椅子に座ってウトウトしていたら、コツンと何かが窓ガラスに当たった音がした。
「もしかしたら」
起き上がって、音がした方向の窓ガラスに羽毛が付いていないかを確認した。
さらに窓を開けて外に鳥が落ちていないか見たが、落ちている鳥は見えずホッと胸を撫でおろした。
ここは森林に近いせいか、窓ガラスによく鳥が当たる。
あまり勢いよくぶつかると死んでしまうこともある為、ぶつかることが多い二箇所の窓には鳥避けを吊るしている。
落ちている鳥がいなかったので安心してまた椅子に戻ると、今度はベランダに小鳥が飛んで来た。
しばらくベランダで、空中に止まっているかのように羽ばたいてから行ってしまった。
うちのベランダは、屋根がついて奥まっているため、ここまで鳥が入って来ることはほとんどない。
いつか一度だけスズメが飛んできてベランダの窓に当たって脳震盪を起こしたため、保護したことがある。
この時のスズメは勢いよく飛んで来てぶつかったが、今回は何か様子を見に来たかのような飛び方。
臆病な小鳥が、人の姿が見える部屋のすぐ近くまで来るとは、どうしたことだろう。
不思議に思ってベランダを覗いたら、いた、、、あぁやっぱり当たったのかと思った。
なんということでしょう、、、小さな小鳥がじっとしている。
さっきベランダに来た小鳥は、ぶつかった小鳥を心配して来たのだと思ったら可哀想でならない。ぶつかったのは子どもなのかな?それとも伴侶かな?
じっとしている小鳥は、窓にぶつかったためか、羽毛が少し乱れているものの、とりあえず二本の脚で立つことはできている。
以前、保護したスズメは横たわったままで、寒い日でもあり放っておくと死んでしまうと思い保護したが、今回はこのままで様子を見ることにした。
それにしてもこの小鳥、もしかするとシマエナガかなと思って調べてみたら、やっぱりそうだった。
シマエナガはその姿の可愛さからブームになった鳥で、今でもお土産屋さんに行くと、シマエナガがキャラクターになった商品がたくさんある。
用心深いのか餌台を置いても決して近づいて来ないし、飛ぶのが速いので写真を撮るにも一苦労するくらいで、こんなに近くで姿を見るのは初めてだった。
これは冬にやっと撮れたシマエナガの写真。
あまり近くまで行かないようにしながら様子を見ること一時間あまり、シマエナガは目をつぶったまま動こうとはしない。
このままだと死んでしまうのではないかと、気が気じゃない。
ダメ元で野生動物を保護する自治体に電話をしてみると「そのまま様子を見てください。もしも気になるようでしたら、どこか草むらに置いて来て下さい。あと死んだらご自分で処分して頂くことになっています。ゴミの袋に入れて収集日に出して下さって結構です」との事だった。
こんなに弱っている子を、その辺に置いて来たらキツネやカラスに食べられてしまう。ましてや死んでもゴミとして処分なんてできるわけない。
断られる事を覚悟で電話したが、思った通りだった。
自治体が保護する鳥は希少種だけだそうで、どうやらシマエナガは希少種ではないらしい。
こんな場所に家を建ててしまってごめんねと、いつも思う。
シマエナガがベランダでうずくまってから二時間が過ぎ、そろそろ日が傾いて、風が冷たく感じられるようになった頃、ふとベランダを見るとシマエナガがいなくなっていた。
植木鉢をよけてみても、落ち葉をめくってみてもどこにも姿がなくて、元気になって飛んで行ったのだと思うと嬉しかった。
というわけで、窓という窓に鳥避けグッズを吊るすべく、明日、早速鳥避けを買いに行ってこようと思っている。