関東に住む弟が、一年ぶりに家族と一緒に帰省してきた。
父が高齢者住宅に転居したことや、徐々に弱ってきていることなどを電話で知らせてあったので、父の様子を見る為に忙しい仕事の合間を縫って会いに来てくれたのだった。
今回は父も交えて、父の所有する不動産など財産の処遇などを家族だけで話し合おうということになっていた。
父の認知症は、薬で進行を遅らせているとはいえ、やはり日々進んでいるように思う。
だから今、父の理解力があるうちに、父の希望を聞いて、できるだけ父の望みに叶うようにしてあげたいというのが、私達兄妹の一致した考えでもあった。
私は朝早くに高齢者住宅の方へ行き、弟達の到着を待っていた。
しばらくして、到着した弟たちを父の部屋へ案内して、それからよもやま話に花を咲かせた。
歓談の後、弟の家族には観光に行ってもらって、弟と私と妹、そして父の4人で、実家に戻って話し合うことにした。
実家で久しぶりに揃った元の家族。
子供の頃に戻ったようで、なんだかとても懐かしかった。
ここに母も居れば・・・なんて、口には出さなかったけれど、そこにいた家族みんながそう思っていたに違いない。
さて、私や妹はいつも帰っている実家なので珍しくも無いのだけど、年に1度ほどしか帰ってこない弟は懐かしそうに家の中を見回していた。
そして仏壇の置いてある和室に入ると、「どこで音がしていたの?」と、突然聞いてきた。
私は正直「えっ、そんなこと気になっていたの?」と思った。
実は実家へ戻る前、移動の車の中で雑談として、先日書いた「家鳴り」のことを妹が弟に話したのだった。
そして、「お姉ちゃん(私のこと)が祈祷したら、それ以来全然音が鳴らなくなったんだよ」と妹が兄である弟に話していた。
その時、弟はただ黙ってうなずいて、それを聞いていただけだった。
私は妹に「祈祷して・・・」言われて、それはちょっとニュアンスが違うと思いつつ何も言わなかった。
多分、弟はそんな「非科学的な話」には興味がないだろうと思っていたから。
弟は子供の頃から、私や妹と違って勉強熱心だった。
物静かな弟は、いつも机に向かって勉強していたという印象がある。
某国立大を出て大学院へ進み、勉強好きな弟ならそのまま大学に残るだろうと思っていたら、「勉強するのに飽きたから就職する」と言って、とある大手企業に就職した。
そして、そこで薬品の研究をしているのだが、科学的な仕事をしている弟だからこそ尚更、そのような目に見えない世界の話には興味がないだろうと思い込んでいた。
「このあたりだよ」と天井を指差して教えると、「そうか。そうだと思っていた」と意外な言葉が弟の口から出てきた。
「この部屋は向こうに住んでいても、時々思い出して、すごく気になっていたんだ。この家に何かが居ることは、子供の頃から分かっていた。昔から、ずっと感じていたんだ」
そんなことを言い出した弟に、妹も私もすっかり驚いてしまった。
弟によると「自分は他人が見えないものを見ることがあり、それは子供の頃からずっとだった」という事だった。
今まで弟から、そんな話を聞いたことがなかった。
もちろん私も自分が経験したことを弟に話したことがなかったので、お互い様なのだけど・・・
そして、弟が私に「何をした?」と聞いてきた。
何をしたかって?
あぁ、祈祷のことね・・・と思った。
そこで、「それは祈祷ではなく、ただ毎日かかさず先祖供養をしていること。そして、その時、一緒にこの家にいる方の為にお線香をあげて祈ったこと」を教えた。
それについては、私がいつも参考にさせて頂いているブログ名を教えた。
弟とその話は、それっきりで終わり、その後は本題であった父の諸々の問題について話し合いをした。
そして、それから延々と父と兄妹で3時間近く話し合い、これからやらなければならないことが明確になったところで解散することになった。
私が帰り支度を始めていると、弟がメモを手に「さっき言ってたこと、もう一度教えて」と言ってきた。
さっき言ったことって何だろうと思ったら、私が先祖供養の参考にさせて頂いているブログについてだった。
「ブログもいいけれど、たくさん本も書かれているから読んだらいいよ」と教えてあげると、弟はメモを取っていた。
なんだか、ものすごく嬉しかった。
これを機に弟が先祖供養や神祭りを始めてくれたら、こんな嬉しい事はない。
たまにしか帰ってこない弟たちで、帰ってきても仏壇にお線香をあげるわけでもないので、実家のご先祖たちが可哀そうだと思っていた。
もちろん私も実家の方の供養は意識してやっているが、なにより直系の子孫である弟が供養するほうがいいのに決まっている。
弟が熱心にメモをしている姿を見て、それまであまり興味を示さなかった妹までがメモをし始めて「読んでみる」と言ってくれた。
こういうことは、ずっと弟や妹にやってもらいたいと思っていても、なかなか口に出すことは難しいものだ。
特に近しい間柄だからこそ、難しいのではないかと思う。
伝え方によっては「お姉ちゃんが怪しい宗教にハマッた」と心配されるかもしれない。
だから、それをやるもやらないも、本人の縁というものにお任せするしかない。
無理強いをしても、それに見合っただけ拒否されるのが目に見えてる。
でも、多分、弟はやるだろう。
勉強熱心な弟だから、何冊も本を読んで納得してやると思う。
実家からの帰り道、朝からの疲れも心地よく感じながらハンドルを握っていた。
