箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

存在する価値がある

2015年10月19日 21時30分27秒 | 教育・子育てあれこれ
              
思春期の子どもたちにとって大切なこと。それは自分に存在する価値があると感じていることです。

思春期は、個人によって早いか遅いか、また程度のちがいはあるでしょうが、多かれ少なかれ自分の存在を親と切り離し、自分という個人にその価値を見つけようとする時期です。

それゆえに、親と「ひとつ」になっているわけではなく、かといって、個人としての価値を見いだし、揺るがぬ自信をもっている(=個人としての価値を確立している)のでもありません。

これが「思春期とはおとなでもなく、子どもでもない(中途半端な)時期である」といわれる状態です。つまり自分の存在価値に空白ができる時期であるといえるでしょう。

しかし、空白は埋められなければならないのです。空白を埋めるのが、自分を受けとめてくれる居場所です。居場所は中学生にとっては、小学生以上に必要なものです。

その子を必要とし、求めてくれる人間関係や集団(家庭や学校あるいは地域)が絶対に必要です。求められるということはつまり、自分には存在価値があるということです。

したがって、思春期の生徒は、自分の存在価値を見いだそうと日々、学校へ通ってこようとしているという見方ができるのかもしれません。

このような子どもたちを、私たちおとなはどうのように支えていけばいいのでしょうか。私たちは真摯に考え、誠実に行動を起こさなければならないのです。

なぜ三中が「いじめZERO」に取り組んでいるのか。それはいじめる行為が、存在する価値と居場所を奪ってしまうからです。

学校で長期にわたっていじめられたり、無視されたりした場合、いじめられる側からすれば、自分の存在価値を見いだせなくなるし、居場所もなくなってしまうのです。

だからこそ、おとなが子どもたちを守ってやるのです。いじめのない学校や社会をつくることが私たちのなすべきことです。

さらに私たちおとなができること、しなければならないことは、人生には生きる価値があること、あなたには生きる価値があるんだということをしっかりと教え、それを実感できる機会を増やしていくことです。

たとえば2年の職場体験は、子どもが自分の価値を知る絶好の機会です。自分も「働く」ことで社会にかかわることができることを、子ども自身が学びとることができる学習なので、学校も全力を挙げて取り組まなければなりません。

家庭も、子どもが無条件で愛される場でなければなりません。父・母、祖父母、兄弟姉妹など、言いあらそいもケンカもするが、基本的には強い愛情でつながっていることで、思春期を生きる子どもは、自分の価値を見いだしていけるのです。