちができ、その人とはいまも付き合っています。
いまは、校長をして、たくさんの教職員、生徒、保護者の方に話すことは苦にはなりません。
年齢を重ね、今になって思うことですが、内気な人も「暗い」と言われる性格の人も、他人からは魅力的な人として見られることがあるという事実です。
私の場合は、大学時代に英語のスピーチを学び、応用して日本語の話し方の基礎が身につきました。
そして、教師になり、生徒に話す機会を得るとともに、大人にあいさつをする場合が多くなり、内気で口下手という弱点が直ってきたと思います。
仕事が性格を変えるということはあるのでしょう。
しかし、ふつうは、こんな性格はイヤだと思っていても、性格をガラリと変えるのは、たいへんな努力を要します。
また、内気以外にも、ほかに人見知りをする性格がイヤという人もいるでしょう。
口下手がイヤという人もいるかもしれません。
でも、ものは考えようです。
内気な人→思慮深い人
人見知りな人→慎重に人間づきあいをする人
口下手な人→落ち着いた人
ここに挙げた左側にならぶ性格は、一見すると短所のように思えますが、考えようによっては長所と捉えることもできます。
つまり、短所と長所は表裏一体なのです。このことは、秋元康さんも言っていました。
だから、私は三中の子が自分の性格がイヤで、自分のことが嫌いだという場合には、短所は裏返せば、長所になるよ、と話します。
ある人見知りの性格の人は、自分なことがイヤでイヤでたまらなかったといいます。
しかし、親しくなった人から「あなたと話しているとホッとするね」と言われ、「こんな私でも一人でもよかったと言う人がいるなら、自分には価値があるのだと思えました。」と語っていました。
人はそれぞれ。人の性格もそれぞれです。どれがいいとかよくないとかではありません。
それよりも、いろいろな人がいるのでクラスはおもしろいのです。いろいろな人がいて、世の中は豊かになるのです。
三中の子にも、自分の性格は短所・長所の表裏一体であるし、いろいろあるからおもしろいと知ってほしいです。