お正月に高齢者住宅にいる父には会ったが、また顔を見に行こうと思った。
妹の話では、相変わらず日中も寝てばかりで、ほとんど歩かずにいるので、足がさらに弱っていると言っていた。
それで私は、父の顔を見れば「廊下を歩いたほうがいいよ。歩かないでいたら、足が弱って歩けなくなるよ」といい続けていた。
このままでは寝たきりになってしまうかもしれないと言う危機感があった。
しかし、父には、そんな危機感も歩こうという気力も、ほとんどない。
内臓的には健康なのだが、気力のなさは認知症の症状なのかもしれない。
父の足を鍛えるべく、できるだけ父を外へ連れ出すようにしてきたが、今は雪が積もり、外での散歩は難しくなった。
しかし、先日「どう、たまに外出する?」と電話で聞くと、なんと父は「行きたい」と答えた。
そこで、一緒にスーパーで買い物をして、その帰りに、昔、父がよく行ったというおすし屋さんで食事をする計画を立てた。
ところが、父と出かける約束をした日は、なんと猛吹雪になってしまった。
吹雪の中、雪が積もった道を、父を歩かせるのは、駐車場からお店までの短い距離とはいえ大変だ。
そこで、スーパーは中止にして、お寿司を食べるだけにしたのだが、ここで事件が起こってしまった。
そのおすし屋さんは、父が高齢者住宅に入る前に、よく通っていたお店だったが、父はお店に来ると、必ずビールの中ジョッキを1~2杯飲んでいたそうだ。
今回も父は、いつものように中ジョッキーを頼み、そして美味しそうに最後まで飲み干したのだったが、帰り際、お店の出口で具合が悪くなってしまった。
顔面は蒼白で、とても帰れるような状況ではなく、しばらくお店で休ませて頂いた後、なんとか車に乗せて高齢者住宅へ帰ることができた。
当たり前だが、年を取り、もう昔のようにビールを飲むことはできないのだと思った。
その日の夕方、父の所から帰ってきた私は、すこし寡黙になっていた。
すると、夫が「お父さん、内臓は丈夫だから長生きするって」と、私を元気づけようとして、そう言ってくれた。
そんな夫の気持ちはとても嬉しかったが、実は別の事を考えていた。
父は会うたびに、弱っているように思えた。
一ヶ月と言ってられないくらい、あっという間にできないことが多くなっていく。
そんな父のお尻を叩くかのように「歩け、歩け」と言う事は、はたして良いのだろうかと考えていたのだった。
ずっと寝ていたいのなら、もうそうして好きなようにさせてあげたほうが、父の幸せなのかな・・・とか。
いやいや、でもやはり最後まで自分で動ける方がいいだろう。
今まで寝たきりになった老人を何人も見てきたが、手足の硬直や床ずれなど、本当にかわいそうだった。
「歩け、歩け、歩かないと足が弱るぞぉ~」
顔を見るたびにそう言う口うるさい娘が、一人くらい居てもいいだろうと思う。
妹の話では、相変わらず日中も寝てばかりで、ほとんど歩かずにいるので、足がさらに弱っていると言っていた。
それで私は、父の顔を見れば「廊下を歩いたほうがいいよ。歩かないでいたら、足が弱って歩けなくなるよ」といい続けていた。
このままでは寝たきりになってしまうかもしれないと言う危機感があった。
しかし、父には、そんな危機感も歩こうという気力も、ほとんどない。
内臓的には健康なのだが、気力のなさは認知症の症状なのかもしれない。
父の足を鍛えるべく、できるだけ父を外へ連れ出すようにしてきたが、今は雪が積もり、外での散歩は難しくなった。
しかし、先日「どう、たまに外出する?」と電話で聞くと、なんと父は「行きたい」と答えた。
そこで、一緒にスーパーで買い物をして、その帰りに、昔、父がよく行ったというおすし屋さんで食事をする計画を立てた。
ところが、父と出かける約束をした日は、なんと猛吹雪になってしまった。
吹雪の中、雪が積もった道を、父を歩かせるのは、駐車場からお店までの短い距離とはいえ大変だ。
そこで、スーパーは中止にして、お寿司を食べるだけにしたのだが、ここで事件が起こってしまった。
そのおすし屋さんは、父が高齢者住宅に入る前に、よく通っていたお店だったが、父はお店に来ると、必ずビールの中ジョッキを1~2杯飲んでいたそうだ。
今回も父は、いつものように中ジョッキーを頼み、そして美味しそうに最後まで飲み干したのだったが、帰り際、お店の出口で具合が悪くなってしまった。
顔面は蒼白で、とても帰れるような状況ではなく、しばらくお店で休ませて頂いた後、なんとか車に乗せて高齢者住宅へ帰ることができた。
当たり前だが、年を取り、もう昔のようにビールを飲むことはできないのだと思った。
その日の夕方、父の所から帰ってきた私は、すこし寡黙になっていた。
すると、夫が「お父さん、内臓は丈夫だから長生きするって」と、私を元気づけようとして、そう言ってくれた。
そんな夫の気持ちはとても嬉しかったが、実は別の事を考えていた。
父は会うたびに、弱っているように思えた。
一ヶ月と言ってられないくらい、あっという間にできないことが多くなっていく。
そんな父のお尻を叩くかのように「歩け、歩け」と言う事は、はたして良いのだろうかと考えていたのだった。
ずっと寝ていたいのなら、もうそうして好きなようにさせてあげたほうが、父の幸せなのかな・・・とか。
いやいや、でもやはり最後まで自分で動ける方がいいだろう。
今まで寝たきりになった老人を何人も見てきたが、手足の硬直や床ずれなど、本当にかわいそうだった。
「歩け、歩け、歩かないと足が弱るぞぉ~」
顔を見るたびにそう言う口うるさい娘が、一人くらい居てもいいだろうと思う。