箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

大事です 考えること

2015年10月13日 19時45分55秒 | 教育・子育てあれこれ

ここ20年間で、急速にインターネットが私たちの生活に普及しました。

私の学生時代には、30年後にこのようなインターネット時代が到来することは、想像しにくいことでした。「へー、そんな時代が来るの?」と、何となく聞いてはいたものの、漠然としたものでした。

私は大学生のときには、情報を得るために、大学の図書館をよく利用しました。本・書籍で情報をとるしか、方法がなかったのです。

そして時が過ぎゆき、いまやインターネットで、すぐに何でも調べられる時代となりました。

しかし、一方で、手軽に答えを手に入れることができる環境は、私たちの考える力をどんどん衰えさせてしまうように感じます。

そして、そのような社会の変化による被害を直接受けやすいのは、いつも子どもたちです。なぜなら子どもたちにあらわれる現象は、いつも大人にも影響を与える社会状況の「縮図」であるからです。

頭を使い、一生懸命に考え出したことはなかなか忘れませんが、簡単に調べて簡単にわかったことは、すぐに忘れてしまいます。
 
さらに、正しい情報も、誤った情報も、洪水のようにあふれ出している環境の中では、何が正しいのか、どれが正解なのかを選ぶ力も子どもたちに求められます。

実際、ネット上には、たとえばとんでもないような人権についてのまちがった差別的情報や悪意に満ちた書き込みが氾濫しています。

そこでいらないものは取り込まず、「これが正しい情報や!」と判断し、取捨選択する力も、自分で考えていないと身についていかないのです。

保護者のみなさんには、次のような経験はありませんか。好奇心旺盛な年齢の子どもは小さいときに、よく親に尋ねます。

「あれはなに? どうして?」 このとき親はできるだけ子どもにもわかる言葉を使い、ていねいに説明します。

「あ~、あれはね・・・ということなんだよ。」 子どもは「あー、そうなんか。わかった!」・・・。親はこれで親子の関係が深まったと思い、満足します。

しかし、子どもの発する疑問に対して、親が言葉を尽くし、子どもにわかりやすく、親切に教えてあげることが子育ての基本であると思っていれば、大きな間違いであると、私は思います。

子どもの疑問に対し答えをポンと与えるのは簡単だけれども、子どもは自分で考えることをしなくなってしまいます。

考える力をつけるためには、考える習慣をつけさせることも大切です。「どう思う?」「自分で考えてみなさい」「どうしたらいいと思う?」。このような言葉で返すと、子どもは一生懸命考え、答えを探し出そうとするのだと思います。

私たちが対するのは中学生です。自分で調べることができる年齢です。自分の頭で考えるだけ考え、答えを見つけるという過程や時間を大切にしてほしいのです。

社会に出れば、模範解答も、答えすらない問題や課題もたくさん出てきます。情報や答えを与えられることに慣れてしまわぬよう、考える訓練をすることが、壁にぶつかったときに、乗り越える力になると思います。