昨日、買い物に出かけたらお店も道路もいつもよりずっと混んでいた。
師走という感じはしていなかったけど、もう世間では師走の買い物や挨拶回りに忙しい時期なのだろう。
私はといえば、師走の買い物ではなくて普段の買い物でスーパーへ行った。
店内を見て歩いていたら道産豚の塊肉が安かった。
「これで煮豚を作ろう」
そう思って豚肉をカゴに入れたら、近くでじっと見ていた女性に声をかけられた。
実は見られていることは知っていたが、あえて気にしないようにしていたのだが、、、近づいてきた女性に「それ、買うんですか?」と聞かれた。
「えっ、そうですけど」
買ってはいけないことでもあるのだろうかと思いながら返事をすると「何を作るのですか?」と聞かれた。
「えっと、煮豚にしようかと思っているんですけど(何か?)」
「煮豚作るんですか?」
急に笑顔になった女性は続けておっしゃった。
「どうやって作るんですか?教えてください」
いきなりのことで私も少々パニックになりながら「まず塩コショウして焼いてタレに漬け込むんですけど、タレの分量がですね、、、あれ?忘れた」
肝心の分量が思い出せない。
「焼いてタレに漬けるんですね」と女性が繰り返したのだが、漬け込むタレの分量を忘れたので教えられない。
そこで「ネットにレシピ載ってますよ。ネットはされないのですか?」と聞くと、女性は悲しそうに首を横に振って「していません」とおっしゃった。
義理の姉と同じくらい70歳前後の方だった。
義理の姉もインターネットはやっていない。
情報はもっぱらテレビと新聞だけ。
それでも生活するのに不自由はなく、ネットサーフィンで無駄な時間を過ごすより、もっと有意義な時間の使い方ができるかもしれない。
どちらがいいのか。
でも私自身はネットをやって世界が1000倍くらい広がった。
ネットをやっていなければ一生会うことがなかった方々のお話を、文章や動画を通して読んだり聴いたりして、自分の考えが180度変わるようなことが何度もあった。
きっとこれからもそうやって世界は広がり続けていくだろうと思う。
先ほどの話に戻ると、ネットをやっていないのでレシピを探すことができないという女性になんとかレシピを伝えたいと思った。
そうだ、電話番号を聞いて、あとで伝えたらどうだろう。
そう思ったが、女性は「焼いてタレに漬けるんですよね」と、またおっしゃって笑顔で去って行った。
電話番号を聞くなんてことしなくて良かった。
そもそも私が作っているレシピの煮豚が口に合うか分からない。女性が本当に作りたいのなら、別の人に聞くとか、なんとかするだろう。
突然レシピを聞かれて驚いたけど、ネットが無かった頃は、よくママ友やご近所さんと手書きのレシピ交換したなあと懐かしくなった。
ネットのなかった時代が、とても昔に感じる。
そしてこれからも世の中はどんどん進化して、そのうちに(というか、すでに)ついて行けなくなるのだろうなと思う。
「ネットにレシピ載っていないんですけど、どうやって調べるんでしょう?」
誰かにそう聞いている自分の姿が目に浮かぶようだ。