父が高齢者住宅に転居したことや、徐々に弱ってきていることなどを電話で知らせてあったので、父の様子を見る為に忙しい仕事の合間を縫って会いに来てくれたのだった。
今回は父も交えて、父の所有する不動産など財産の処遇などを家族だけで話し合おうということになっていた。
父の認知症は、薬で進行を遅らせているとはいえ、やはり日々進んでいるように思う。
だから今、父の理解力があるうちに、父の希望を聞いて、できるだけ父の望みに叶うようにしてあげたいというのが、私達兄妹の一致した考えでもあった。
私は朝早くに高齢者住宅の方へ行き、弟達の到着を待っていた。
しばらくして、到着した弟たちを父の部屋へ案内して、それからよもやま話に花を咲かせた。
歓談の後、弟の家族には観光に行ってもらって、弟と私と妹、そして父の4人で、実家に戻って話し合うことにした。
実家で久しぶりに揃った元の家族。
子供の頃に戻ったようで、なんだかとても懐かしかった。
ここに母も居れば・・・なんて、口には出さなかったけれど、そこにいた家族みんながそう思っていたに違いない。
さて、私や妹はいつも帰っている実家なので珍しくも無いのだけど、年に1度ほどしか帰ってこない弟は懐かしそうに家の中を見回していた。
そして仏壇の置いてある和室に入ると、「どこで音がしていたの?」と、突然聞いてきた。
私は正直「えっ、そんなこと気になっていたの?」と思った。
実は実家へ戻る前、移動の車の中で雑談として、先日書いた「家鳴り」のことを妹が弟に話したのだった。
そして、「お姉ちゃん(私のこと)が祈祷したら、それ以来全然音が鳴らなくなったんだよ」と妹が兄である弟に話していた。
その時、弟はただ黙ってうなずいて、それを聞いていただけだった。
私は妹に「祈祷して・・・」言われて、それはちょっとニュアンスが違うと思いつつ何も言わなかった。
多分、弟はそんな「非科学的な話」には興味がないだろうと思っていたから。
弟は子供の頃から、私や妹と違って勉強熱心だった。
物静かな弟は、いつも机に向かって勉強していたという印象がある。
某国立大を出て大学院へ進み、勉強好きな弟ならそのまま大学に残るだろうと思っていたら、「勉強するのに飽きたから就職する」と言って、とある大手企業に就職した。
そして、そこで薬品の研究をしているのだが、科学的な仕事をしている弟だからこそ尚更、そのような目に見えない世界の話には興味がないだろうと思い込んでいた。
「このあたりだよ」と天井を指差して教えると、「そうか。そうだと思っていた」と意外な言葉が弟の口から出てきた。
「この部屋は向こうに住んでいても、時々思い出して、すごく気になっていたんだ。この家に何かが居ることは、子供の頃から分かっていた。昔から、ずっと感じていたんだ」
そんなことを言い出した弟に、妹も私もすっかり驚いてしまった。
弟によると「自分は他人が見えないものを見ることがあり、それは子供の頃からずっとだった」という事だった。
今まで弟から、そんな話を聞いたことがなかった。
もちろん私も自分が経験したことを弟に話したことがなかったので、お互い様なのだけど・・・
そして、弟が私に「何をした?」と聞いてきた。
何をしたかって?
あぁ、祈祷のことね・・・と思った。
そこで、「それは祈祷ではなく、ただ毎日かかさず先祖供養をしていること。そして、その時、一緒にこの家にいる方の為にお線香をあげて祈ったこと」を教えた。
それについては、私がいつも参考にさせて頂いているブログ名を教えた。
弟とその話は、それっきりで終わり、その後は本題であった父の諸々の問題について話し合いをした。
そして、それから延々と父と兄妹で3時間近く話し合い、これからやらなければならないことが明確になったところで解散することになった。
私が帰り支度を始めていると、弟がメモを手に「さっき言ってたこと、もう一度教えて」と言ってきた。
さっき言ったことって何だろうと思ったら、私が先祖供養の参考にさせて頂いているブログについてだった。
「ブログもいいけれど、たくさん本も書かれているから読んだらいいよ」と教えてあげると、弟はメモを取っていた。
なんだか、ものすごく嬉しかった。
これを機に弟が先祖供養や神祭りを始めてくれたら、こんな嬉しい事はない。
たまにしか帰ってこない弟たちで、帰ってきても仏壇にお線香をあげるわけでもないので、実家のご先祖たちが可哀そうだと思っていた。
もちろん私も実家の方の供養は意識してやっているが、なにより直系の子孫である弟が供養するほうがいいのに決まっている。
弟が熱心にメモをしている姿を見て、それまであまり興味を示さなかった妹までがメモをし始めて「読んでみる」と言ってくれた。
こういうことは、ずっと弟や妹にやってもらいたいと思っていても、なかなか口に出すことは難しいものだ。
特に近しい間柄だからこそ、難しいのではないかと思う。
伝え方によっては「お姉ちゃんが怪しい宗教にハマッた」と心配されるかもしれない。
だから、それをやるもやらないも、本人の縁というものにお任せするしかない。
無理強いをしても、それに見合っただけ拒否されるのが目に見えてる。
でも、多分、弟はやるだろう。
勉強熱心な弟だから、何冊も本を読んで納得してやると思う。
実家からの帰り道、朝からの疲れも心地よく感じながらハンドルを握っていた。